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3 見聞録を書く。二回目だぞ!

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 残念ながら、ハルカ村からビルはすぐには戻ってこなかった。他の馬車を調達するのに、手間取っているのだろう。
 ともかく、ここで待つしかない。
 机と椅子がおいてあるテント小屋があった。そこで忠司は久しぶりに見聞録を書くことにした。まず、背中のリュックを机の脇においた。それから、椅子を引いてきて腰をかけ、忠司は机を前にした。まずは、リュックから見聞録をだして、まず読んでみることにした。
 前にもいったけど、この見聞録には、忠司の能力や体調を自動記録し、忠司にしらせる機能をも持っている。もちろん、読みながらコメントを書くことを忘れてはいない。
 
(身長)167センチ 背は伸びていない。やはり、ストレスのせいかな?
(体重) 56キロ 前より2キロも減っている。そうか、激しく動過ぎたし、まだ夕食を食べていないからだな。
(体力)
生命値 200   90増えている。だから、どうなんだ?
 筋力 レベル2  かなり重たい物を持てるようになっている。バーベル100キロは
          持てるようになったかもしれない。
 速力 レベル7 たしかに、早く動けている。でも、百メートル10秒を切ってはいないよな。
(魔法)
 火力 レベル1 これで何ができるんだ?
 冷力 レベル1 これで何ができるんだ? 使えるようになりたいな。
 水力 レベル1 これで何ができるんだ? でも、どうやればいいんだ?

召喚魔法 レベル2(3分30秒)
         おっ、呼び寄せる時間が30秒伸びている!
(武具)オリハルコンの剣
         なんだ。なんのコメントもないのか?

 この後、何を書こうかな?
 やはり、召喚魔法で呼び寄せた花音の父、白川道行の活躍を書かないわけにはいかないな。
 そう思うと、もってきたボールペンの動きが進んだ。
 白川道行こそ、真の剣士、そして、勇者である。彼のおかげで、俺も花音も助かったのだ。

 だいぶかっこよく書けた。そう思うと忠司は大きく頭を下げてうなずいた。
 最後に感謝の言葉を書きながら、テント中で忠司と離れてすわっている花音の方に顔をむけた。

 花音はテントの中に獣人の誰かが残していた毛糸と編み針をみつけ、それを使いマフラーを編み出していた。父親である道行のために作っているそうだ。

 だが、獣人の中に女性がいたことは間違いがない。魔神グールによって、ケダモノになっても、人の意識が残っていたのだろうか? 男なのか、女なのかもわからずに、倒してしまっていたことを知った忠司は、少しブルーになっていた。
 心配ことがもう一つある。ビル、いまだ戻ってこないことだ。もしかしたらビルは獣人に襲われてしまったのかもしれない。心配だ。何故か、不安になってしまう。俺たちが見えているなら、ヘラ様、どうしたらいいのか、アドバイスをもらえないだろうか?

 そう書いて、忠司は見聞録をとじていた。




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