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吐かれた
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翌日、俺達は目的の場所に向かった。そこは道場であり、中では数人が瞑想していた。それを見守っている男に俺達は話し掛けた。
道着を着込み、髭がザラザラと生えている痩せているおじさん。
「魔力の扱い方を教わりに来ました」
「⋯⋯俺は善意で人に教えている訳では無い。金はあんのか?」
「必要な分は」
「そうか。なら二人とも、そこに座れ」
言われた通りに俺達は男の前に座る。
ロン毛の男は先に俺の肩に触れた。
俺に魔力を流して操り方を体に覚えさせて行くみたいだ。
「うぷ」
すぐさま手を離して少し距離を取られた。
その反応に俺達はキョトンとする。
「すまん。男、お前は無理だ」
「何故に?」
「濃すぎる。お前の魔力が濃すぎて俺じゃ外部から魔力を流せない」
「無理矢理した場合は?」
「今はギリギリ耐えれたが、三秒したら嘔吐する。六秒したら失神、下手をしたら俺の魔力が暴走する。その後は知らん」
「まじかー」
サナは問題ないらしく、俺はそんな二人を見ながら独学でやる事になった。
魔力を自分だけで操る様に成るのはかなり難しいと言われた。
だけど、やるしかない。
しかし、認識出来ても上手く操る事が出来ない。
魔覇や魔武装等の魔力を操る技術や技は会得したい。
魔物相手には魔力は必要な力だ。
「むむ」
「女、お前センス無いな」
「サナ、怒るなよ。殴るなよ?」
「大丈夫、大丈夫?」
それから二時間ほどこの場で訓練した。
しかし、大して魔力を操る力は成長しなかった。
「お前らあそこの教会行ってみろ」
「なんでですか?」
「あそこで金を払えば、初期魔法を更に解放してくれるんだ。潜在能力だっけ? 後から覚えて使える魔法よりも初期の方が強い事が多いからな。損は無いだろ」
「確かに。本を買って勉強してるけど、上手く出来ん」
「だろうな」
魔法を会得する為にはまず、魔法陣を覚える必要がある。
そして魔力を操り魔法陣を形成すると詠唱が頭に浮かぶ。それで使える様に成るらしい。
詰まる所、操れないなら意味が無い。
その後、その場所に向かう。
唯一初期魔法を後から解放させて使える様にさせる魔法を使える人が居る教会。
魔法と言う次元を越えているとこの国では言われているらしい。
中に入り、受け付けに金を渡して、順番が来てからその場所に向かう。
シスター服を着て、目を隠している女性だった。
一見清楚な女性⋯⋯だが、喋り方がとても陽気だった。
「こんにちわ。それでは前へ来てね~」
俺が先に行き、両手を伸ばせと言われたので伸ばす。
その手を相手が取り、全身が青くなる。
「おええええええええ!」
吐かれた。それはもう見事に吐かれた。
汚物は光に反射しながら俺の服にべチャリと付着した。
感じる臭いと感覚。
「お兄ちゃんステイ! ステイだよ!」
怒ってない。怒ってない。
「すみません。魔力が濃すぎて一瞬で酔いました。癒せ癒せ、我が声に応えてくださいませ。我が身は御身の為に、我が心は御身の為に、彼の者の汚れを晴らせ、聖洗浄」
服が光、汚物が消えて行く。
こんな魔法もあるのかと、関心していると次に俺は無理だと言われた。
魔力が濃いと魔法の力は上がる。だが、濃すぎると色々と出来ない事がある。
「無理ですね。あれ以上触れていると死にます。死ねます。超死ねます」
断固拒否されたので、俺は泣く泣く下がる。
次にサナが行き、手を重ねる。
「濃くはありますが、許容範囲です。良かったぁ。それでは行きますね」
「お願いします!」
「あぁ、神よ! か弱き我らに道を示してくださいませ! あぁ神よ! 新たな力を与えてくださいませ! 天明は来たり。クラスアップ」
「⋯⋯」
「さぁ、いくつの魔法が浮かびましたか?」
「一個」
「魔法の才能が無いのですね!」
サナが殴りそうに成ったので必死に抑えて引っ張って外に出た。
俺は増えず、サナは一個だけ。
その後は昼食を食べて二人だけで魔力操作の練習をした。
合計で金額60枚消費して、銅貨35枚消費した。
このまま使い続けると、いずれ金が無くなる。
旅をスムーズに行いし、やっぱり金回りの良い事をしないとな。
「スピぃー」
「全く。腹を出して寝ると風邪引くぞ」
ま、その程度じゃ風邪なんて引かないけどね。
俺達は今日はのんびりするつもりであり、私服である。一応護身用の武器は持っている。
俺は懐に短剣を、サナは普通に刀を持っている。
膝を枕にして寝ているサナを撫でながら、風を感じる。
今いる場所は鉱山の頂上である。
鉱山と言っても、ここは観光用の山であり、業務場所はまた違う。
ここからでもいくつかの山が見える。今も色んな人が鉱山を掘って武具を造っているのだろう。
「そういやぁ。ここで水球を製造しているんだっけ? どっかで詳しく聞けたら良いな」
いつ役立つかも分からんしな。覚えていて損は無いだろう。
出来るかは別だがな。知識として覚えておきたい。
「お兄ちゃん。魔力、操るの、へちゃ」
「どんな夢見てんだよ」
サナに嫌味を込めてほっぺを突いてやった。ぷにぷにしている。
「なんか面白いな」
俺も子供の時にやられたなぁ。面倒くさくて突っぱね様としても結局やられる。
あの時の苦い思い出が蘇る。
「すみません。君達が昨日、アギラの酒場を壊した人達ですか?」
「どちら様で?」
「失礼。まずは自己紹介を。僕はABクラン副マスター、クリフと申します。昨日の件の謝罪を込めて、我がクランにご招待したくお探ししておりました」
「わざわざ副長自ら出迎えるとは、嬉しいねぇ」
「ご冗談を。宿の時から我がクランの追っ手からずっと逃げながら行動してましたよね? ですので、僕が動いたのです」
「そんな事知りませんよ。あと、もう関わらないでくれませんか? 俺達はもう何も思ってませんから」
爽やかな笑顔と白黒の鎧が特徴は青年が昨日の男達が所属しているクランの副マスターね。
見た目ではそう思えないが、人は見かけに寄らない。
俺はこの身を持ってそれを覚えている。見た目は子供なのに、あの力を覚えている。
やばい。トラウマが。
「⋯⋯ウチのクラメンが元々悪い。あなた方が払ったお金の返却を検討しております」
「サナ起きろ。行くぞ」
「ふへ?」
「ほらヨダレ拭け。みっともない」
俺の手の平返しに渋い顔している副マスターを笑顔で対応する。
そのまま案内されるがままに俺達はアルティメットバハムートのクランへと足を運ぶ。
◆
ここはとある貴族の娘の部屋。
そこで娘は勉強をしていた。
「悪いが少し黙って貰う。黙って貴様の父親の場所を言え」
「ん! ん~ん~!」
「喚くな。ここは既に防音結界の護符で囲んである。多少の声では意味は無い。体力を無駄にするだけだ」
娘の口を塞いで首元にナイフを突き付ける。
声は女性、見た目は分からない。
「死にたく無ければ父親の場所を言え」
だが、顔を横に振る娘。暗殺者の女性はナイフを仕舞った。
「時間は無駄に出来ん。去る⋯⋯」
ドアをこじ開けて中に入って来たのは金色の剣を持った少年だった。
護衛として雇われていた冒険者である。
「トイレ言っている間に侵入しやがって」
「何故だっ! 気配は完全に消していた筈!」
「なんでお前みたいな奴は毎回そう言うんだよ! ドラマでもアニメでも無いんだぞ!」
「訳の分からない事をっ!」
ナイフと金色の剣が衝突する。
暗殺者はとある石を取り出し、それを地面に叩き付けて割った。
石の中に込められていた魔力が解放されて激しい光を生み出し視界を奪った。
金色の剣を振るい斬撃を放った。
「飛来の剣! ちぃ、逃げられた」
「あ、ありがとうございます」
「いや。問題ありませんよお嬢さん。そもそもこの依頼を受けたのは俺ですから。ソロ黒星として、貴女は守りますよ。ま、もう来ないと思いますけど」
「助かりました」
「頭を下げないでください。そもそも、相手は貴女を殺るつもりは無かった。あったら既に俺は依頼失敗です。⋯⋯アイツじゃ無かったか」
「え?」
「あ、いえ。なんでもありません」
剣を握り締める男。
(アイツだけはここで仕留める。これ以上の被害を出さない為に。これ以上、NPC達は殺らせない)
道着を着込み、髭がザラザラと生えている痩せているおじさん。
「魔力の扱い方を教わりに来ました」
「⋯⋯俺は善意で人に教えている訳では無い。金はあんのか?」
「必要な分は」
「そうか。なら二人とも、そこに座れ」
言われた通りに俺達は男の前に座る。
ロン毛の男は先に俺の肩に触れた。
俺に魔力を流して操り方を体に覚えさせて行くみたいだ。
「うぷ」
すぐさま手を離して少し距離を取られた。
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「何故に?」
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「無理矢理した場合は?」
「今はギリギリ耐えれたが、三秒したら嘔吐する。六秒したら失神、下手をしたら俺の魔力が暴走する。その後は知らん」
「まじかー」
サナは問題ないらしく、俺はそんな二人を見ながら独学でやる事になった。
魔力を自分だけで操る様に成るのはかなり難しいと言われた。
だけど、やるしかない。
しかし、認識出来ても上手く操る事が出来ない。
魔覇や魔武装等の魔力を操る技術や技は会得したい。
魔物相手には魔力は必要な力だ。
「むむ」
「女、お前センス無いな」
「サナ、怒るなよ。殴るなよ?」
「大丈夫、大丈夫?」
それから二時間ほどこの場で訓練した。
しかし、大して魔力を操る力は成長しなかった。
「お前らあそこの教会行ってみろ」
「なんでですか?」
「あそこで金を払えば、初期魔法を更に解放してくれるんだ。潜在能力だっけ? 後から覚えて使える魔法よりも初期の方が強い事が多いからな。損は無いだろ」
「確かに。本を買って勉強してるけど、上手く出来ん」
「だろうな」
魔法を会得する為にはまず、魔法陣を覚える必要がある。
そして魔力を操り魔法陣を形成すると詠唱が頭に浮かぶ。それで使える様に成るらしい。
詰まる所、操れないなら意味が無い。
その後、その場所に向かう。
唯一初期魔法を後から解放させて使える様にさせる魔法を使える人が居る教会。
魔法と言う次元を越えているとこの国では言われているらしい。
中に入り、受け付けに金を渡して、順番が来てからその場所に向かう。
シスター服を着て、目を隠している女性だった。
一見清楚な女性⋯⋯だが、喋り方がとても陽気だった。
「こんにちわ。それでは前へ来てね~」
俺が先に行き、両手を伸ばせと言われたので伸ばす。
その手を相手が取り、全身が青くなる。
「おええええええええ!」
吐かれた。それはもう見事に吐かれた。
汚物は光に反射しながら俺の服にべチャリと付着した。
感じる臭いと感覚。
「お兄ちゃんステイ! ステイだよ!」
怒ってない。怒ってない。
「すみません。魔力が濃すぎて一瞬で酔いました。癒せ癒せ、我が声に応えてくださいませ。我が身は御身の為に、我が心は御身の為に、彼の者の汚れを晴らせ、聖洗浄」
服が光、汚物が消えて行く。
こんな魔法もあるのかと、関心していると次に俺は無理だと言われた。
魔力が濃いと魔法の力は上がる。だが、濃すぎると色々と出来ない事がある。
「無理ですね。あれ以上触れていると死にます。死ねます。超死ねます」
断固拒否されたので、俺は泣く泣く下がる。
次にサナが行き、手を重ねる。
「濃くはありますが、許容範囲です。良かったぁ。それでは行きますね」
「お願いします!」
「あぁ、神よ! か弱き我らに道を示してくださいませ! あぁ神よ! 新たな力を与えてくださいませ! 天明は来たり。クラスアップ」
「⋯⋯」
「さぁ、いくつの魔法が浮かびましたか?」
「一個」
「魔法の才能が無いのですね!」
サナが殴りそうに成ったので必死に抑えて引っ張って外に出た。
俺は増えず、サナは一個だけ。
その後は昼食を食べて二人だけで魔力操作の練習をした。
合計で金額60枚消費して、銅貨35枚消費した。
このまま使い続けると、いずれ金が無くなる。
旅をスムーズに行いし、やっぱり金回りの良い事をしないとな。
「スピぃー」
「全く。腹を出して寝ると風邪引くぞ」
ま、その程度じゃ風邪なんて引かないけどね。
俺達は今日はのんびりするつもりであり、私服である。一応護身用の武器は持っている。
俺は懐に短剣を、サナは普通に刀を持っている。
膝を枕にして寝ているサナを撫でながら、風を感じる。
今いる場所は鉱山の頂上である。
鉱山と言っても、ここは観光用の山であり、業務場所はまた違う。
ここからでもいくつかの山が見える。今も色んな人が鉱山を掘って武具を造っているのだろう。
「そういやぁ。ここで水球を製造しているんだっけ? どっかで詳しく聞けたら良いな」
いつ役立つかも分からんしな。覚えていて損は無いだろう。
出来るかは別だがな。知識として覚えておきたい。
「お兄ちゃん。魔力、操るの、へちゃ」
「どんな夢見てんだよ」
サナに嫌味を込めてほっぺを突いてやった。ぷにぷにしている。
「なんか面白いな」
俺も子供の時にやられたなぁ。面倒くさくて突っぱね様としても結局やられる。
あの時の苦い思い出が蘇る。
「すみません。君達が昨日、アギラの酒場を壊した人達ですか?」
「どちら様で?」
「失礼。まずは自己紹介を。僕はABクラン副マスター、クリフと申します。昨日の件の謝罪を込めて、我がクランにご招待したくお探ししておりました」
「わざわざ副長自ら出迎えるとは、嬉しいねぇ」
「ご冗談を。宿の時から我がクランの追っ手からずっと逃げながら行動してましたよね? ですので、僕が動いたのです」
「そんな事知りませんよ。あと、もう関わらないでくれませんか? 俺達はもう何も思ってませんから」
爽やかな笑顔と白黒の鎧が特徴は青年が昨日の男達が所属しているクランの副マスターね。
見た目ではそう思えないが、人は見かけに寄らない。
俺はこの身を持ってそれを覚えている。見た目は子供なのに、あの力を覚えている。
やばい。トラウマが。
「⋯⋯ウチのクラメンが元々悪い。あなた方が払ったお金の返却を検討しております」
「サナ起きろ。行くぞ」
「ふへ?」
「ほらヨダレ拭け。みっともない」
俺の手の平返しに渋い顔している副マスターを笑顔で対応する。
そのまま案内されるがままに俺達はアルティメットバハムートのクランへと足を運ぶ。
◆
ここはとある貴族の娘の部屋。
そこで娘は勉強をしていた。
「悪いが少し黙って貰う。黙って貴様の父親の場所を言え」
「ん! ん~ん~!」
「喚くな。ここは既に防音結界の護符で囲んである。多少の声では意味は無い。体力を無駄にするだけだ」
娘の口を塞いで首元にナイフを突き付ける。
声は女性、見た目は分からない。
「死にたく無ければ父親の場所を言え」
だが、顔を横に振る娘。暗殺者の女性はナイフを仕舞った。
「時間は無駄に出来ん。去る⋯⋯」
ドアをこじ開けて中に入って来たのは金色の剣を持った少年だった。
護衛として雇われていた冒険者である。
「トイレ言っている間に侵入しやがって」
「何故だっ! 気配は完全に消していた筈!」
「なんでお前みたいな奴は毎回そう言うんだよ! ドラマでもアニメでも無いんだぞ!」
「訳の分からない事をっ!」
ナイフと金色の剣が衝突する。
暗殺者はとある石を取り出し、それを地面に叩き付けて割った。
石の中に込められていた魔力が解放されて激しい光を生み出し視界を奪った。
金色の剣を振るい斬撃を放った。
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「あ、ありがとうございます」
「いや。問題ありませんよお嬢さん。そもそもこの依頼を受けたのは俺ですから。ソロ黒星として、貴女は守りますよ。ま、もう来ないと思いますけど」
「助かりました」
「頭を下げないでください。そもそも、相手は貴女を殺るつもりは無かった。あったら既に俺は依頼失敗です。⋯⋯アイツじゃ無かったか」
「え?」
「あ、いえ。なんでもありません」
剣を握り締める男。
(アイツだけはここで仕留める。これ以上の被害を出さない為に。これ以上、NPC達は殺らせない)
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