ぼく、たけし

矢野 零時

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第1話 家庭環境 

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 父さんの名前は大谷慎吾、母さんは良枝。そして、ぼくは たけし。
 どうして、ぼくの名前は平仮名なのと、父さんに聞いたことがある。すると、父さんは、平仮名ならば、学校ですぐにならう字で書けるので、おまえが苦労しないですむからねと言っていた。
 新町通りの商店街の中で、父さんはたい焼き屋をやっている。住んでいる家と店はつながった建物なので、家に帰ることは、店にはいることにもなる。
 だから、ぼくは、学校から帰ると、アンコがたっぷり入ったたい焼きをおやつに食べることができる。もちろん、母さんがいつも皿にたい焼きを二つのせて、居間のテーブルにおいてくれるからだ。
 あまい物は大好きなので、本当にいい家に生まれたと思っている。
 アンコでも、こしアンやつぶアンの2種類がある。
 それに、今のたい焼きは、アンコだけでない。具には、チョコレート、白アンさらにカレーまである。それらのたい焼きもうちの店で売っていて、味はいいよ。
 たまに、ぼくも店に立って売り子をする時がある。おばさんがたの注文を愛想よく受けたりするので、年上のおばさんには、受けがいいんだ。
 それに、その時には、釣銭の支払いもやらなければならないので、数をかぞえることも得意になっている。つまり、算数の勉強もしているようなものだった。
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