61 / 86
61
しおりを挟む
勇気を振り絞り、色んな人に声をかけてみた。
分かった事と言えば、この子は実体は存在するけど、俺以外には見えていない⋯⋯って感じだ。
話しかける度に見つめられるあの目は⋯⋯辛かったか。
軽蔑の眼差しから徐々にキモイ奴を見る目に変わるのは面白かった。
殆どがこのような反応だ。
中には、見えない女の子に触れようとした人も居た。
だが、相手からは触れられなくて(躱されていた)、女の子からは触れられたと言う事が起こった。
「どうするべきか。俺一人じゃ解決出来ない問題だ」
記憶喪失のダンジョンに居た女の子なんて怪しすぎる。
本当に現実世界に居ても良い存在かも怪しい。
「質問券を使いたいぜ」
これこそ、神の力を借りたいモノである。
公園のベンチで一人項垂れる。
「あ、あのブランコ勝手に動いてるぞ!」
「やべぇ! 怪奇現象だ!」
「分かんねぇぞ! あのデブ野郎のスキルかもしれねぇ!」
「き、聞いてみようぜ」
「お、お前行けよ」
「い、嫌だよ」
ガキ共の会話が聞こえて来る。
無視で良いだろう。
「こっれ楽しー!」
女の子はブランコにご満悦の様子だ。
ああ見ると、本当にただの女の子なんだよな⋯⋯。
「あの男、勝手に動くブランコ見て微笑んでるぞ」
「きもっ、あっち行こうぜ」
少年共、俺も気持ちは分かるから怒らないでやる。
俺以外に見えないなら、このまま逃げ帰っても良いんじゃないか?
⋯⋯それだと、拾った子を適当な場所に放置した真の最低野郎になるのか。
「でもなぁ。施設も警察も頼りにならないってなると、どうっすかなぁ」
そう悩んでいると、女の子が寄って来た。
足に手を置いてくる。ちっさい手。
俺の太ももが大きいのか?
「お腹減った」
「空腹感もあるのかよ」
「生きてれば腹も減るよ」
「ごもっとも」
とりま家に帰るか。
なにかあるかな?
「ただいま」
「おかえりなさい」
「なんで君が言うの?」
「今後、言うかもしれないから、その練習」
そんな練習は必要ありません。
誰も居ないのかな?
いや、愛梨の気配が薄らする。
「あ、おかえり日向くん。もう少しで晩御飯出来るから手洗って来て」
「楽しんできた?」
「うん。すっごく楽しかったよ。⋯⋯って、その子誰?」
「あぁ、実は⋯⋯見えてるの?」
愛梨が女の子を指さしながら言って来た。
え、なんで?
街歩く人や警察、病院の先生までこの子の姿は見えなかったんだぞ?
寺まで行ってお坊さんにも診てもらったし、施設まで行った。
誰一人、この子の姿を見える人が居なかった。
なのに、愛梨、お前は見えるのか?
この子が?
今、お腹が減り過ぎたのか、愛梨の作った晩御飯を凝視しているこの子が!
「状況を説明したい」
「う、うん。私も知りたい」
「お腹減ったよ?」
女の子と共に手を洗い、椅子に座る。
女の子は愛梨から許可を貰い、ガツガツ晩御飯を食べだした。
「で、この子誰なの?」
「ああ、実は⋯⋯」
「このハンバーグ美味しい!」
「ありがと」
「実はな」
「このスープもめっちゃ美味しい! 目玉落ちそう」
「ありがとうね」
「実は⋯⋯」
「この⋯⋯」
「ごめん少し静かに食べてくれ」
俺がそう言うと、女の子は静かに食べ始めた。
そして、これまでの経緯を話す。
「日向くん。ついに⋯⋯」
「ついになんだ」
「誘拐犯になったんだね」
「なってないわ!」
酷い誤解だ!
え、待って。
ついに、ってどう言う事? お前は俺をどー見てんだ。
誘拐では無い。勝手にこの子がついて来ただけだ。
「⋯⋯ね」
「ん?」
愛梨が女の子に話し始める。
「お家分かるかな?」
「ここ!」
「違うよね? ほら、パパとママと一緒に暮らしている場所だよ?」
「ん~わかんない。両親が居るかも分かんない! 保護者的に見たら、二人が両親?」
「え、つまり私がママで⋯⋯」
「そんな歳に見えるかよ。バカバカしい」
愛梨が鋭い眼光を向けて来た。
なぜに?
両親などの記憶は無いけど、知識的な事は覚えていると。
不思議だ。
記憶喪失ってこんなんなの?
「お名前は?」
「ナイトメア!」
「本当に、それがお名前? 漢字は?」
「漢字はないよ。ナイトメアだよ! ナイトメアはナイトメアなの!」
ナイトメアって。
両親さんはどんな想いや考えで、このような名前をこの子に付けたんだ?
愛梨も微妙な顔になったじゃないか。
いや待て。そもそもこの子が日本人って決まった訳じゃない。
水色の髪だし。藍色の瞳だし。
そんな人、純日本人にも全然普通に居る!
愛梨もそうだし。
神が黒髪だけじゃ地味だよねって言う理由で全世界の人の遺伝子が組み替えられたのだ。
よって、体毛や瞳の色は遺伝に近いけど、個性溢れる形になった。
「⋯⋯ん~美味しい~」
ナイトメアの本当に美味そうに食べる姿を見ると、何も考えられなくなるな。
少しだけほっこりする。
「なぁ愛梨」
「ん?」
「どうしようか。この子」
「そうだね。他の人が見えないなら⋯⋯保護するしか無いんじゃない? 私の部屋なら誰にも気づかれないよ」
「嫌! いくらお料理上手のべっぴんさんで、お嫁さんにしたいランキング一位及び殿堂入りしそうな貴女でも! 女侍さんの傍に居るって決めたもん!」
「女侍言うな」
「名前知らない」
「⋯⋯霧外日向、データ世界では日陰だ」
「日向パパだ」
「パパ言うな!」
「私は今は白金愛梨だよ。よろしくね」
「愛梨お姉ちゃんだ!」
パンっ! 机を思っきり叩く。
静かな殺意をナイトメアに当てる。
「なんで、日向くんが『パパ』で私が『お姉ちゃん』なのかな~?」
「⋯⋯この人怖い」
分かるぞナイトメア。
愛梨は良く分からないタイミングで怒るからな。
怒ると同時に殺気を向けて来るからな。
でも、一度Vになるとすごく推せるんだ。
おっと違った。愛梨とリイアは別人だった。
「あ、愛梨⋯⋯お姉様?」
「ちっがーう!」
俺達も晩御飯を食べ、帰って来た両親も食べ終えた。
テレビを見ているナイトメア。
「なぁ二人とも。見て見ぬふりも出来ないだろうから聞くけどさ、その子誰?」
「ナイトメアだよ!」
「元気の良い子だね~日向、俺も付き添うから自首しよう」
「私の息子がロリコンの誘拐犯だなんて⋯⋯うぅ」
「待って二人とも!」
俺は必死に説明した。
信じて貰えなかった。
幼馴染の愛梨よりも、俺を信じてくれない両親それ如何に。
信じて貰うために、俺は近くに犬の散歩をしている人に向かって、ナイトメアを歩かせた。
ナイトメアが犬に触るが、気づくのは犬だけだった。
犬は見えるようだ。
「ね?」
「不思議だな~それでも誘拐には変わりないだろ」
「そうね」
「二人はもっと俺を擁護してよ」
愛梨含む家族会議が行われ、ナイトメアが一時的にうちで保護する事に決まった。
医療の知識がある訳では無いので、記憶を戻す方法も分からない。
「アイテムを買ってやりたいけど⋯⋯結構高額なんだよな~」
「そうだね。これを一瞬で揃える事は出来ないよ。オークションする?」
「ん~止めとこう。高頻度で沢山も世間に流せない」
記憶を取り戻させるアイテムはかなり高額で簡単には購入出来ないレベルだった。
気長に待つか。
「日向~お風呂!」
「確かに沸いたな~」
ナイトメアに押される。
「ストップ! 流石にそれは色々とまずいから、私と入ろうか」
「えーそんなに幼くないよ」
「じゃあ一人で入れる?」
「日向~」
結果、俺はドア一枚越しで待機で妥協して貰った。
監視のため、愛梨とナイトメアは一緒に入るらしい。
これはこれで色々と問題な気もするけど、仕方ない。
エゴサして時間を潰そう。
「愛梨お姉様、身体綺麗!」
反響したような声で聞こえて来る。
「ありがと。お姉様は止めて」
「おっぱいでかくて頭に当たる~」
「母からの遺伝だの。ごめんね」
「あ、でも日向の方が大きいかも」
そのまでは無いぞ?
お腹なら俺の方が上だがな。
「流石に⋯⋯いや、どうだろ」
否定してくれ。
「日陰だっけ? そっちの方が大きい~」
「ほんとよね~スキルの説明文的に越えられる事は無いはずなのに」
確かに。
今の体よりも胸のサイズ大きいんだよな、日陰。
よくよく考えたら意味が分からん。
「って、平然と会話しているけど、これって日向くん聞いてるんだよね!」
「大丈夫。俺が気にするような男じゃないのは知ってるだろ」
「⋯⋯なんか、そうだね。うん」
「愛梨お姉様が愛梨お姉ちゃんになった」
リビングに戻ったら、ニマニマして何かを期待している両親が居た。
その事を風呂上がりに愛梨から聞いた。
分かった事と言えば、この子は実体は存在するけど、俺以外には見えていない⋯⋯って感じだ。
話しかける度に見つめられるあの目は⋯⋯辛かったか。
軽蔑の眼差しから徐々にキモイ奴を見る目に変わるのは面白かった。
殆どがこのような反応だ。
中には、見えない女の子に触れようとした人も居た。
だが、相手からは触れられなくて(躱されていた)、女の子からは触れられたと言う事が起こった。
「どうするべきか。俺一人じゃ解決出来ない問題だ」
記憶喪失のダンジョンに居た女の子なんて怪しすぎる。
本当に現実世界に居ても良い存在かも怪しい。
「質問券を使いたいぜ」
これこそ、神の力を借りたいモノである。
公園のベンチで一人項垂れる。
「あ、あのブランコ勝手に動いてるぞ!」
「やべぇ! 怪奇現象だ!」
「分かんねぇぞ! あのデブ野郎のスキルかもしれねぇ!」
「き、聞いてみようぜ」
「お、お前行けよ」
「い、嫌だよ」
ガキ共の会話が聞こえて来る。
無視で良いだろう。
「こっれ楽しー!」
女の子はブランコにご満悦の様子だ。
ああ見ると、本当にただの女の子なんだよな⋯⋯。
「あの男、勝手に動くブランコ見て微笑んでるぞ」
「きもっ、あっち行こうぜ」
少年共、俺も気持ちは分かるから怒らないでやる。
俺以外に見えないなら、このまま逃げ帰っても良いんじゃないか?
⋯⋯それだと、拾った子を適当な場所に放置した真の最低野郎になるのか。
「でもなぁ。施設も警察も頼りにならないってなると、どうっすかなぁ」
そう悩んでいると、女の子が寄って来た。
足に手を置いてくる。ちっさい手。
俺の太ももが大きいのか?
「お腹減った」
「空腹感もあるのかよ」
「生きてれば腹も減るよ」
「ごもっとも」
とりま家に帰るか。
なにかあるかな?
「ただいま」
「おかえりなさい」
「なんで君が言うの?」
「今後、言うかもしれないから、その練習」
そんな練習は必要ありません。
誰も居ないのかな?
いや、愛梨の気配が薄らする。
「あ、おかえり日向くん。もう少しで晩御飯出来るから手洗って来て」
「楽しんできた?」
「うん。すっごく楽しかったよ。⋯⋯って、その子誰?」
「あぁ、実は⋯⋯見えてるの?」
愛梨が女の子を指さしながら言って来た。
え、なんで?
街歩く人や警察、病院の先生までこの子の姿は見えなかったんだぞ?
寺まで行ってお坊さんにも診てもらったし、施設まで行った。
誰一人、この子の姿を見える人が居なかった。
なのに、愛梨、お前は見えるのか?
この子が?
今、お腹が減り過ぎたのか、愛梨の作った晩御飯を凝視しているこの子が!
「状況を説明したい」
「う、うん。私も知りたい」
「お腹減ったよ?」
女の子と共に手を洗い、椅子に座る。
女の子は愛梨から許可を貰い、ガツガツ晩御飯を食べだした。
「で、この子誰なの?」
「ああ、実は⋯⋯」
「このハンバーグ美味しい!」
「ありがと」
「実はな」
「このスープもめっちゃ美味しい! 目玉落ちそう」
「ありがとうね」
「実は⋯⋯」
「この⋯⋯」
「ごめん少し静かに食べてくれ」
俺がそう言うと、女の子は静かに食べ始めた。
そして、これまでの経緯を話す。
「日向くん。ついに⋯⋯」
「ついになんだ」
「誘拐犯になったんだね」
「なってないわ!」
酷い誤解だ!
え、待って。
ついに、ってどう言う事? お前は俺をどー見てんだ。
誘拐では無い。勝手にこの子がついて来ただけだ。
「⋯⋯ね」
「ん?」
愛梨が女の子に話し始める。
「お家分かるかな?」
「ここ!」
「違うよね? ほら、パパとママと一緒に暮らしている場所だよ?」
「ん~わかんない。両親が居るかも分かんない! 保護者的に見たら、二人が両親?」
「え、つまり私がママで⋯⋯」
「そんな歳に見えるかよ。バカバカしい」
愛梨が鋭い眼光を向けて来た。
なぜに?
両親などの記憶は無いけど、知識的な事は覚えていると。
不思議だ。
記憶喪失ってこんなんなの?
「お名前は?」
「ナイトメア!」
「本当に、それがお名前? 漢字は?」
「漢字はないよ。ナイトメアだよ! ナイトメアはナイトメアなの!」
ナイトメアって。
両親さんはどんな想いや考えで、このような名前をこの子に付けたんだ?
愛梨も微妙な顔になったじゃないか。
いや待て。そもそもこの子が日本人って決まった訳じゃない。
水色の髪だし。藍色の瞳だし。
そんな人、純日本人にも全然普通に居る!
愛梨もそうだし。
神が黒髪だけじゃ地味だよねって言う理由で全世界の人の遺伝子が組み替えられたのだ。
よって、体毛や瞳の色は遺伝に近いけど、個性溢れる形になった。
「⋯⋯ん~美味しい~」
ナイトメアの本当に美味そうに食べる姿を見ると、何も考えられなくなるな。
少しだけほっこりする。
「なぁ愛梨」
「ん?」
「どうしようか。この子」
「そうだね。他の人が見えないなら⋯⋯保護するしか無いんじゃない? 私の部屋なら誰にも気づかれないよ」
「嫌! いくらお料理上手のべっぴんさんで、お嫁さんにしたいランキング一位及び殿堂入りしそうな貴女でも! 女侍さんの傍に居るって決めたもん!」
「女侍言うな」
「名前知らない」
「⋯⋯霧外日向、データ世界では日陰だ」
「日向パパだ」
「パパ言うな!」
「私は今は白金愛梨だよ。よろしくね」
「愛梨お姉ちゃんだ!」
パンっ! 机を思っきり叩く。
静かな殺意をナイトメアに当てる。
「なんで、日向くんが『パパ』で私が『お姉ちゃん』なのかな~?」
「⋯⋯この人怖い」
分かるぞナイトメア。
愛梨は良く分からないタイミングで怒るからな。
怒ると同時に殺気を向けて来るからな。
でも、一度Vになるとすごく推せるんだ。
おっと違った。愛梨とリイアは別人だった。
「あ、愛梨⋯⋯お姉様?」
「ちっがーう!」
俺達も晩御飯を食べ、帰って来た両親も食べ終えた。
テレビを見ているナイトメア。
「なぁ二人とも。見て見ぬふりも出来ないだろうから聞くけどさ、その子誰?」
「ナイトメアだよ!」
「元気の良い子だね~日向、俺も付き添うから自首しよう」
「私の息子がロリコンの誘拐犯だなんて⋯⋯うぅ」
「待って二人とも!」
俺は必死に説明した。
信じて貰えなかった。
幼馴染の愛梨よりも、俺を信じてくれない両親それ如何に。
信じて貰うために、俺は近くに犬の散歩をしている人に向かって、ナイトメアを歩かせた。
ナイトメアが犬に触るが、気づくのは犬だけだった。
犬は見えるようだ。
「ね?」
「不思議だな~それでも誘拐には変わりないだろ」
「そうね」
「二人はもっと俺を擁護してよ」
愛梨含む家族会議が行われ、ナイトメアが一時的にうちで保護する事に決まった。
医療の知識がある訳では無いので、記憶を戻す方法も分からない。
「アイテムを買ってやりたいけど⋯⋯結構高額なんだよな~」
「そうだね。これを一瞬で揃える事は出来ないよ。オークションする?」
「ん~止めとこう。高頻度で沢山も世間に流せない」
記憶を取り戻させるアイテムはかなり高額で簡単には購入出来ないレベルだった。
気長に待つか。
「日向~お風呂!」
「確かに沸いたな~」
ナイトメアに押される。
「ストップ! 流石にそれは色々とまずいから、私と入ろうか」
「えーそんなに幼くないよ」
「じゃあ一人で入れる?」
「日向~」
結果、俺はドア一枚越しで待機で妥協して貰った。
監視のため、愛梨とナイトメアは一緒に入るらしい。
これはこれで色々と問題な気もするけど、仕方ない。
エゴサして時間を潰そう。
「愛梨お姉様、身体綺麗!」
反響したような声で聞こえて来る。
「ありがと。お姉様は止めて」
「おっぱいでかくて頭に当たる~」
「母からの遺伝だの。ごめんね」
「あ、でも日向の方が大きいかも」
そのまでは無いぞ?
お腹なら俺の方が上だがな。
「流石に⋯⋯いや、どうだろ」
否定してくれ。
「日陰だっけ? そっちの方が大きい~」
「ほんとよね~スキルの説明文的に越えられる事は無いはずなのに」
確かに。
今の体よりも胸のサイズ大きいんだよな、日陰。
よくよく考えたら意味が分からん。
「って、平然と会話しているけど、これって日向くん聞いてるんだよね!」
「大丈夫。俺が気にするような男じゃないのは知ってるだろ」
「⋯⋯なんか、そうだね。うん」
「愛梨お姉様が愛梨お姉ちゃんになった」
リビングに戻ったら、ニマニマして何かを期待している両親が居た。
その事を風呂上がりに愛梨から聞いた。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
【悲報】ダンジョン攻略JK配信者、配信を切り忘れて無双しすぎてしまいアホほどバズって伝説になる
夜桜カスミ
ファンタジー
主人公の雷電美琴は、数十年前に突如現れたダンジョンにて、その攻略風景を配信する配信者として活動している。
「はあ……。私って、こういうのに才能ないのかなあ……」
着物姿と薙刀一つでダンジョンを攻略する配信者はいないだろうと踏んでこのスタイルで始めたが、武器と服装が他よりやや奇抜なだけでやっていることはその他大勢と大差なく。どれだけSNSで配信の告知をしても、サムネイルを凝っても観にきてくれる視聴者の数は常に一桁にとどまっていた。
そんなある日、いつも通りダンジョンに潜ってモンスターを薙刀一つでバッサバッサ薙ぎ倒していく配信をして、いつも通り同時接続者は一人からゼロのまま過ごし、心が折れかけたので早めに切り上げて家に戻ろうと配信を終わらせる準備をした。
その時、ダンジョンに潜って探索する探索者の三人組パーティが、大型モンスターの軍勢に襲われているのを目撃した。
「逃げろ! スタンピードだ!」
「どいて。今、私、とってもむしゃくしゃしているの」
どれだけ頑張っても増えない同時接続者数にチャンネル登録。ネットで徹底的に調べて人目を引くようなサムネイルにしても効果はなかった。
必死に頑張っても伸びず、一ヶ月ぶりに送られたコメントに批判されて、ストレスはマッハで溜まっていた。
ゆえに、美琴はモンスターに八つ当たりしてしまう。それはもう一方的に、蹂躙という言葉がぴったりなほど徹底的に薙ぎ倒していった。
「はあ、こんな八つ当たりしたって、再生数も登録者も伸びやしないのに。何やってんだか……」
モンスターだったもの達の残骸のそばでため息を吐き、黙って立ち去る美琴。
「大型モンスターのスタンピードを、たった一人で全部倒した!?」
「なんだよあの雷撃!? 消し炭どころか消滅しちゃってんじゃん!?」
「あの女の子、一体何者!?」
一方で、助けられた三人組は登録者数が70万人いる大人気チャンネルを運営する攻略系配信者であり、安定して強いモンスターを相手に戦える実力者達だった。
そんな三人組でも逃げるしかできなかったモンスターの軍勢、スタンピードを蹂躙という表現以外つけられないほど一方的に倒した美琴の姿は、ばっちりとその配信と、美琴が切り忘れた自分の配信に映っていた。
「消えたと思ったらモンスターが細切れに!?」
「なんだ今の動き!? というかこの雷は何!?」
「この子は一体なんなんだ! 特定班はまだか!」
モンスターの軍勢を一方的に蹂躙するその配信の切り抜きは瞬く間に拡散されていき、美琴がぐっすりとベッドの上で眠っている間にバズりにバズりまくっていき、朝起きたら『雷神少女』という名前と共に伝説となっていたのだった。
※小説家になろうとカクヨムにも掲載しています
かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる
竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。
ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする.
モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする.
その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.
社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
強制的にダンジョンに閉じ込められ配信を始めた俺、吸血鬼に進化するがエロい衝動を抑えきれない
ぐうのすけ
ファンタジー
朝起きると美人予言者が俺を訪ねて来る。
「どうも、予言者です。あなたがダンジョンで配信をしないと日本人の半分近くが死にます。さあ、行きましょう」
そして俺は黒服マッチョに両脇を抱えられて黒塗りの車に乗せられ、日本に1つしかないダンジョンに移動する。
『ダンジョン配信の義務さえ果たせばハーレムをお約束します』
『ダンジョン配信の義務さえ果たせば一生お金の心配はいりません』
「いや、それより自由をください!!」
俺は進化して力を手に入れるが、その力にはトラップがあった。
「吸血鬼、だと!バンパイア=エロだと相場は決まっている!」
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
鬼神の刃──かつて世を震撼させた殺人鬼は、スキルが全ての世界で『無能者』へと転生させられるが、前世の記憶を使ってスキル無しで無双する──
ノリオ
ファンタジー
かつて、刀技だけで世界を破滅寸前まで追い込んだ、史上最悪にして最強の殺人鬼がいた。
魔法も特異体質も数多く存在したその世界で、彼は刀1つで数多の強敵たちと渡り合い、何百何千…………何万何十万と屍の山を築いてきた。
その凶悪で残虐な所業は、正に『鬼』。
その超絶で無双の強さは、正に『神』。
だからこそ、後に人々は彼を『鬼神』と呼び、恐怖に支配されながら生きてきた。
しかし、
そんな彼でも、当時の英雄と呼ばれる人間たちに殺され、この世を去ることになる。
………………コレは、そんな男が、前世の記憶を持ったまま、異世界へと転生した物語。
当初は『無能者』として不遇な毎日を送るも、死に間際に前世の記憶を思い出した男が、神と世界に向けて、革命と戦乱を巻き起こす復讐譚────。
いずれ男が『魔王』として魔物たちの王に君臨する────『人類殲滅記』である。
異種族キャンプで全力スローライフを執行する……予定!
タジリユウ
ファンタジー
【1〜3巻発売中!】
とある街から歩いて2時間。そこはキャンプ場と呼ばれる不思議な場所で、種族や身分の差を気にせずに、釣りや読書や温泉を楽しみながら、見たこともない美味しい酒や料理を味わえる場所だという。
早期退職をして自分のキャンプ場を作るという夢を叶える直前に、神様の手違いで死んでしまった東村祐介。
お詫びに異世界に転生させてもらい、キャンプ場を作るためのチート能力を授かった。冒険者のダークエルフと出会い、キャンプ場を作ってスローライフを目指す予定なのだが……
旧題:異世界でキャンプ場を作って全力でスローライフを執行する……予定!
※カクヨム様でも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる