刑事殺し2

矢野 零時

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9元の職場

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 辞令書を手に俺はすぐに大友警察署に行った。
 相変わらず、古くなってくすんだシミが壁にはりついた建物だ。
 署内に入ると俺はすぐに署長室にむかった。室前にすわっている女職員が俺を見て声をあげた。
「片倉さん、大丈夫だったんですか?大怪我をしたと聞きましたけど」
「思ったよりも直りが早かったんでね」
「本当ですか?」
 女職員は、まだジロジロと俺を見続けている。俺が死にそうな状態でいると本庁から聞いていたのだろう。
「署長、いるんだろう?」
「はい、おられますよ」
 俺は署長室のドアをたたく。中から「はい、どうぞ」と、のんびりした声が聞こえてきた。俺がドアを開けて中に入った。見ていた決裁書類から署長は顔をあげた。彼の眼は見開かれ、倍の大きさになっていた。まさか、俺が生きて戻ってくるとは思ってなかったのだろう。
「辞令をもらいましたので、またこちらでお世話になります」
 笑顔を作り、俺は署長の机に近付き、手に持っていた辞令書を机の上に置いた。辞令書を持ち上げた署長の手は震えていた。
「前にいた三課で、いいですね?」
 俺は、署内での勤務場所の確認をしたのだ。
「きみが、そこでいいなら、三課でいいよ」
 署長は惚けたような声を出し、俺はニヤッと笑っていた。
 
                            




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