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第19話・哀しみ本線日本海
【カラスの女房】
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時はいつ頃だったかおぼえてないけど、1975年の最終金曜日のことであった。
ところ変わって、高知県幡多郡大月町の西泊《にしどまり》地区にある釣り宿にて…
3つの私は、小番頭《こばんと》はんとシャテイの男と一緒にここにやって来た。
時計のはりは、夜9時を指していた。
小番頭《こばんと》はんとシャテイの男は、ものすごく切羽詰《せっぱつ》まった状態に置かれていた。
ところ変わって、釣り宿の中にある12畳《じょう》の大広間にて…
部屋には、溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんと溝端屋と取り引きしている卸問屋《とんや》の社長連中20人が集まっていた。
一行は、日中この付近の磯《いそ》で磯釣りを楽しんだ。
大広間には、その上にもうふたり男がいた。
一人は、白いさらし姿で背中と肩に唐獅子牡丹《からじしぼたん》もようの刺青《すみ》で染まっていて顔に大きな傷あとがある男…
もう一人は、チャラい服装の男であった。
大広間にいる一行は、チョウハン(サイコロ)を楽しんでいた。
白いさらし姿の男が筒状の入れ物とサイコロを持っていた。
チャラい服装の男は、社長連中がかけたカネを回収する棒を持っていた。
番頭《ばんと》はんは、20人の社長連中に声をかけた。
「さあさあさあさあさあさあ、みなさまよござんすね!!…ほな…入ります!!」
白いさらし姿の男は、筒状の入れ物にサイコロ2個を入れて軽く転がしたあと、シートの上に置いた。
「入った!!さあはったはった!!」
社長連中は、聖徳太子《しょうとくたいし》の肖像の1万円札の束を次々とかけた。
「丁」
「丁」
「丁」
「半」
「半」
「半」
「半」
「丁」
「丁」
「丁」
「丁」
「丁」
「丁」
「丁」
「半」
「半」
「丁」
「丁」
「半」
「半」
番頭《ばんと》はんは、チョウハンがそろったと言うた。
「チョウハンそろいやした!!ショーブ!!」
白いさらしの男は、筒状の入れ物をあげた。
入れ物の中から、2個のサイコロが現れた。
番頭《ばんと》はんが結果を言うた。
「二六《ニーロク》の丁!!」
このあと、回収係の男が棒を使って負けた分のカネを回収した。
その後、番頭《ばんと》はんが勝った人に分配するカネをカンジョウして勝った人に配った。
「おうタキノヤ、おまはんはついとるな~」
番頭《ばんと》はんは、大勝した社長さんに声をかけながら大金を手渡した。
他の社長連中たちは、口々に言うた。
「ああ、タキノヤはついとるな~」
「今日の釣り大会では、一番でっかいチヌ(黒だい)を釣ったけん超ラッキーやのぉ~」
「せやせや!!」
「おいタキノヤ!!あした酒おごれよ!!」
「せやせや!!」
番頭《ばんと》はんは、社長連中たちに『まあまあ…』と言うたあと『続けまっせ~』と言うた。
白いさらし姿の男は、筒状の入れ物に2個のサイコロを入れたあとシートの上に置いた。
「さあはったはった!!」
番頭《ばんと》はんの合図のあと、社長連中が次々とカネをかけた。
「丁」
「丁」
「丁」
「半」
「半」
「半」
「丁」
「丁」
「半」
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「半」
「丁」
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「半」
「半」
「半」
「丁」
「丁」
「半」
「半」
「チョウハンそろいやした!!ショーブ!!」
筒状の入れ物の中から2個のサイコロが現れた。
「おお~三六《サブロク》の半~」
番頭《ばんと》はんは、景気のいい声で言うた。
回収係の男は、負けた分のカネを棒を使って回収した。
「さあさあさあさあ、まだまだ行きまっせ~」
この時であった。
田嶋《たじま》の構成員《こぶん》の男が、溝端屋のダンナのもとにやって来た。
構成員《こぶん》の男は、溝端屋のダンナに耳打ちで言うた。
「ああ、さよか…」
このあと、溝端屋のダンナは構成員《こぶん》の男と一緒に部屋から出た。
またところ変わって、溝端屋のダンナが宿泊する部屋にて…
部屋は10畳《じょう》と6畳《じょう》の二間《ふたま》であった。
3つの私は、シャテイの男と一緒に6畳《じょう》の部屋にいた。
この時、私はふとんに入って眠っていた。
となりの10畳《じょう》の部屋に溝端屋のダンナと田嶋《くみちょう》と小林と山岡と小番頭《こばんと》はんの5人がいた。
小番頭《こばんと》はんは、溝端屋のダンナにたずね人のチラシを出した。
たずね人のチラシには、3つの私の写真が載っていた。
小番頭《こばんと》はんからことの次第を聞いた溝端屋のダンナは、怒った声で言うた。
「おい小番頭《こばんと》!!」
「へえ~」
「このチラシは、どこで配られていたのだ!?」
「南延岡駅《みなみのべおかのえき》の広場でおます。」
「このチラシを配っていたのは誰や!?」
「えーと、小学生の子どもたち7~8人と大学生の女男《おんなとおとこ》4人です…やつらは駅前広場で通行人たちにこななチラシを配って、コリントくんに会いたい会いたいといよった…」
溝端屋のダンナは、怒った声で言うた。
「そいつらは、長野県で暮らしているエッセイストのハナダのクソッタレジジイが主宰《しゅさい》の子どもキャンプに参加しているクソガキだな!!」
小番頭《こばんと》はんは『間違いおまへん~』と答えたあと溝端屋のダンナに言うた。
「これ見てどない思いまっか?…キャンプに参加しているクソガキどもは、コリントくんにきついいじめを加えた…コリントくんが行方不明になったことを聞くなりビービービービービービービービービービービービー泣きながらこななチラシを作った…ほんで、駅前広場で道行く人たちに『情報をください…』と呼びかけていた…これって、ムシがよすぎると思いまへんか!?」
端で聞いていた田嶋《くみちょう》は、不気味な声で『全くその通りだ…』と答えた。
溝端屋のダンナは、腕組みした状態で言うた。
「おい小番頭《こばんと》!!」
「へえ~」
「コリントくんが置き去りにされた日は、先月の第二日曜だったな!!」
「まちがいおまへん。」
「コリントくんが小番頭《こばんと》と会ったのはいつだ!?」
「それから数日後です…西鹿児島駅(鹿児島中央駅)の広場のベンチに座っていたところで会いました。」
「それから今日の今ごろまでずっとついていたのだな!!」
「へえ~」
「よくわかった。」
そんな時であった。
(ジリリリリリリリリン!!)
部屋に置かれている黒の手回し式(電話交換手につないでもらうタイプの)電話機のベルが鳴った。
「あっしが出やす…」
電話は、小林が出た。
小林は、受話器をあげたあと話をした。
「もしもし…ああ、つないでくれ…」
(プーッ、カチャ…)
受話器のスピーカーから電話がつながったことを知らせる合図音が鳴った。
その後、受話器からチンピラの男の声が聞こえた。
『もしもし…小林のアニキでおますか?』
「おう、ワシじゃ…」
『アニキ、コリントくんにきついいじめを加えたグループのリーダーのクソガキの父親《てておや》をコンクリ詰めにしてドラム缶ごと海へ沈めました。』
「ああさよか…」
『アニキ、このあとクソガキとクソガキの残っている家族たちと親類《クソッタレ》どもを始末しやす…』
「わかった…ほな、またかけてくれ。」
(ガチャ…ツーツーツーツーツーツーツーツーツーツー…)
小林は、受話器を置いたあと溝端屋のダンナに報告した。
「溝端屋、コリントくんにきついいじめを加えたグループのリーダーのクソガキの父親を海に沈めました。」
「ああさよか…」
「まず、うらみをひとつはらせましたね。」
「ああ…だが、まだ終わったわけじゃあらへんで!!」
「分かってまんがな~」
溝端屋のダンナは、怒った声で言うた。
「一番の原因であるハナダのクソッタレジジイとその家族、コリントくんにきついいじめを加えたグループのクソガキを始末するために強硬手段《きょうこうしゅだん》を使うぞ!!」
田嶋《くみちょう》は、不気味な声で『ああ、そうしよう…』と言うた。
溝端屋のダンナは、ものすごく怒った声で言うた。
「とくにハナダのクソッタレジジイについては、よりし烈な制裁を加える!!あのクソッタレジジイは、今から12年前(1963年)にわしらに対してペンの暴力で攻撃した!!クソッタレジジイのせいで、わしがどなな想いをしたのか…」
小林は、怒った声で言うた。
「12年前にハナダのクソッタレジジイの甥御《ひとつぶだね》が田嶋《うち》の構成員《こぶん》の男を殺した事件のことだな!!」
田嶋《くみちょう》は、不気味な声で『ああ、そうだ。』と言うてからこう言うた。
「ハナダのクソッタレジジイの甥御《ひとつぶだね》は、今治のナイトクラブのホステスであったワシの妾《てかけ》にてぇつけた…それを聞いた構成員《こぶん》たちが激怒した…その時…甥御《クソガキ》は、ナイフでわしのかわいい構成員《こぶん》を斬《き》りつけて殺した…許せない!!」
溝端屋のダンナは、ものすごく怒った声で言うた。
「ハナダのクソッタレジジイは、他にも田嶋《うちのくみ》と風早連合《おとうとぶん》に対して焚き付けて行った分もある…その分もふくめてオトシマエつけてもらう!!…ハナダの大学生のせがれと子どもキャンプに同行していた大学生《クソガキ》どもも、わしらにイチャモンつけたと聞いたから、その分もふくめてよりし烈な制裁を加えるぞ!!」
「そうしよう。」
「おい小番頭《こばんと》!!」
「へえ~」
「あとしばらくの間、コリントくんについているんだぞ!!」
「ショウチしやした。」
このあと、溝端屋のダンナたちはヒソヒソ声で打ち合わせをすすめた。
その頃、3つの私はふとんの中でスヤスヤと眠っていた。
溝端屋のダンナたちの会話がとなりの部屋に聞こえたが、そんなことはお構いなく眠っていた。
あの様子だと、溝端屋のダンナと田嶋《くみちょう》たちは強硬手段《きょうこうしゅだん》を行使するかもしれない…
こわい…
私は…
どないしたらええねん…
どないしたらええねん…
こわい…
ものすごくこわい(ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル…)
ところ変わって、高知県幡多郡大月町の西泊《にしどまり》地区にある釣り宿にて…
3つの私は、小番頭《こばんと》はんとシャテイの男と一緒にここにやって来た。
時計のはりは、夜9時を指していた。
小番頭《こばんと》はんとシャテイの男は、ものすごく切羽詰《せっぱつ》まった状態に置かれていた。
ところ変わって、釣り宿の中にある12畳《じょう》の大広間にて…
部屋には、溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんと溝端屋と取り引きしている卸問屋《とんや》の社長連中20人が集まっていた。
一行は、日中この付近の磯《いそ》で磯釣りを楽しんだ。
大広間には、その上にもうふたり男がいた。
一人は、白いさらし姿で背中と肩に唐獅子牡丹《からじしぼたん》もようの刺青《すみ》で染まっていて顔に大きな傷あとがある男…
もう一人は、チャラい服装の男であった。
大広間にいる一行は、チョウハン(サイコロ)を楽しんでいた。
白いさらし姿の男が筒状の入れ物とサイコロを持っていた。
チャラい服装の男は、社長連中がかけたカネを回収する棒を持っていた。
番頭《ばんと》はんは、20人の社長連中に声をかけた。
「さあさあさあさあさあさあ、みなさまよござんすね!!…ほな…入ります!!」
白いさらし姿の男は、筒状の入れ物にサイコロ2個を入れて軽く転がしたあと、シートの上に置いた。
「入った!!さあはったはった!!」
社長連中は、聖徳太子《しょうとくたいし》の肖像の1万円札の束を次々とかけた。
「丁」
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「半」
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番頭《ばんと》はんは、チョウハンがそろったと言うた。
「チョウハンそろいやした!!ショーブ!!」
白いさらしの男は、筒状の入れ物をあげた。
入れ物の中から、2個のサイコロが現れた。
番頭《ばんと》はんが結果を言うた。
「二六《ニーロク》の丁!!」
このあと、回収係の男が棒を使って負けた分のカネを回収した。
その後、番頭《ばんと》はんが勝った人に分配するカネをカンジョウして勝った人に配った。
「おうタキノヤ、おまはんはついとるな~」
番頭《ばんと》はんは、大勝した社長さんに声をかけながら大金を手渡した。
他の社長連中たちは、口々に言うた。
「ああ、タキノヤはついとるな~」
「今日の釣り大会では、一番でっかいチヌ(黒だい)を釣ったけん超ラッキーやのぉ~」
「せやせや!!」
「おいタキノヤ!!あした酒おごれよ!!」
「せやせや!!」
番頭《ばんと》はんは、社長連中たちに『まあまあ…』と言うたあと『続けまっせ~』と言うた。
白いさらし姿の男は、筒状の入れ物に2個のサイコロを入れたあとシートの上に置いた。
「さあはったはった!!」
番頭《ばんと》はんの合図のあと、社長連中が次々とカネをかけた。
「丁」
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「半」
「チョウハンそろいやした!!ショーブ!!」
筒状の入れ物の中から2個のサイコロが現れた。
「おお~三六《サブロク》の半~」
番頭《ばんと》はんは、景気のいい声で言うた。
回収係の男は、負けた分のカネを棒を使って回収した。
「さあさあさあさあ、まだまだ行きまっせ~」
この時であった。
田嶋《たじま》の構成員《こぶん》の男が、溝端屋のダンナのもとにやって来た。
構成員《こぶん》の男は、溝端屋のダンナに耳打ちで言うた。
「ああ、さよか…」
このあと、溝端屋のダンナは構成員《こぶん》の男と一緒に部屋から出た。
またところ変わって、溝端屋のダンナが宿泊する部屋にて…
部屋は10畳《じょう》と6畳《じょう》の二間《ふたま》であった。
3つの私は、シャテイの男と一緒に6畳《じょう》の部屋にいた。
この時、私はふとんに入って眠っていた。
となりの10畳《じょう》の部屋に溝端屋のダンナと田嶋《くみちょう》と小林と山岡と小番頭《こばんと》はんの5人がいた。
小番頭《こばんと》はんは、溝端屋のダンナにたずね人のチラシを出した。
たずね人のチラシには、3つの私の写真が載っていた。
小番頭《こばんと》はんからことの次第を聞いた溝端屋のダンナは、怒った声で言うた。
「おい小番頭《こばんと》!!」
「へえ~」
「このチラシは、どこで配られていたのだ!?」
「南延岡駅《みなみのべおかのえき》の広場でおます。」
「このチラシを配っていたのは誰や!?」
「えーと、小学生の子どもたち7~8人と大学生の女男《おんなとおとこ》4人です…やつらは駅前広場で通行人たちにこななチラシを配って、コリントくんに会いたい会いたいといよった…」
溝端屋のダンナは、怒った声で言うた。
「そいつらは、長野県で暮らしているエッセイストのハナダのクソッタレジジイが主宰《しゅさい》の子どもキャンプに参加しているクソガキだな!!」
小番頭《こばんと》はんは『間違いおまへん~』と答えたあと溝端屋のダンナに言うた。
「これ見てどない思いまっか?…キャンプに参加しているクソガキどもは、コリントくんにきついいじめを加えた…コリントくんが行方不明になったことを聞くなりビービービービービービービービービービービービー泣きながらこななチラシを作った…ほんで、駅前広場で道行く人たちに『情報をください…』と呼びかけていた…これって、ムシがよすぎると思いまへんか!?」
端で聞いていた田嶋《くみちょう》は、不気味な声で『全くその通りだ…』と答えた。
溝端屋のダンナは、腕組みした状態で言うた。
「おい小番頭《こばんと》!!」
「へえ~」
「コリントくんが置き去りにされた日は、先月の第二日曜だったな!!」
「まちがいおまへん。」
「コリントくんが小番頭《こばんと》と会ったのはいつだ!?」
「それから数日後です…西鹿児島駅(鹿児島中央駅)の広場のベンチに座っていたところで会いました。」
「それから今日の今ごろまでずっとついていたのだな!!」
「へえ~」
「よくわかった。」
そんな時であった。
(ジリリリリリリリリン!!)
部屋に置かれている黒の手回し式(電話交換手につないでもらうタイプの)電話機のベルが鳴った。
「あっしが出やす…」
電話は、小林が出た。
小林は、受話器をあげたあと話をした。
「もしもし…ああ、つないでくれ…」
(プーッ、カチャ…)
受話器のスピーカーから電話がつながったことを知らせる合図音が鳴った。
その後、受話器からチンピラの男の声が聞こえた。
『もしもし…小林のアニキでおますか?』
「おう、ワシじゃ…」
『アニキ、コリントくんにきついいじめを加えたグループのリーダーのクソガキの父親《てておや》をコンクリ詰めにしてドラム缶ごと海へ沈めました。』
「ああさよか…」
『アニキ、このあとクソガキとクソガキの残っている家族たちと親類《クソッタレ》どもを始末しやす…』
「わかった…ほな、またかけてくれ。」
(ガチャ…ツーツーツーツーツーツーツーツーツーツー…)
小林は、受話器を置いたあと溝端屋のダンナに報告した。
「溝端屋、コリントくんにきついいじめを加えたグループのリーダーのクソガキの父親を海に沈めました。」
「ああさよか…」
「まず、うらみをひとつはらせましたね。」
「ああ…だが、まだ終わったわけじゃあらへんで!!」
「分かってまんがな~」
溝端屋のダンナは、怒った声で言うた。
「一番の原因であるハナダのクソッタレジジイとその家族、コリントくんにきついいじめを加えたグループのクソガキを始末するために強硬手段《きょうこうしゅだん》を使うぞ!!」
田嶋《くみちょう》は、不気味な声で『ああ、そうしよう…』と言うた。
溝端屋のダンナは、ものすごく怒った声で言うた。
「とくにハナダのクソッタレジジイについては、よりし烈な制裁を加える!!あのクソッタレジジイは、今から12年前(1963年)にわしらに対してペンの暴力で攻撃した!!クソッタレジジイのせいで、わしがどなな想いをしたのか…」
小林は、怒った声で言うた。
「12年前にハナダのクソッタレジジイの甥御《ひとつぶだね》が田嶋《うち》の構成員《こぶん》の男を殺した事件のことだな!!」
田嶋《くみちょう》は、不気味な声で『ああ、そうだ。』と言うてからこう言うた。
「ハナダのクソッタレジジイの甥御《ひとつぶだね》は、今治のナイトクラブのホステスであったワシの妾《てかけ》にてぇつけた…それを聞いた構成員《こぶん》たちが激怒した…その時…甥御《クソガキ》は、ナイフでわしのかわいい構成員《こぶん》を斬《き》りつけて殺した…許せない!!」
溝端屋のダンナは、ものすごく怒った声で言うた。
「ハナダのクソッタレジジイは、他にも田嶋《うちのくみ》と風早連合《おとうとぶん》に対して焚き付けて行った分もある…その分もふくめてオトシマエつけてもらう!!…ハナダの大学生のせがれと子どもキャンプに同行していた大学生《クソガキ》どもも、わしらにイチャモンつけたと聞いたから、その分もふくめてよりし烈な制裁を加えるぞ!!」
「そうしよう。」
「おい小番頭《こばんと》!!」
「へえ~」
「あとしばらくの間、コリントくんについているんだぞ!!」
「ショウチしやした。」
このあと、溝端屋のダンナたちはヒソヒソ声で打ち合わせをすすめた。
その頃、3つの私はふとんの中でスヤスヤと眠っていた。
溝端屋のダンナたちの会話がとなりの部屋に聞こえたが、そんなことはお構いなく眠っていた。
あの様子だと、溝端屋のダンナと田嶋《くみちょう》たちは強硬手段《きょうこうしゅだん》を行使するかもしれない…
こわい…
私は…
どないしたらええねん…
どないしたらええねん…
こわい…
ものすごくこわい(ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル…)
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