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召喚系配信者、幼馴染と向き合う
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「どうしたんだよ玖音、こんなとこに呼び出してさ」
ここは俺達が産まれる前まで営業していた廃倉庫だ。
誰も買い取らず、いわく付きと噂されている。
昔、4人で好奇心でこの場所に入った事がある。特に何も無かった。
俺は久しぶりに海斗をスマホでこの場所に呼び出した。
理由はただ一つ。
「涼ちゃんから手を引け」
海斗は驚いたように目を見開くと、口角を上げて笑う。
「なんだ? 勇気を出して告白でもするのか? でも悪いが俺は⋯⋯」
「そうじゃない」
「ん?」
俺は海斗の本性を知っている事を打ち明けた。
俺の話を最後まで聞いた後、悪びれる様子も隠す様子も無く、ただ不敵に笑った。
「それで、なんだ?」
「涼ちゃんから手を引いてくれ⋯⋯彼女をそっち側に引きずり込まないでくれ」
「なるほど⋯⋯まるでヒーロー気取りだな。お前になんの権利や権限がある? アイツは自分で望んで俺の隣にいる⋯⋯お前には関係ない。何があっても自業自得だろ?」
確かに⋯⋯そうかもしれない。
俺の中で涼子に対する想いは数年前に消えていると思う。
実際、彼女がよからなぬ事で逮捕されようとも、俺は最初は悔しかったり辛かったり思うだろうが数時間で気にしなくなる。
それだけ、俺達の関係は⋯⋯俺の中では風化している。
でも⋯⋯違う。
「海斗の言っている事は正しいかもしれない。だけど、行いが正しいとは思わない」
「つまり?」
「俺は俺が涼ちゃんを助けたいと思うから⋯⋯行動してる。海斗の行動が正しくないと思うから、お前を止めたいと思うから⋯⋯俺はこうしている。と、思う」
「助けたいと思うから助けるって⋯⋯それじゃ本当にヒーロー気取りじゃねぇか。アイツを思い出して虫唾が走る」
海斗は頭をガリガリと掻きむしり行き場のない怒りをとばす。
深呼吸して、俺を睨む。
「ぶっちゃけアイツらも何か消えたし、涼子の体は下の上ってレベルだから手を引くのは構わない。もう、今のアイツに利用価値も興味も無いからな」
俺が強く睨むと、海斗はヘラヘラと笑う。
「それで、お前は本当は俺に何して欲しいの?」
「怪しい事から手を洗って欲しい。俺達と一緒に⋯⋯また昔みたいに普通で仲の良い⋯⋯幼馴染をしよう。俺が本当に望んでいる事は⋯⋯海斗が危険な事から足を洗う事だ。それだったら⋯⋯涼ちゃんも幸せのままでいられる」
そこに真の愛情が無くても⋯⋯今の涼子は幸せだと思うから。
俺は涼子の幸せを壊したい訳じゃない。
「あははは! 面白いな。何様だよマジで!」
腹を抱えてバカ笑いする海斗。
「⋯⋯嫌だね。俺は今の生活が気に入ってんだよ。誰にも縛られない自由に生きている今の人生がさ。人は簡単には変わらない。分かるか?」
「そうか」
やっぱり⋯⋯ダメか。
「涼子からは手を引いてやる。お前の事も悪く言わない⋯⋯だが、1つ条件がある」
「なんだ?」
「咲夜を寄越せ。アイツの体は上の上⋯⋯それ以上だ。金になる」
「断る」
自分でも驚くくらいの即答をしたと思う。
咲夜は物じゃないとか、俺が決める権利はないとか、他に言える事があった。
端的に言い放つのはまるで、咲夜は俺の⋯⋯。
「そうか。じゃあ交渉決裂だな。分かりきっていた事だが」
「そうだな。だが涼ちゃんは解放して貰う。あの子はただの被害者だ。お前の失恋で歪んだ本性のな」
「あぁ?」
「俺が気づいていないと思うか? 俺はあまり鈍感じゃないぞ」
人の感情の変化に気づける。
ただ⋯⋯鈍感でありたいと心が願って向けられる想いから逃げているだけだ。最低だな。
「鈍感じゃない?」
「ああ。お前が歪んだのは⋯⋯中学2年生の夏前だったか?」
「⋯⋯」
俺を視線だけで殺すんじゃないか、それ程までに鋭い眼差しを向けて来る。
コイツにとってこれは地雷だったのかもしれない。
中学2年⋯⋯色々とあり俺達の関係に深い溝が出来た年だ。
「お前は純粋な気持ちで咲夜が好きだっただろ。涼ちゃんや他の女子、友人達にも向けない視線でいつも見ていた」
「⋯⋯黙れ」
低い声で小さく怒りの言葉を漏らす海斗。
俺は黙らない。
「だがある日からお前のその好意の視線は憎悪や嫌悪に近い鋭いモノとなった⋯⋯同時に咲夜と海斗の会話の数も減っただろ?」
「黙れ!」
「そして中学2年の夏祭りの日に海斗と涼ちゃんが付き合った。その後、戦う前に失恋した俺が上辺だけの付き合いをして4人で会う機会は段々と減ったんだ」
「⋯⋯」
「お前はフラれたからそうなったんだ。だから咲夜に固執している。どんなに金だの体だの言っても変わらない。お前が求めているのは咲夜その人だ!」
「⋯⋯ッ!」
海斗が言ったんだ。
人は簡単には変わらない。今の人生を気に入っているなら尚更だ。
なら、大きなきっかけと望まぬ人生があれば⋯⋯人は簡単に変わるのだろう。
初恋は呪いと言う人がいれば、正しくその通りだろう。
今尚、海斗は初恋に縛られている。
歪み闇に染った状態で。
「思い出したか? もうこれ以上、涼ちゃんをお前の歪みに巻き込むな」
「はぁ。違うな。分かってない。それで鈍感じゃない? 笑わせるなよ」
低い声で言われる。
⋯⋯違うのか?
「俺が涼子を使った理由はな⋯⋯お前を絶望させたかったからだ! 俺の本性を知ってるなら知ってるよなぁ?」
確かに⋯⋯学校でそんな事言っていた気がする。
他の事の方が重要過ぎてすっかり頭から抜け落ちていた。
「⋯⋯俺を絶望させたい?」
引っかかる点だ。
「俺が海斗に何をした?」
「⋯⋯何もしてない」
短く来た返事。
何もしてないなら⋯⋯なんで?
「何もしてないんだよお前は!」
次の瞬間、怒声が倉庫内に響いた。
「何もしてないのに、たまたま気に入られる言葉を投げかけただけのお前が優先される! 何もしてないくせに周りはいつもいつもお前ばかりを見る! こんな理不尽があるかよ!」
⋯⋯そんな⋯⋯事は。
「たまたまが何回も起こっただけの、運だけの野郎になんで俺が負けないといけないんだよ! 玖音なんざ俺と比べたら運動も何も出来ないのによぉ! おかしいだろぉ! それが昔からウザかったんだよ!」
俺には身に覚えの無い事だけど⋯⋯海斗の中ではそれが積み重なっていたんだろう。
確かに⋯⋯俺は鈍感かもしれない。
海斗の苦しみや悔しさ⋯⋯全然気づいてやれなかった。
でも。
「⋯⋯それが言い訳になると思ってんのか?」
「あぁん?」
だけどそれは俺の問題だ。
「運とか関係無いだろ。結局お前は俺への怒りを晴らすために何の罪もない周りを巻き込んだんだ。俺が嫌いなら俺に直接当たれよ! 周りを巻き込むな。周りを悲しませるな! ⋯⋯自分都合で世界が動くと勘違いすんな自己中野郎!」
かなりの罵声がスラスラと出た。
喉が痛い。
「⋯⋯ああそうかよ! じゃあ、そうさせて貰うよ!」
俺が焚き付けたのだが、海斗は俺に殴り掛かる。
ガードは出来ずに顔面を殴られ、床を転がる。
自分でも言っていたように、海斗は昔から運動が良く出来る。
フィジカルでは圧倒的に負けてるだろう。
だが、俺には盟約の加護がある。その力で常人離れした肉体をしている。
だから俺は⋯⋯今は盟約の加護の力を無くした。
再生能力向上も防御力向上も必要ない。
あってはダメなんだ。
盟約の力を使っては⋯⋯海斗の言っていたままだからだ。
この力も運が良かっただけに過ぎない。
だから今は、今だけは⋯⋯俺の持てるだけの力で戦うんだ。
召喚世界に意識を向け⋯⋯繋がりを断つ。
脳内にけたたましく鳴り響く否定的なアラーム。
誰もが盟約の力を封印して欲しくないと思ってくれているらしい。
⋯⋯でも⋯⋯それじゃ⋯⋯男じゃない。
「お前から殴ったんだからな」
「だからどうした!」
「男らしく、殴り合いの喧嘩だな!」
「顔の原型が保てない程にボコボコにしてやるよ!」
俺と海斗は同時に走り出し⋯⋯海斗の拳が俺の腹に突き刺さる。
「がはっ」
痛いッ!
久しぶりに感じるちゃんとした痛みは⋯⋯想像を絶する痛みだった。
「ゴホゴホ」
地面に転がり、腹を抑える。
痛みは増すばかりで引かない。
「なんだよ⋯⋯ダサっ」
海斗が俺に乗りかかろうとしたタイミングで全力で転がった。
何とか距離を開けた。
「まだ⋯⋯終わらない」
ダサくても良い。
情けなくても良い。
この喧嘩だけには⋯⋯勝つんだ。
それがケジメってもんだろ。
ここは俺達が産まれる前まで営業していた廃倉庫だ。
誰も買い取らず、いわく付きと噂されている。
昔、4人で好奇心でこの場所に入った事がある。特に何も無かった。
俺は久しぶりに海斗をスマホでこの場所に呼び出した。
理由はただ一つ。
「涼ちゃんから手を引け」
海斗は驚いたように目を見開くと、口角を上げて笑う。
「なんだ? 勇気を出して告白でもするのか? でも悪いが俺は⋯⋯」
「そうじゃない」
「ん?」
俺は海斗の本性を知っている事を打ち明けた。
俺の話を最後まで聞いた後、悪びれる様子も隠す様子も無く、ただ不敵に笑った。
「それで、なんだ?」
「涼ちゃんから手を引いてくれ⋯⋯彼女をそっち側に引きずり込まないでくれ」
「なるほど⋯⋯まるでヒーロー気取りだな。お前になんの権利や権限がある? アイツは自分で望んで俺の隣にいる⋯⋯お前には関係ない。何があっても自業自得だろ?」
確かに⋯⋯そうかもしれない。
俺の中で涼子に対する想いは数年前に消えていると思う。
実際、彼女がよからなぬ事で逮捕されようとも、俺は最初は悔しかったり辛かったり思うだろうが数時間で気にしなくなる。
それだけ、俺達の関係は⋯⋯俺の中では風化している。
でも⋯⋯違う。
「海斗の言っている事は正しいかもしれない。だけど、行いが正しいとは思わない」
「つまり?」
「俺は俺が涼ちゃんを助けたいと思うから⋯⋯行動してる。海斗の行動が正しくないと思うから、お前を止めたいと思うから⋯⋯俺はこうしている。と、思う」
「助けたいと思うから助けるって⋯⋯それじゃ本当にヒーロー気取りじゃねぇか。アイツを思い出して虫唾が走る」
海斗は頭をガリガリと掻きむしり行き場のない怒りをとばす。
深呼吸して、俺を睨む。
「ぶっちゃけアイツらも何か消えたし、涼子の体は下の上ってレベルだから手を引くのは構わない。もう、今のアイツに利用価値も興味も無いからな」
俺が強く睨むと、海斗はヘラヘラと笑う。
「それで、お前は本当は俺に何して欲しいの?」
「怪しい事から手を洗って欲しい。俺達と一緒に⋯⋯また昔みたいに普通で仲の良い⋯⋯幼馴染をしよう。俺が本当に望んでいる事は⋯⋯海斗が危険な事から足を洗う事だ。それだったら⋯⋯涼ちゃんも幸せのままでいられる」
そこに真の愛情が無くても⋯⋯今の涼子は幸せだと思うから。
俺は涼子の幸せを壊したい訳じゃない。
「あははは! 面白いな。何様だよマジで!」
腹を抱えてバカ笑いする海斗。
「⋯⋯嫌だね。俺は今の生活が気に入ってんだよ。誰にも縛られない自由に生きている今の人生がさ。人は簡単には変わらない。分かるか?」
「そうか」
やっぱり⋯⋯ダメか。
「涼子からは手を引いてやる。お前の事も悪く言わない⋯⋯だが、1つ条件がある」
「なんだ?」
「咲夜を寄越せ。アイツの体は上の上⋯⋯それ以上だ。金になる」
「断る」
自分でも驚くくらいの即答をしたと思う。
咲夜は物じゃないとか、俺が決める権利はないとか、他に言える事があった。
端的に言い放つのはまるで、咲夜は俺の⋯⋯。
「そうか。じゃあ交渉決裂だな。分かりきっていた事だが」
「そうだな。だが涼ちゃんは解放して貰う。あの子はただの被害者だ。お前の失恋で歪んだ本性のな」
「あぁ?」
「俺が気づいていないと思うか? 俺はあまり鈍感じゃないぞ」
人の感情の変化に気づける。
ただ⋯⋯鈍感でありたいと心が願って向けられる想いから逃げているだけだ。最低だな。
「鈍感じゃない?」
「ああ。お前が歪んだのは⋯⋯中学2年生の夏前だったか?」
「⋯⋯」
俺を視線だけで殺すんじゃないか、それ程までに鋭い眼差しを向けて来る。
コイツにとってこれは地雷だったのかもしれない。
中学2年⋯⋯色々とあり俺達の関係に深い溝が出来た年だ。
「お前は純粋な気持ちで咲夜が好きだっただろ。涼ちゃんや他の女子、友人達にも向けない視線でいつも見ていた」
「⋯⋯黙れ」
低い声で小さく怒りの言葉を漏らす海斗。
俺は黙らない。
「だがある日からお前のその好意の視線は憎悪や嫌悪に近い鋭いモノとなった⋯⋯同時に咲夜と海斗の会話の数も減っただろ?」
「黙れ!」
「そして中学2年の夏祭りの日に海斗と涼ちゃんが付き合った。その後、戦う前に失恋した俺が上辺だけの付き合いをして4人で会う機会は段々と減ったんだ」
「⋯⋯」
「お前はフラれたからそうなったんだ。だから咲夜に固執している。どんなに金だの体だの言っても変わらない。お前が求めているのは咲夜その人だ!」
「⋯⋯ッ!」
海斗が言ったんだ。
人は簡単には変わらない。今の人生を気に入っているなら尚更だ。
なら、大きなきっかけと望まぬ人生があれば⋯⋯人は簡単に変わるのだろう。
初恋は呪いと言う人がいれば、正しくその通りだろう。
今尚、海斗は初恋に縛られている。
歪み闇に染った状態で。
「思い出したか? もうこれ以上、涼ちゃんをお前の歪みに巻き込むな」
「はぁ。違うな。分かってない。それで鈍感じゃない? 笑わせるなよ」
低い声で言われる。
⋯⋯違うのか?
「俺が涼子を使った理由はな⋯⋯お前を絶望させたかったからだ! 俺の本性を知ってるなら知ってるよなぁ?」
確かに⋯⋯学校でそんな事言っていた気がする。
他の事の方が重要過ぎてすっかり頭から抜け落ちていた。
「⋯⋯俺を絶望させたい?」
引っかかる点だ。
「俺が海斗に何をした?」
「⋯⋯何もしてない」
短く来た返事。
何もしてないなら⋯⋯なんで?
「何もしてないんだよお前は!」
次の瞬間、怒声が倉庫内に響いた。
「何もしてないのに、たまたま気に入られる言葉を投げかけただけのお前が優先される! 何もしてないくせに周りはいつもいつもお前ばかりを見る! こんな理不尽があるかよ!」
⋯⋯そんな⋯⋯事は。
「たまたまが何回も起こっただけの、運だけの野郎になんで俺が負けないといけないんだよ! 玖音なんざ俺と比べたら運動も何も出来ないのによぉ! おかしいだろぉ! それが昔からウザかったんだよ!」
俺には身に覚えの無い事だけど⋯⋯海斗の中ではそれが積み重なっていたんだろう。
確かに⋯⋯俺は鈍感かもしれない。
海斗の苦しみや悔しさ⋯⋯全然気づいてやれなかった。
でも。
「⋯⋯それが言い訳になると思ってんのか?」
「あぁん?」
だけどそれは俺の問題だ。
「運とか関係無いだろ。結局お前は俺への怒りを晴らすために何の罪もない周りを巻き込んだんだ。俺が嫌いなら俺に直接当たれよ! 周りを巻き込むな。周りを悲しませるな! ⋯⋯自分都合で世界が動くと勘違いすんな自己中野郎!」
かなりの罵声がスラスラと出た。
喉が痛い。
「⋯⋯ああそうかよ! じゃあ、そうさせて貰うよ!」
俺が焚き付けたのだが、海斗は俺に殴り掛かる。
ガードは出来ずに顔面を殴られ、床を転がる。
自分でも言っていたように、海斗は昔から運動が良く出来る。
フィジカルでは圧倒的に負けてるだろう。
だが、俺には盟約の加護がある。その力で常人離れした肉体をしている。
だから俺は⋯⋯今は盟約の加護の力を無くした。
再生能力向上も防御力向上も必要ない。
あってはダメなんだ。
盟約の力を使っては⋯⋯海斗の言っていたままだからだ。
この力も運が良かっただけに過ぎない。
だから今は、今だけは⋯⋯俺の持てるだけの力で戦うんだ。
召喚世界に意識を向け⋯⋯繋がりを断つ。
脳内にけたたましく鳴り響く否定的なアラーム。
誰もが盟約の力を封印して欲しくないと思ってくれているらしい。
⋯⋯でも⋯⋯それじゃ⋯⋯男じゃない。
「お前から殴ったんだからな」
「だからどうした!」
「男らしく、殴り合いの喧嘩だな!」
「顔の原型が保てない程にボコボコにしてやるよ!」
俺と海斗は同時に走り出し⋯⋯海斗の拳が俺の腹に突き刺さる。
「がはっ」
痛いッ!
久しぶりに感じるちゃんとした痛みは⋯⋯想像を絶する痛みだった。
「ゴホゴホ」
地面に転がり、腹を抑える。
痛みは増すばかりで引かない。
「なんだよ⋯⋯ダサっ」
海斗が俺に乗りかかろうとしたタイミングで全力で転がった。
何とか距離を開けた。
「まだ⋯⋯終わらない」
ダサくても良い。
情けなくても良い。
この喧嘩だけには⋯⋯勝つんだ。
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