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おまけのお話

うまうま

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 ゲォルグとセバとジゼの分もお茶を淹れたら、お茶会です!

「リトのは?」

 聞いてくれる父ラヴァリアの隣で、母ザィハがさっと自分の茶器をリトに差しだしてくれる。

「一緒に飲もう」

「えへへ。おかたま、ありあと、ござまし」

 ひとつのカップで飲むと、家族って感じがする!
 ほわほわ熱い頬ですするお茶は、いつもよりとびきりおいしい。

「……俺のお茶も、味見する?」

 そっとカップを差しだしてくれるジゼが、かわい──!

「ジゼしゃま、ありあと、ござまし」

 ふわふわ笑って、ジゼのお茶に口をつける。
 ジゼを想う気持ちがあふれているみたいで、ちょっと恥ずかしい味がする。

「リト、僕のも!」

 ラヴァリアがカップを差しだしてくれて

「では私のも」

 ゲォルグが笑う。

「俺のも飲む?」

 セバが笑って、皆のお茶をひと口ずつもらったら、皆と家族になったみたいで、ふわふわ頬が熱くなる。

「ありあと、ござまし」

 ぽふぽふ揺れるしっぽに、皆が胸を押さえてる。

 人間界のことを全然知らない両親まで、帝都の流行をばっちり把握してるよ! すごい!

「ザィハさま、ラヴァリアさま、こちらが我らが料理長コゴが気持ちをこめて焼いた菓子でございます。どうぞお召しあがりください」

 ゲォルグが微笑むのに、両親が顔を見合わせる。
 すぐに気づいたセバが胸に手をあてた。

「毒など入っておりませぬことをお示しするために、少しずつ切り分けて、わたくしが試食させていただいてもよろしいでしょうか」

「ああ、気遣いをありがとう」

「人間の毒、ラヴァリアは浄化できる。俺は栄養」

 栄養なザィハに、引き攣りそうになった微笑みを完璧に維持してるゲォルグとセバがすごい!

 ぱちぱち拍手したリトに、セバとゲォルグが照れくさそうにほんのり赤い頬で笑った。

「ふしぎな形だなあと思って」

「食べてみようか」

 ラヴァリアとザィハが、興味深そうにクッキーみたいな焼き菓子を口にする。

「……っ!」

 見開かれた光の瞳と、紅の瞳が、きらきらしてる。

「コゴの、お菓子、絶品、でしあ!」

 ぽふぽふしっぽと一緒に笑うリトに、両親が目を剥いた。

「なんだこれ!」
「あまい? さくほろ?」

「こち、の、お菓子、も、うまうまでし!」

 リーフパイみたいな焼き菓子を持ってゆくリトの手から、そのままお菓子を食べたラヴァリアの瞳が、輝いた。

「うま──!」

「俺も」

 あーん

 口を開けるザィハに、照れ照れのリトがパイを食べさせてあげる。

「うまうま」

 きらきらの紅の瞳の母が、かわい──!

「……俺は?」

 唇を開いて待ってくれるジゼしゃまは、至高でし──!



 そっとお菓子を差しだしたら、白い歯が、しゃくりと噛んだ。

 真っ赤な頬で食べてくれるジゼが、かわいすぎる。

 リトのほっぺも、きっと真っ赤だ。


「……おもしろくないけど、リトがしあわせなのは、わかった」

 父ラヴァリアが、頭をなでなでしてくれる。


「よかった」

 母ザィハが、切れ長の瞳をほそめて、笑ってくれた。


「これからも、リトをよろしく」

「よろしく」

 両親が微笑んで、ゲォルグとセバとジゼが胸に手をあてる。


「こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します」

 やわらかに膝を折る皆に、瞬いた両親はリトの頭をなでてくれた。


「リトが選んだのに、まちがい、なかった」

 おかあさんが笑ってくれる。


「あい!」

 燃える頬で、笑った。





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