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賢者にあって、勇者になる
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だんだん、ぼくは、みなみの森に行くのがクセになっていました。
今日も、お母さんがコンビニで働くために出かけた後、ぼくは、みなみの森に行きました。
すると、そこには三人の男たちが向かい合ってすわっていたのです。そのうちの二人は、哲学者のおじさんと詩を書かない詩人さんでしたが、もう一人は、ぼくが初めてみる人でした。
その人は、会社勤めをしている人なのか、上から下まで、ちゃんとしたスーツを着て、ネクタイもしめていました。でも、頭の髪は真っ白でしたので、定年で会社を退職している人のように見えました。それにメガネをかけ、白い髭をはやし、着ている服の色は真っ白でしたので、どこかで見かけたことがあるな~と思ったです。
そして、すぐに気がつきました。ケンタッキーフライドチキンの前に立っている創設者の立像と同じ姿だったからです。思いつくことができたのは、三人がフライドチキンを食べていたからでした。
「おはようございます」と、ぼくが挨拶をすると、三人もぼくに挨拶をかえしてくれました。
「少年、こちらの方は、初めてだろう?」と、おじさんに言われて、ぼくは「はい」と答えました。
「こちらの人は、賢者のひろたか」
「賢者!」
ぼくは改めて、賢者と言われた人をみつめました。賢者なんて、ゲームの世界でしか見たことがなかったからです。
賢者はたちあがって、「ひろたかです。よろしく。良かったら、いっしょにチキン食べませんかな?」と言ってくれました。
「はい」と言って、賢者の指さした場所、詩人さんの隣にぼくはすわりました。ぼくはケンタッキーのチキンが大好きでしたので、すぐに紙の上におかれたチキンの一つを手にとって食べ出しました。
二つ目に手を出した時でした。
「きみは、小学生だね。今日は日曜日ではないし、休みでもない。学校に行かなくていいのかな?」
ぼくは、口の中にまだ残っていたチキンをごくんと飲み込みました。そのままでいると、喉をつまらせてしまいそうだったからです。
でも、ぼくは、なんと答えたらいいのでしょうか?
「私が推理してあげるよ。学校の近くにクマが出ている。それで休校になった」
「ここは、北海道じゃないですよ」
ぼくは大きく首を横にふりました。
「それじゃ、今日は学校の開校記念なので、休みになった」
「ちがいますよ」
「じゃ、体育祭か、学校祭?」
「それも、違いますよ」
しかたなく、ぼくは学校でいじめられ、それがいやで学校に行くのをやめた話をしてしまいました。
「なるほど、きみは大変な戦いをしているんだね。先生には、いまの状況を話をしたのかな?」
「先生は、友だち同士はよく話をして仲良くしなさいと言っただけで、なるべくかかわらないようにしていますよ」
「まったくまずいね。大人のことを言おう。いじめ防止対策推進法という法律はあるが、大人がみんなでいじめを防ごうという内容が決められているが、誰が責任を持って解決をするのか、そして、できるのか、はっきりしていない。それに、いじめは、警察が入ってきて刑罰を科すことを前提としなければならないのに、子供だからそれに関わらないようにしている。おかしいと思うよ。例をあげようか」
ぼくは、思わずうなずいていました。
「無理やり何かをやらされた場合には強要罪、相手に殴られたら暴行罪。傷をおわせれれば傷害罪、お金をとられたら窃盗罪、みんなの前で馬鹿にされたら侮辱罪や名誉棄損罪、さらに死ねなんて言って死なせたら自殺関与及び同意殺人罪なんていうのもある。それらのどれも適用するきがないようだ」
「じゃ、やっぱり。学校を休むしかないよね」
「それじゃ、相手を見抜いて、逃げることが大切だ」と、賢者はぼくを見ながらうなずいています。
「本当は、いじめをしている者に学校を変えさせるか、しばらく謹慎で休ませるべきだと思うけどね」と哲学者のおじさんが言ってくれました。
「そんなことをしている学校はあるのかな? 私は見たことがないぞ。だから、こそ。時には逃げることが大切。つまり、三十六計逃げるにしかずじゃ」
「そうかな? そうだよね」
「そう言う君を、私は勇気ある者。勇者と呼びたい」と賢者は言ってくれました。
「え、本当ですか?」
「ともかく、チキンを食べたまえ」
賢者にそう言われたので、さらにぼくはチキンを3個も食べてしまいました。
今日も、お母さんがコンビニで働くために出かけた後、ぼくは、みなみの森に行きました。
すると、そこには三人の男たちが向かい合ってすわっていたのです。そのうちの二人は、哲学者のおじさんと詩を書かない詩人さんでしたが、もう一人は、ぼくが初めてみる人でした。
その人は、会社勤めをしている人なのか、上から下まで、ちゃんとしたスーツを着て、ネクタイもしめていました。でも、頭の髪は真っ白でしたので、定年で会社を退職している人のように見えました。それにメガネをかけ、白い髭をはやし、着ている服の色は真っ白でしたので、どこかで見かけたことがあるな~と思ったです。
そして、すぐに気がつきました。ケンタッキーフライドチキンの前に立っている創設者の立像と同じ姿だったからです。思いつくことができたのは、三人がフライドチキンを食べていたからでした。
「おはようございます」と、ぼくが挨拶をすると、三人もぼくに挨拶をかえしてくれました。
「少年、こちらの方は、初めてだろう?」と、おじさんに言われて、ぼくは「はい」と答えました。
「こちらの人は、賢者のひろたか」
「賢者!」
ぼくは改めて、賢者と言われた人をみつめました。賢者なんて、ゲームの世界でしか見たことがなかったからです。
賢者はたちあがって、「ひろたかです。よろしく。良かったら、いっしょにチキン食べませんかな?」と言ってくれました。
「はい」と言って、賢者の指さした場所、詩人さんの隣にぼくはすわりました。ぼくはケンタッキーのチキンが大好きでしたので、すぐに紙の上におかれたチキンの一つを手にとって食べ出しました。
二つ目に手を出した時でした。
「きみは、小学生だね。今日は日曜日ではないし、休みでもない。学校に行かなくていいのかな?」
ぼくは、口の中にまだ残っていたチキンをごくんと飲み込みました。そのままでいると、喉をつまらせてしまいそうだったからです。
でも、ぼくは、なんと答えたらいいのでしょうか?
「私が推理してあげるよ。学校の近くにクマが出ている。それで休校になった」
「ここは、北海道じゃないですよ」
ぼくは大きく首を横にふりました。
「それじゃ、今日は学校の開校記念なので、休みになった」
「ちがいますよ」
「じゃ、体育祭か、学校祭?」
「それも、違いますよ」
しかたなく、ぼくは学校でいじめられ、それがいやで学校に行くのをやめた話をしてしまいました。
「なるほど、きみは大変な戦いをしているんだね。先生には、いまの状況を話をしたのかな?」
「先生は、友だち同士はよく話をして仲良くしなさいと言っただけで、なるべくかかわらないようにしていますよ」
「まったくまずいね。大人のことを言おう。いじめ防止対策推進法という法律はあるが、大人がみんなでいじめを防ごうという内容が決められているが、誰が責任を持って解決をするのか、そして、できるのか、はっきりしていない。それに、いじめは、警察が入ってきて刑罰を科すことを前提としなければならないのに、子供だからそれに関わらないようにしている。おかしいと思うよ。例をあげようか」
ぼくは、思わずうなずいていました。
「無理やり何かをやらされた場合には強要罪、相手に殴られたら暴行罪。傷をおわせれれば傷害罪、お金をとられたら窃盗罪、みんなの前で馬鹿にされたら侮辱罪や名誉棄損罪、さらに死ねなんて言って死なせたら自殺関与及び同意殺人罪なんていうのもある。それらのどれも適用するきがないようだ」
「じゃ、やっぱり。学校を休むしかないよね」
「それじゃ、相手を見抜いて、逃げることが大切だ」と、賢者はぼくを見ながらうなずいています。
「本当は、いじめをしている者に学校を変えさせるか、しばらく謹慎で休ませるべきだと思うけどね」と哲学者のおじさんが言ってくれました。
「そんなことをしている学校はあるのかな? 私は見たことがないぞ。だから、こそ。時には逃げることが大切。つまり、三十六計逃げるにしかずじゃ」
「そうかな? そうだよね」
「そう言う君を、私は勇気ある者。勇者と呼びたい」と賢者は言ってくれました。
「え、本当ですか?」
「ともかく、チキンを食べたまえ」
賢者にそう言われたので、さらにぼくはチキンを3個も食べてしまいました。
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