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ちょっぷ!

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「ちっこいのに呼び捨てかよ!」

 笑うイォに、ぷりぷりした俺は拳を握る。


「ちっこい言うな!」

 ふん!

 鼻息荒く叫んだのに、皆、顔を覆うんだけど、なんでかな?
 ちょこっと覗く耳が、赤い。

 鼻息かかった?
 ごめんよ!


「お前の名前は?」

「リユィ」

 むん、とちっちゃな胸を張ったら、ちょっと赤くなったイォが頷いてくれた。
 隣でメファが笑って、俺の頭をなでなでしてくれる。

 えへへ。
 うれしー。


「僕は、メファ」

「本官は、イヌタだ」

 さすが解りやすい『愛のラビリンス』!


 犬のお巡りさん、ゲームに出て来たかなー?
 出てきたら、ふつう憶えてるよね??

 首を捻っていたら、イォの足が止まった。


「ここが冒険者組合。
 お巡りさんも、中に入って確かめてくといいよ。
 違法な取引してないか」

「うむ!」

 俺とメファとイヌタは、おそるおそる、イォが開けてくれた扉を覗き込む。


「いらっしゃーい。
 今にも潰れそうな、冒険者組合に、ようこそー」

 呼びかけが不穏だけど、歓迎してくれてるみたいだ!

 隣でイォが、肩を揺らして笑ってる。
 ムキムキの腕に♡の刺青の受付さんが、にこにこ手招きしてくれた。

 スキンヘッドでムキムキで黒のタンクトップに♡の刺青!
 お約束だ!


「お、お邪魔しますー」

 入ってみた中は、薄暗い。
 たぶん、明かりの油か魔法をけちってるんだと思う。

 壁に貼られた、薬草採取や冒険者求むの張り紙は、茶色く焼けていた。
 奥にはカウンターがあって、その奥に受付さんひとりしかいない。

 手前にある丸テーブルにはうっすら埃が積もり、ちいさな窓から射す陽は、汚れに黄色く霞んだ。


「あ、あの、俺の友達がエルフで、お金儲けの苦手なエルフの生活向上を願って、特製のえっちな薬を作ったので、売りたいんです」

 俺と、隣のメファを見つめた受付さんは、髭をなでて、ふうん、と頷いた。

 聞いていたイォとイヌタは仰け反った。


「え、えええええっちな薬!?」

 お巡りさんとしては色々だめかもしれない。
 ごめんよ!

 僕とメファをつむじからつま先まで見つめたイォは、くつくつ喉を鳴らして笑った。


「こんなちっちゃい、精霊みたいにかわいーふたりが造って売るのが、えっちな薬!!」

 爆笑するイォに、

「ちっちゃい言うな!」

 ちょっと熱い頬で俺はふくれた。


 かわいーは、うれしーよ。

 えへへ。
 ディー、気に入ってくれるかなー?
 

 ほわほわする俺の隣で、メファのはちみつの瞳が鋭くなる。


「ちっちゃいのは、リユィだから」

「ちっちゃい言うな!!」

 ぷりぷりした俺の額に、メファのチョップが刺さる。

 あ、えと、チョップわかる?
 手をまっすぐにそろえて、ぺちってするのね!


「僕のほうが高いし」

 べし!!

 刺さったチョップは、確かにメファの方が背が高いことを示した。


「……いたい、メファ」

 涙目でうるうるしたら、メファのはちみつの瞳がとろける。


「なんだこのかわい──の!!」


 お腹を抱えて笑うイォの隣で、イヌタと受付さんの肩も揺れた。










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