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押し倒されました……!*

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 とさりと、ちいさな寝台に押し倒されて、仰け反った。


 かっこよすぎる最愛の推し、ディゼの顔が、近すぎる。

 ちっちゃい古ぼけたベッドが、天蓋つきのふかっふかのベッドに見える……!



「あ、あああああの、ディー……?」

「相思相愛で、お互いに成人。
 何か問題ある?」

 …………な、ないですが!!


「あ、あの、でも、さっき、怖かった、から、ちょっと…………」

「だから今、上書きすんの」

 ディゼの瞳が、燃えた。


「あんなクズ、消してやる。
 リユィは俺だけ、憶えてればいい」


 抱きしめる腕は、おどろくほど、やさしかった。

 まだふるえる俺を、怖がらせないように、包みこむように、ディゼが抱きしめてくれる。


 髪を、撫でて。

 頬を、撫でて。

 抱きしめて。

 今、触れているのは、大すきなディーなんだと、俺の細胞のひとつひとつまで、わからせてくれるように。


 くちびるが、触れる。


 おでこに。

 まぶたに。

 ほほに。


 俺の、くちびるに。


 くちびるで、ふれてくれる。



『ちゅうして』

 ねだらないと、ディゼは、決して、してくれなかった。

 いつも、遠い背中を追いかけて。

 振り向いて欲しくて。
 引き留めたくて。

 必死で。


 俺は、間違ったのに。
 ディゼの心を踏み躙ったのに。

 ディゼが、俺に、口づけてくれる。


「……ふぇえ……ごめ……なさ、ディー……」

「泣くな」

「ごめ……」

 唇が、くちびるで、ふさがれる。

 ちゅく。

 くちゅり。

 甘く濡れた音が響いて、ディゼの舌が、俺の舌を、やさしくとらえた。

 とろけるような舌がからまって、滴る唾液が顎を伝う。
 ディゼの長い指が、俺の耳朶にかかり、やさしく引き寄せられた。


 ふかく。

 ふかく。


 からまる舌が甘くて、あふれる唾液に、眩暈がする。



 くちゅ。

 ちゅく。


 こんなキス、知らない。

 とろけて、イっちゃいそうになって、身体から力が抜ける。

 ふにゃんとなって、ディゼに縋る指さえ、ふるえた。


「……なんて顔してんの」

 ぼそりと呟くディゼの眦が、紅い。


「……どんな顔、してる?」

 見あげたら、ディゼは、ちいさく呻いた。


「……今すぐ足開かせて、めちゃくちゃに突っ込んでって顔」

 ガリ、と耳朶を噛まれた僕は、ビクンと震えた。

 くちゅりと、お尻が濡れる音が、聞こえた気がした。


 淫魔の血を引く俺は、18歳になったら、えっち解禁だ。
 後ろを使うか、前を使うか、1ミリも悩まなかった。

 ディゼに、して欲しかったから。


 天下一な尻を持つ淫魔と、元魔王の血を継ぐ俺は、淫魔の素質はそんなにない。
 ♡の尻尾もちっちゃくて、脱がないと見えない。

 純粋な淫魔は、えっちする、もしくは精気を吸わないと死んじゃうという過酷な種族だ。

 俺はそこまでじゃないけど、えっちなことをしなかったり、精気をもらえなかったりすると、元気はなくなる。体調も悪くなる。


 淫魔なら、どんなえっちも選り取り見取り、どんな無茶にもお応えします♡ な素晴らしいお尻を持ってる。

 俺のお尻は、若干素質ある? くらいだと思う。


 だから、ちゃんと拡張しないと裂けちゃうんだよ!
 いきなり入れるとか真剣に無理!!

 なので、ディゼのおっきそうなのを嵌めてもらうために、ディゼに拡張して欲しくて、お尻いじってとおねだりしてた。


『お尻いじってくれないと、親父に言いつけてぽこぽこにしてもらうんだから!』

 とかもう本当に恥ずかし過ぎて、必死過ぎて埋まりたい。
 そんなことに使われた親父にも、ごめんなさい!


『お尻いじってくれないと、眠れないもん。
 いじって、ディー♡』

 とかおねだりして、毎晩いじってもらってた。

 淫魔パワーもあって、お尻がくちゅくちゅ濡れるようにもなった。


 …………だから、あの、俺のお尻は、たぶん、ディゼのを受け容れる準備は、万端だと思われます…………!







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