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おまけのお話
だいしゅき
しおりを挟む「リトが、どんな風に暮らしてるのか、見たい」
母ザィハの言葉に、父ラヴァリアもこくこく頷いて、ジゼ父ゲォルグもセバもいいよと言ってくれたので、リトがジェディス邸を案内するのです!
ぽふぽふ揺れるしっぽに、ザィハが笑う。
「ラヴァリアにそっくり」
「おとたま?」
「ああ、うん、しっぽも出せるよ」
ラヴァリアの身体がきらめいて、ふわふわのしっぽと、ほわほわの耳が現れた!
「わー!」
ぱちぱち拍手するリトに、ラヴァリアがうれしそうに胸を張ってる。
リトを抱えあげたザィハが、切れ長の紅の瞳を細めた。
「よく似てる。俺に似なくて、よかった」
「そんなことない! 口元とか、鼻のところとか、ザィハに似てる。ザィハ、めちゃくちゃかわいーんだから!」
ぎゅう
母をだっこする父の愛があふれてる。
「僕、おかたまに、似てる、うれし、でし。おとたまに、似てる、のも!」
ぽふぽふのしっぽで笑ったら、母と父が頭をなでなでしてくれる。
「えへへ」
おかあさんと、おとうさんと、手をつなぐ。
こんなにうれしいなんて、知らなかった。
胸があつくて、頬があつくて、目の奥がじんとする。
しっぽも、ぽふぽふだ。
「ここ、僕、お部屋、でし! ジェディス家、従僕、にも、個室、くれゆ、すごぃ!」
ちっちゃな茶筒が棚に敷き詰めるように並べられた、寝台と机と椅子の置かれた部屋に、ザィハもラヴァリアも目をまるくした。
「ここ?」
「確かに、リトの匂いがする」
「人間みたいに、暮らしてる?」
「あい!」
ひょいとラヴァリアがリトを抱きあげる。
「辛くあたられてないか?」
リトはぶんぶん首を振る。
「ジェディス邸、皆、やさし! 来る前、獣人、皆、強制、ろーどー、ジゼしゃま、ぽこぽこ、してくれ、ましあ!」
「……辛い目に?」
ザィハの紅の瞳が揺れる。
「昔、は。獣人、皆、大変。でも今、皆、しぁわせ!」
ラヴァリアの瞳が揺れる。
何もできなかったことを哀しむ両親を元気づけたくて、リトは笑う。
「辛い、こと、ある、しぁわせ、わかる。僕、しぁわせ、でし!」
「……っ!」
母の、父の腕が、抱きしめてくれる。
おかあさんが、おとうさんが、泣いてる。
「……リトに辛い思いをさせて、すまない」
涙声に、リトは首を振った。
「おかたま、おとたま、魔力、なくなる、まで、がんばて、僕、生んで、くれま、しあ。おかげ、で、僕、しぁわせ」
ちいさな腕で、涙の両親を抱きしめる。
「ありぁと、おかたま、おとたま」
「リト……!」
泣いてくれたら
泣いてしまう
「ふぇえ、おかたま、おとたま、あぇて、うれし、でし!」
だきしめる腕があって
だきしめかえしてくれる腕があって
皆で泣いて
皆で笑える
しあわせを、噛みしめる。
「いっぱいいっぱい、あまやかしたい」
ラヴァリアが笑って、ザィハの腕がリトを抱き寄せる。
「いとしい息子」
やさしくあまい声で囁かれたら、耳もしっぽも、ぼふぼふだ。
恥ずかしくて、照れくさい気持ちをおしこめて、リトは両親の手をにぎる。
「おかたま、おとたま、だぃしゅき、でしあ!」
真っ赤になった両親が、とろけるように笑ってくれた。
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読んでくださって、ありがとうございます!
ここあ様のリクエストで、リトの親子のお話でした!
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