5 / 6
5
しおりを挟む
どのくらい、時がたったのでしょうか?
カモメが目をあけると、白い服をきた女の人がのぞいていました。
「きがつきましたか?」
声をかけてきた白い服の人は、看護師でした。
「はい」と、カモメは思わず声をあげました。自分のあげた声を聞いて、カモメは驚きました。その声が人間の声だったからです。それに、カモメはベッドに寝ていました。
「それでは、先生をよんできます」
そう言って、看護師はでていきました。
残されたカモメは、自分の羽を目の高さまであげて、ふたたび驚いていました。両方の羽には、五本の指がついた人間の手になっていたからです。カモメは体をおこして、窓にうつる自分の姿をみつめました。
そこには娘が好きな若者がいたのです。
カモメは若者に変わっていたのでした。
一月後、若者になったカモメは、娘がいる北の港に帰ってくることができました。若者は黒潮丸にのっていた船長やほかの漁師たちといっしょに連絡船から港におりたちました。でも、迎えにきていた人たちの中には、娘の姿はなかったのです。手紙をだしていましたので、娘が知らないはずはありません。
若者は、ほかの漁師たちを迎えにきていた家族の人たちに娘のことを聞きました。でも、家族の人たちは娘がどうしているのか、はっきりと教えてくれないのです。不安にかられた若者は、丘の上にある家に向かって坂道を急ぎました。
坂道の途中に白い教会があります。そこから、結婚したばかりの二人が出てくるのがみえました。
「あっ」と、若者は声をあげました。
ウェディングドレスをきた花嫁は若者が好きな娘だったからです。娘は顔もふっくらとして、笑顔をうかべていました。
そして、花婿は、娘の世話をしていた医者だったのです。
若者は、急いで木の影にかくれました。ここで、若者がでていけば、娘が不幸になることがわかっていたからです。
若者は、本当に娘を愛していましたから・・・。
カモメが目をあけると、白い服をきた女の人がのぞいていました。
「きがつきましたか?」
声をかけてきた白い服の人は、看護師でした。
「はい」と、カモメは思わず声をあげました。自分のあげた声を聞いて、カモメは驚きました。その声が人間の声だったからです。それに、カモメはベッドに寝ていました。
「それでは、先生をよんできます」
そう言って、看護師はでていきました。
残されたカモメは、自分の羽を目の高さまであげて、ふたたび驚いていました。両方の羽には、五本の指がついた人間の手になっていたからです。カモメは体をおこして、窓にうつる自分の姿をみつめました。
そこには娘が好きな若者がいたのです。
カモメは若者に変わっていたのでした。
一月後、若者になったカモメは、娘がいる北の港に帰ってくることができました。若者は黒潮丸にのっていた船長やほかの漁師たちといっしょに連絡船から港におりたちました。でも、迎えにきていた人たちの中には、娘の姿はなかったのです。手紙をだしていましたので、娘が知らないはずはありません。
若者は、ほかの漁師たちを迎えにきていた家族の人たちに娘のことを聞きました。でも、家族の人たちは娘がどうしているのか、はっきりと教えてくれないのです。不安にかられた若者は、丘の上にある家に向かって坂道を急ぎました。
坂道の途中に白い教会があります。そこから、結婚したばかりの二人が出てくるのがみえました。
「あっ」と、若者は声をあげました。
ウェディングドレスをきた花嫁は若者が好きな娘だったからです。娘は顔もふっくらとして、笑顔をうかべていました。
そして、花婿は、娘の世話をしていた医者だったのです。
若者は、急いで木の影にかくれました。ここで、若者がでていけば、娘が不幸になることがわかっていたからです。
若者は、本当に娘を愛していましたから・・・。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
赤ずきんちゃんとオオカミさん
矢野 零時
児童書・童話
かわいい赤ずきんちゃんと怖く見えても本当はやさしいオオカミさんの日々の出来事を書いていきます。
もちろん、赤ずきんちゃんのおかあさんやおばあさん、それに狩人さんもでてきます。
月神山の不気味な洋館
ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?!
満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。
話は昼間にさかのぼる。
両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。
その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。
盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。
桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。
山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。
そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。
するとその人は優しい声で言いました。
「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」
その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。
(この作品はほぼ毎日更新です)
箱庭の少女と永遠の夜
藍沢紗夜
児童書・童話
夜だけが、その少女の世界の全てだった。
その少女は、日が沈み空が紺碧に染まっていく頃に目を覚ます。孤独な少女はその箱庭で、草花や星月を愛で暮らしていた。歌い、祈りを捧げながら。しかし夜を愛した少女は、夜には愛されていなかった……。
すべての孤独な夜に贈る、一人の少女と夜のおはなし。
ノベルアップ+、カクヨムでも公開しています。
【完結済み】破滅のハッピーエンドの王子妃
BBやっこ
児童書・童話
ある国は、攻め込まれ城の中まで敵国の騎士が入り込みました。その時王子妃様は?
1話目は、王家の終わり
2話めに舞台裏、魔国の騎士目線の話
さっくり読める童話風なお話を書いてみました。
星座の作り方
月島鏡
児童書・童話
「君、自分で星座作ったりしてみない⁉︎」
それは、星が光る夜のお伽話。
天文学者を目指す少年シエルと、星の女神ライラの物語。
ライラと出会い、願いの意味を、大切なものを知り、シエルが自分の道を歩き出すまでのお話。
自分の願いにだけは、絶対に嘘を吐かないで
Sadness of the attendant
砂詠 飛来
児童書・童話
王子がまだ生熟れであるように、姫もまだまだ小娘でありました。
醜いカエルの姿に変えられてしまった王子を嘆く従者ハインリヒ。彼の強い憎しみの先に居たのは、王子を救ってくれた姫だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる