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◆第1章 ゆっくりと籠に堕とされていく金糸雀

012. 2つの心臓の音だけ聴こえてればいいのに★

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★R18です。


 

「.....あ、.....う、んっ」


 軽く触れるだけの口付けが段々と深くなる。今まで感じたことのない"それ"にビクビクと震えてしまう。


(変な声、出る.....)


 煮え滾る思考が蒸発してしまわないように繋ぎ止めようとするのに、いつの間にか意識はぼんやりしていて、どうしようもなくふわふわと揺蕩う。


 暫くしてようやく離れたオーウェンの顔をぼんやりと見る。彼のその唇が湿っているが目に入ると、アリスは堪らなく恥ずかしくなって瞬きの回数を無意識のうちに増やしていた。


「...ふふ、これ夢じゃないんですよね?」
「.....はい」


 オーウェンはアリスの目をじっと見つめたまま嬉しそうに顔を綻ばせそう言った。夢であればこんな息苦しさなど感じるわけないのだから、これはしっかり現実だった。


 先程からいつもの丁寧な口調と砕けた口調を混ぜながら話すオーウェンの一言一言が息になって肌を伝うので、アリスは逃げ出したくなった。しかし、残念ながら肩と顔の横にオーウェンの手があるし、彼が馬乗りになっているからそれはかなわない。


 せめて視線を逃がしたいのにオーウェンの顔が近すぎてほとんど彼しか目に入らなかった。頭が固定されているせいで頭を横に向けることすらできない。身体だけでなく、羞恥心すら逃げ場を失い燻っていた。


「あー、そうだった」
「.....?」
「これ、飲んでくださいね...」


 オーウェンが何処からか薬のようなものを取り出す。薄い青色の方をオーウェンが口に含み、薄いピンクの方をアリスの小さく開いた口に入れた。


(なにこれ、味は特にしないなあ.....)


 薄い膜に覆われたそれは唾液に触れるなりジュワリと溶けて液体になる。無味無臭のそれを口の中に保ちながらオーウェンを見る。アリスと目の合ったオーウェンがゴクンとそれを飲み込んだのを見ながらアリスもそれに倣って飲んだ。


「あの、これは.......?」
「ああ、そっか。知らないよね。これは避妊薬だよ」
「避妊薬.....」
「本当はどちらかが飲めばいいんだけどね。2人とも飲んでればほぼ確実に避妊できるから、一応ね」


 アリスの頭の中には前世の避妊するための道具や薬が思い浮かんだ。やはり違う世界になると色々違うんだな、と認識した。そしてそれと同時にこれからするだろうその行為が頭の片隅で胡座をかいているので狼狽する。それに気づいたオーウェンが優しくアリスの薄い水色の髪を梳いた。


 彼はアリスの髪や頬を擽るように優しく触れながら時々思い出したかのようにキスをする。その度にピクっと小さく跳ねるアリスを見てクスクスと笑うのだ。


「アリスはいつでも可愛いよね」
「オーウェン様はいつにも増して意地悪です...」
「そう?」


 反応に困る言葉を時々投下してくるので、アリスは内心困りつつもどうにか応える。未だかつてこのような近い距離に家族でもない異性がいたことはない。


 貴族の娘への閨での話だって何をされるのかをサラッと話されるだけだ。深い話はしない。相手に任せればいい、それが基本である。


 アリスは勿論前世の記憶のおかげで割と知識だけなら広く浅くあるが経験はなかった。


 基本的にこの世界の女の子たちは"その行為"を知るには経験するしかない。この世界はどうも貞操観念がアリスが想像していた"中世ヨーロッパ風(?)"よりも緩いらしい。平民も貴族も緩い。合意があればOKだ。もちろんら流石に王族の相手の場合はそれなりに条件的なものもあるけれど。


 ついでに言うと浮気や不倫には当たりが強い。他と関係を持ちたいなら縁を切れ!と男も女も平気で言う。縁を切らずにしたいなら、恋人や配偶者からの承認がいるらしい。詳しくは知らないが何やら誓約書?宣誓書?的なのを書かされるとか。どうしても遊びたいなら交際相手は作らず、お互いに"そういう意味でのお友達"として交流するらしい。


(まあ表向きの話だから、実際はどうか知らないけれど.....)


「アリス、そろそろ始めようか.....」
「.....っはひ、はい!」


 またもや現実から逃避行を試みているとオーウェンから声が掛かる。思わず返事をしたが、驚きと緊張で変な声が出た。オーウェンは小さく笑うと、また先程と同じように優しくキスを落とす。


 ちょんちょんと触れ合うだけのキスが、段々と長く深くなって、空気がだんだん貪られていく。


「...っ、.....んん」
「.......はぁ.....」


 ペロッと軽く唇を舐められる。熱いそれがゆっくりゆっくりとアリスの唇を撫でるので、アリスは瞑っていた目に更にギュッと力を入れた。


(こ、これは口開けろってこと?)


 息苦しさに襲われながらそう考える。鼻で息をしようにも上手くできているのか分からない。アリスは薄目でオーウェンの顔を見やる。その目は獲物を鋭く射抜く猛獣のような光を孕んでいて、アリスは小さく悲鳴を上げかけた。


「ひ、_っ、んんっ!?.....あ、...んっ、...はぁ.....」


 しかしそれはできなかった。


(ま、待って待って!もうギブ!オーウェンさまっ!ギブ、ギブ!)


 若干開いた唇の隙間からヌルッとオーウェンの舌が入ってきたからだ。頭を振ろうにも動かせず、侵入者は我が物顔で口腔内を蹂躙する。自分から漏れ出た声が、水音が、オーウェンの息がアリスを震わせて、熱くしていく。


 逃げようとするのに絡め取られて、恥ずかしい音が耳の奥で聞こえる気がして生理的に涙が出た。


「...はぁ。ごめんね、アリス。手加減できなかった」
「はぁ、っ、.....はぁ.....」


 暫く貪られ、ようやくオーウェンからの攻撃が止んだ。荒い息を繰り返すアリスを見つめ、困った顔を浮かべる。そんな表情ですら綺麗なオーウェンはそう言うとアリスの頬にキスを落とした。


 アリスは力がまともに入らず、ただただ息を零す度に上下の動きをするだけになった身体の上で笑うオーウェンを涙目で睨みつけた。もう相手が王子であることなど思考の片隅に追いやってしまっていた。


「...っ、...酷いです」
「うん」
「待って下さい、って言いたかったのに言えないし.....」
「ごめんね」


 まともな言葉を発することすら許されなかった責め苦に対してそう言うと、彼はまたはにかんだ。アリスが何を言おうと彼は幸せそうな顔をしてただ笑うだけだ。アリスはその表情に対して「ずるい」と心の中で思った。


「んっ」
「.....くすぐったい?」
「は、い」


 オーウェンがゆっくりと耳をやわやわと掴んだと思ったら、その手をつーっと下に持って行って首筋を撫でる。急なことに思わずまた身体が跳ねた。


「アリスの肌は綺麗だね...」
「そうですか、ね?.....えっ」


 アリスは彼の手を目で追ってそしてあることに気づいた。アリスの小さな驚きの声を気にしていないのかオーウェンは首筋を相変らず撫でる。


(え、制服いつの間に.....。__え?プロ?)


 いつの間にか紺の制服の上着は着ておらず、リボンは視界にはない。その下のオフホワイトのシャツはボタンが全部外されていて、完全に下着が見えていた。


 きっとあの怒涛のキスに翻弄され、呆然と受け入れてる時にここまで脱がされていたのだろうが、それにしても気づかなかった。オーウェンの手際の良さにも自分のぼんやり加減にもびっくりだ。


 思わずオーウェンに視線を合わせるとまたキスが降ってくる。軽いキスが顔に降り、それから耳朶をぺろりと撫でる。



「ひぁ...」
「はは、...はぁ.....アリス、どう気持ち悪かったりしない?」
「ら、らいじょうぶです。...ひ、くすぐったい...」
「舌、まわってないね.....」


 アリスが不快に感じていないかを確認しながら、オーウェンはそう声を掛ける。正直色々と置いていかれ、翻弄されているアリスは顔を赤らめて震えながら返事をしようとするが、呂律が回っていない。耳に当たるオーウェンの息づかいのせいで心臓がダンスを踊れるくらいに跳ねている気がした。


 それから暫くするとゆっくりとオーウェンの顔が首筋に移動する。最初はぺろぺろと舐めていたが、甘噛みしてみたり、吸い付いてみたりとアリスの肌を楽しんでいるようだ。


 アリスは自分から出ているとは信じ難い甘い声を、荒い息の合間に忍ばせて片手をオーウェンの広い背におずおずと回した。もう片方の手も力を入れてオーウェンに抱きつこうとしたが、彼の手がそっと重なり恋人繋ぎの要領で繋がれ、押されるままベッドの上に着地した。


「ひ、.....あ、...オーウェン様...、もう、や.....」
「まだ何もできていないよ?」
「でも、これ恥ずかしいで、...す。...んん」
「そっか。じゃあ次に行こう」
「へ?」


 チュウッと、胸元に赤い華を好き勝手に散らせるオーウェンに向けてそう言うと、オーウェンの繋がれていない方の手がアリスのシーツに接していた背中に入り込んできた。


 パチン、パチン。そんな音がして胸元が緩くなった。ブラのホックを外されたのだと理解してアリスは「ちょ、ま、...え?」と1人で混乱する。


「アリス、結構あるんだね...」


 なんてマジマジと見て言うものだからアリスは顔をそれはもう赤くしてパクパクと口を開いたり閉じたりした。


 先程も思ったが彼は流れるような手つきで彼女の服を剥いて行く。まあそういう行為をするのだから、いずれはこうなるだろう。時間の問題ではあった。分かってはいたが、あまりにもスルッと行われて放心してしまった。


 オーウェンはそんなアリスの上体を起こして制服を脱がせ、ブラジャーも外した。そしてオーウェンは自身も制服を脱ぐ。アリスはショーツだけ、オーウェンは上半身半裸でベッドの上にいる。アリスはどこに視線をやればいいのか非常に困った。


 オーウェンがじっとアリスの身体を見てくるので、アリスも彼に倣って彼の身体を見つめてみた。オーウェンの身体は細身なのに無駄なく筋肉がついていて綺麗だ。そして肌も綺麗だ。正直、嫉妬してしまった。



「オーウェン様、鎖骨のところにホクロがあるのですね...」
「ホクロ?」


 もう何が何だか分かっていないアリスは自分の目の前にあるそれを見て素直にそう言った。彼の右鎖骨には小さいがホクロがあった。


 アリスはそのホクロにそっと手を当てた。オーウェンが僅かに身動ぎをした。どうやら擽ったいらしい。アリスは彼のそんな様子に内心微笑んだ。出来心で思わずそこに顔を寄せて触れるだけのキスを落とす。するとオーウェンは先程よりも大きく動いた。


「アリス」
「っ」

 いつもよりも低い声に名を呼ばれたと思ったら、またベッドに押し倒されていた。


(あ、...ついやっちゃったけど、これまずくない?)


 一瞬で回った世界に驚く間もなく、また口付けが再開され翻弄される。先程の出来心に後悔しながらアリスはベッドに縫い付けられる。


「あ、...ま、...んんっ!?」
「アリス.....はあ、...ん」


 いつもよりも低く掠れた声が近くにあって身体中にザワザワとした何かが通り過ぎた。オーウェンの手がアリスの胸元にある。やわやわと揉まれ、そしてその先端手が掛けられた。


 キスをされながら突然のことに驚く。まだ擽ったさしか感じないが、少しずつお腹の奥が疼き出していた。


「ん!?んん、...オーウェンさまっ」
「ふふ、...固くなってきたね」


 キスから解放されたかと思えば、また新たな攻め方が始まる。オーウェンがニヤリと笑ってそう言うので堪らず目を逸らす。形を確かめるように見て、そして触って、アリスを真っ赤にさせる言葉を紡いでいく。


「赤くて、美味しそうだね...」
「おいしそ、う?.....ま、待ってくださいませ!...ひ、あっ、ああっ」


 オーウェンは片方の手で乳房を弄りながら、弄っていない方に顔を近づけてぺろりと舐め上げた。得体の知れない感覚がしてアリスは堪らず声を上げる。それに気を良くしたらしいオーウェンは、待ってはくれず、ぱくりとそれを口に含んでしまった。


「ひ、ぃ、それやらぁ、...んんっ、...ふぁ...」


 まだ擽ったさしか拾えてはいなかったが、それでもザワザワとした感覚のせいでアリスの身体はピクリピクリと跳ねた。


 片方は丁寧に舐められたかと思うと、つつかれ、柔く噛まれる。アリスが悲鳴に似た声を上げて身を捩ろうとすれば、もう片方の乳首に軽く力を入れたり引っ掻いたり、形を変えるように弄った。


「も、むり...!ぁ、...むりです!」
「はぁ...ん、.....気持ちよさそうだけど?」
「もうや、だぁ」
「もうやだ、って顔してないよ?」


(何なのこの恥ずかしさ!こんなの知らない.....)


 上がった足が宙を蹴り、オーウェンの背にいつの間にか回していた手に力が入る。


(ダメだ。.....怖い、変になる)


 ゾクゾクと体に走るそれがいわゆる快感というものなのだろうか。全身を震わせながらアリスは考える。


 知識はあっても経験してみないと結局は分からないらしい。長く続くその愛撫に悶えながらアリスはただただ声を上げた。




「ごめん、大丈夫?」
「は、い.....」


 ようやく胸から顔が離れた。オーウェンはアリスの顔をなぞりながら、その表情を観察する。その表情は恍惚としていて、嫌悪も不快もみられない。自分が彼女にこんな顔をさせているのだと思うと堪らなく嬉しくなった。


 オーウェンはアリスの唇を親指で撫でる。アリスは何かを耐えるようか顔をしながら唇をパクパクと小さく震わせた。


「アリス、次に移るよ.....」


 そう声をかけながらオーウェンは唯一アリスが身につけていたショーツを触った。


「んっ」
「グショグショだね.....」
「言わないで、ください...」


 羞恥に染まった顔でアリスがオーウェンを睨むが、欲望を膨らませるだけで全然怖くない。その表情はただ男を煽るだけだった。


 オーウェンは「かわいい」と小さく呟きながらショーツに手をかけてスルッと脱がせてしまう。アリスが慌てて手を伸ばして隠そうとするのを片手でいなし、そして直接その割れ目をなぞった。


「あ、あぅ.....」
「凄い濡れてる...。良かった、気持ちよくなってくれて嬉しいよ」
「やだぁ.....」
「見て、俺の手を」


 オーウェンはアリスの目の前に液体でベトベトになった指を持ってくる。アリスは赤い顔のまま今にも泣きそうな表情を浮かべ目を逸らした。


「あ、あぁぁ...、ァ、ん...」
「ここ気持ちいい?」


 その恥ずかしがる顔が更に情欲を誘い出し、オーウェンはまた秘部に手を伸ばす。ツーっと撫でれば、アリスはビクビクと跳ねながら甘い声を漏らす。


 慌てて口を閉じようとしているのに、声は口の隙間から勝手に漏れ出てしまう。


 その様子が堪らなくて、女の子の弱い芽を軽くツンとつつけば、その声はさらに大きくなった。


「そこやだ.....ん、あん、ま、まって.....ひぁあああ!」
「そんな声出してるのに待って欲しいの?」


 耳元で囁きながら、刺激を続ければ今までで1番良い声が引き出された。それが可愛くて、オーウェンはその芽をキュッキュッと弄り倒す。ツンとつついて、押し潰して、グネグネこねる。


 アリスの腰が浮いて、声が大きくなっていく。オーウェンは手を止めず、刺激を続けた。


「やだ、あ、あぁ!.....や、ン、...ァ、ぁああ!」
「イけそうだね.....」
「とめ、て...ぁ、ひあ!?.....お、ねがいしま...ん、あっ」


 少しずつ高まっていく快感にアリスは身悶えた。アリスの懇願を笑顔で流すオーウェンを涙目で見つめながらアリスはただただ翻弄された。


「ぁぁ、あ!~~~~っ!!」


 高まった快感が弾ける。経験したことのないそれは簡単に全身を駆け巡ってそして震わせた。頭が真っ白になって、ヒクヒクと身体が疼いて仕方がない。


「上手だったよ、アリス」
「ぁ、あぅ、おーうぇん、さ、ま.....」
「中に指、入れるからね...」
「っ、ま、待って...!ひぁあ!?」


 まだこの快感が収まっていない。それを分かっているくせにオーウェンはアリスの狭いそこに人差し指をゆっくり侵入させた。アリスの十分に潤ったそこは狭いながらもゆっくりと受け入れる準備をしていた。


「痛くない?」
「大丈夫、です」
「...やっぱり狭いな」
「っ、ぁ、.....ん」


 腟内の異物感にアリスは眉を顰める。今まで外からの侵入をされたことがないそこは濡れていても狭くてオーウェンは小さく息をついた。


 慣らすように指をゆっくりと抜き差しし始め、そして探るような手つきでアリスの中を弄る。


「あ、...ぁ、ん"ぁ?.....や、らぁ.....、__ひああっ!」
「見つけた」
「や、そこだめっ!あ、ぁあ、あん、.....んぁ!」
「ここが気持ちいところだよ。これから沢山愛してあげるからね.....」


 達したばかりで、少しの刺激ですら感じ始めるようになりかけているアリスにとってはそこをつつかれるのは辛かった。

「ひぃ、...ァ、ぁあああっ!は、.....あ、ひあぁあ!?」


 アリスが「止めて」「待って」と合間に懇願するのに、オーウェンの手は止まらない。中に入ったまま花芽の刺激がまた再開されてアリスは一際大きな声を上げた。2回目の過ぎた快感が勢いよく溢れ出た。


「.....そろそろ良いかな」
「ふぁ、.....ん、んぁあっ...、や、.....待って」


 何が"良い"なのか、ぼんやりと揺らめく思考の中でも理解し、アリスはオーウェンの肩に手を置いた。いつの間にか中に入っている指の本数の増えていて、アリスはまだまだ続く責めにポロポロ涙を零す。


「ダメなの?」
「んっ」


 オーウェンはアリスの白い腹を撫でた。先程から疼いて仕方がないそこの上を優しく撫でられてまたピクピク身体が反応する。


「ね、アリス...。ダメ?」
「.....だ、め....っ」
「.......」
「じゃ、ないです」


 オーウェンが耳元でそう囁くのでアリスは身悶えする。先程からアリスの中にあったその欲が、オーウェンの言葉に引っ張り出されて、そしてゆっくりとだが言葉になって紡がれていく。


「良かった...」
「オーウェン、さま.....」


 オーウェンはほっと息をついて柔らかく笑った。その表情を見て、アリスもゆるりと頬を緩ませる。オーウェンは、片手でアリスを抱きしめた。アリスもそれに縋り付いて、2人はまた軽く口を合わせた。


 2つの心音が煩いくらいにドクドク鳴っている気がして、アリスはそのぼんやりとした安心感に身を任せてゆっくり力を抜いた。



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