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物理系魔法少女、やれば出来る

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 骨の身体になったドラゴン、種族名はスケリトルドラゴンと言うらしい。

 魔法陣を展開するようになり、複数の魔法攻撃を駆使して来る。

 生前のレッドドラゴンの時よりもブレスの火力は上がっており、黒色の炎となっている。

 骨なのに炎系の魔法を使って来るし、骨なのに一番強い状態である。

 だが、そんな魔法達をあまり使わずに奴は物理攻撃で攻めて来る。

 「ちぃ」

 地面をえぐりながら迫って来る突進をジャンプして回避する。

 「わたくしもいますわよ!」

 シロエさんの闇の魔法を結界で最初は防ぎ、その後は飛行で回避して行く。

 スピードが上がっている事により偏差撃ちも上手く決まらない。

 「オラッ!」

 爪の攻撃に合わせて突き出した拳を翻して回避され、その勢いを利用した尻尾の攻撃がダメージを与えて来る。

 俺の攻撃タイミングが相手に完璧に読まれている。

 『まじで何回も蘇っただけはあるな』
 『戦闘パターンを把握されるのは厄介だな』
 『アカツキに関してはそれも分かりやすいしな』

 『天敵はこんなすぐ近くに⋯⋯』
 『新しい事をしないとな』
 『学習能力がアカツキ以上だな。脳ないのに』

 『アンデッドの方が賢い⋯⋯いつもの事か?』
 『今までと違う点は喋らない事やね』
 『がんば』

 『負けそうじゃない?』
 『ついに敗北か?』
 『逃げてくれぇええええ!』

 ドラゴンが俺からシロエさんにターゲットを切り替え、瞬時に魔法を連射する。

 シロエさんは闇でその魔法群に立ち向かい、防いで行く。

 俺も走って接近して、闇を破壊するために振るわれた爪を蹴飛ばす。

 大したダメージではないが、攻撃は通った気がする。

 「ぬっ!」

 俺を囲むように魔法陣が展開されている。確実に分かっていたんだ。

 シロエさんに爪を振るおうとすれば俺が弾くと、アイツは分かった上で行動しているんだ。

 罠にハマった訳か。

 「クソっ」

 ステッキを投げて魔法陣を一つ破壊し、もう一つを拳で破壊する。

 まだ放たれてないので、一つの魔法陣は掴んで回収しておく。

 減った魔法陣から炎が飛ばされるが、魔法陣を横薙ぎに振るって切断する。

 「そんな事もできましたの!」

 「人間やればできるもんさ!」

 『できねぇよ!』
 『触れないわ!』
 『人間、じゃなくて脳筋魔法少女だからだろ!』

 『これぞマジカル』
 『不思議だなぁ』
 『魔法陣カッターだ』

 俺は空を飛び回るドラゴンに向かって魔法陣をぶん投げた。

 回転の乗った魔法陣は手裏剣のようにまっすぐ飛来し、途中で消えた。

 魔法陣は掴むと魔法を放たれないが、一定時間で消えるらしい。

 「今の一撃で当てたかったな」

 また学習されるだろう。

 俺達の上空に巨大な魔法陣を形成する。

 「アカツキさん!」

 「あいよ!」

 危険だと判断した俺はシロエさんの誘いに乗って闇の中に避難する。

 上に広がった闇に落とされる落雷のごとき炎に闇が徐々に押されていく。

 「わたくしはまだ、終わりませんわよ!」

 魔法が収まり、シロエさんは闇で大砲のようなモノを形成する。

 「吹き飛びなさい!」

 そこからチャージした闇を発射した。

 「グガアアアアアアア!」

 炎を纏って伸ばした爪を振るい、その闇を破壊した。

 放たれた闇の中に入っていたが、ギリギリで俺には当たらなかった。だから反撃に移る。

 「吹っ飛べや!」

 「グガアアアアアアア」

 何となく予想してたのか、驚いた様子は見せずに冷静に、俺の腹辺りに結界を広げた。そのせいでパンチができなかった。

 「お前、人体の構造を学習したのか?」

 パンチを防いでも意味は無いと判断したのか、パンチをさせない方法を取りやがった。

 だけどそれは愚策だぜ。なぜなら、俺の足場に⋯⋯。

 「ぬおおおおおおお!」

 くっそアイツ結界消しやがった!

 だけど俺にはステッキがあるんだよ!

 スケボーに見た目を変えて、それを足場にジャンプする。

 「これはどう防ぐよ!」

 ドラゴンを中心に炎の竜巻が広がり、俺の身体が巻き込まれて引っ張られる。

 さすがにこれは厄介だな。

 「オラッ!」

 拳を振るって破壊すると、既にドラゴンはさらなる高みに到達していた。

 「落ちなさい!」

 シロエさんがドラゴンの魔法をぱくったかのように、先程と同じくらいの大きさの魔法陣を展開する。

 剣でありながら落雷のような一撃、それを闇で作り出してドラゴンに落とした。

 結界も間に合わずに地面に向かって落ちて行く。

 「沈め!」

 シロエさんの生み出した闇の海に沈んで行くドラゴン。

 「白き闇に呑まれ、絶叫すら響かない、永遠の孤独を噛み締め沈め、白闇牢獄ホワイトダーク・プリズン

 先程まで、水のように柔らかかった闇がコンクリートのように固まる。

 ドラゴンの頭がある位置にそれらしいマークを闇で残してくれている。

 「ステッキ!」

 俺はステッキを戦鎚のようにして質量を上げる。

 「砕け散れ!」

 俺は硬くなった闇に向かってハンマーを叩き落として、闇ごとドラゴンを砕いた。

 つもりだった。

 「いない!」

 「どうしてですわ!」

 シロエさんの驚愕も分かる。確実に決まったはずなのに、ドラゴンに当たった感触がなかった。

 すると、アイツは火球となりながら地面に落下して来た。

 「転移?」

 「いえ⋯⋯まさかっ!」

 シロエさんがそこで気づいた。

 「自分を魔法にして放ったのですの?」

 なんじゃそりゃ。
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