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あえるといいな!

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 レォンがちょっと考えるように首を傾げる。
 お背なの翼が、ぱたりと揺れた。

「いちおう僕も伝説なのだが、伝説仲間に瘴気を浄化できる者がいたと思うのだ」

 顔を見合わせた皆が声をあげる。

「ラヴァリア!?」

「ゆうめ、でしあ?」

 首を傾げたリトの頭をなでなでしてくれたジゼが教えてくれる。

「輝ける光のきみと謳われる。おとぎ話だ。世界が瘴気に覆われるとき光臨し、世界を救ってくださると」

「千年くらい前に救ってくださったって絵本があるんだ。ドディア帝国だけじゃなくゾンデ王国にも、大陸中にあるんじゃないかな。闇龍さまと闘って打ち滅ぼしたっていう絵本もあったよ」

 テデの言葉にレォンが目を剥いた。

「ぼ、僕は負けてない! あのときは食べるものがなくて腹減りで死にそうだったんだ! だいたい生まれたばかりの僕をいじめに来るなんて、根性が悪すぎる! 抗議したら『ごっめーん♡』だぞ!? 失礼な!」 

 ぷるぷる屈辱にふるえているレォンが、かわいそうだけど、かわいい──!
 もだもだするリトの隣で、皆があんぐり口を開けた。

「……え、レォンさま、ラヴァリアさまにお逢いになったことが──!?」

 茫然と聞くテデに、レォンは首をひねる。

「あれがたぶんそうだと思うのだ。僕も生まれたばかりであまり知識がなくてな。だが気配はぼんやり憶えている。辿ることができるかもしれない」

 ちょっと自信なさそうに眉を下げるレォンを励ますようにゲォルグが微笑む。

「素晴らしいです、レォンさま!」

 ゲォルグの賞賛に、レォンのお背なの翼のぱたぱたが3倍速になった!

「う、うむ! 僕の眷属は皆、瘴気を寄せてしまうのでな、ゾンデにはゆけぬ。なのであまり仲良くない者たちに声をかけることになるので、あまり期待はしないでほしいのだが……」

 せっかくの3倍速がなくなってしまったレォンの手を、リトのちいさな指が握る。

「お気持ち、しゅごく、うれし、でし、レォンしゃま」
「ありがとうございます、レォンさま」

 リトと一緒にジゼも皆も微笑んだ。

「もしラヴァリアさまに逢えたら、どんな方だったのか是非教えてくださいね! 絵本では、なんかぴかぴかしてるみたいです」

 期待に満ち満ちたテデの目に、レォンが頷く。

「う、うむ! わかった! ……逢えるとよいのだが」

 しょんぼりする肩を励ますように、セバの手がやさしくたたく。

「どうかご無理なさらず」

「お疲れになったらいつでもお戻りください。セバと邸の皆と一緒に、レォンさまのお帰りを心からお待ちしています」

 微笑むゲォルグと一緒に、邸の皆が手を挙げた。

「いつでも帰ってきてくだせえ!」
「レォンさまの大すきなお菓子をたぁくさん用意してお待ちしてまさあ!」

 御者のソゾと料理長のコゴが笑う。

「もちろん、若とテデとリトも、アオも!」
「無事で帰ってくるんだぞ!」

 わしゃわしゃ頭を撫でてくれるソゾとコゴに、くすぐったく笑うリトのしっぽがぽふぽふだ。


「よっし、じゃあ行きやすか!」

 馬車を用意してくれたソゾが胸を叩いた。




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