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第15話・LOVE〜抱きしめたい

【火の国の女】

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(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、5月21日の朝6時半頃であった。

私は、寝台特急はやぶさに乗って九州へ向かった。

大阪駅から網干駅《あぼし》までの間はJRの新快速電車に乗って移動した。

網干駅《あぼし》から下松駅《くだまつ》で(兵庫県姫路市)までは、長距離トラックをヒッチハイクして移動した。

下松駅に着いたあと、立席特急券と乗車券を購入した。

その後、寝台特急はやぶさに乗り込んだ。

B寝台の個室座席に座っている私は、窓に写る風景を見つめながらウォークマンで歌を聴いていた。

イヤホンから、坂本冬美さんの歌の全曲集に収録されている歌が流れていた。

『あばれ太鼓』『祝い酒』『夜桜お七』『能登はいらんかいね』『火の国の女』…

その中で、『火の国の女』を繰り返して聴いていた。

大阪キタの曽根崎新地のストリップ劇場で見た踊り子さんのさよなら公演の2曲目で流れていた歌が坂本冬美さんの歌で『火の国の女』だった…

その時、踊り子さんは赤じゅばんをぐちゃぐちゃに乱れた姿で妖《あや》しく踊っていた。

この時、私は20年前(1995年)に小番頭《こばんと》はんと一緒に旅をしていた時を思い出した。

あれは、9月11日から15日に催された藤崎八旛宮秋季例大祭の時だった…

3つの私は、小番頭《こばんと》はんと一緒に熊本市中央区の上通町《かみどおりまち》にある旅館に宿泊していた。

小番頭《こばんと》はんが藤崎八旛宮《ふじさきはちまんぐう》でテキ屋商売をしていた時、私は旅館で留守番していた。

その時に、日本とヴェラルーシのハーフの23歳のコンパニオンの女の子が私のお世話をしてくださった。

コンパニオンの女の子は、ゆうべストリップ劇場で見た踊り子さんと同じ顔で、130のMカップの極爆乳《おおきすぎるおっぱい》のむっちりボディであった。

コンパニオンの女の子は、親身になって遊び相手になってくださった。

お元気で暮らしているだろうか…

お元気であれば、お会いしてお礼を述べたい…

朝9時40分頃であった。

寝台特急はやぶさが熊本駅のプラットホームに到着した。

ショルダーバッグを持って列車を降りた私は、改札口を通って駅の外へ出た。

私は、熊本駅から歩いて上通町《かみどおりまち》にある旅館へ向かった。

旅館は、今も営業を続けていたので安心した。

私は、旅館のオカミと再会することができた。

私は、オカミに20年前(1995年)にお世話になったお礼をていねいに述べた。

オカミは『ああ、おぼえているよ…たくましくなったわね~』と言うてよろこんでいた。

お世話になったお礼を述べたあと、私は『人を探している…』とオカミに伝えた。

オカミは私に『ああ、ぼうやと一緒に来たテキ屋のニイちゃんね…おぼえているよ。』とやさしく答えた。

私は『小番頭《こばんと》はんはこちらにおられますか?』とオカミに聞いた。

オカミは『きのうまではここにいたけど…』と答えたが、その先がどうなったかは分からないと言うた。

小番頭《こばんと》はん…

熊本にいたんだ…

せやけど…

どこかで行方不明になったと聞いた…

困った~

どないしたらええねん…

時は、午前11時半頃であった。

ところ変わって、上通町《かみどおりまち》にある『こむらさき』(熊本ラーメンの店)にて…

お腹がすいた私は、とんこつラーメンとぎょうざ6個でランチを摂っていた。

私は、ミネラルウォーターをのんだ考え事をした。

この時、私は5月17日に門司港駅の前の広場でバナナのたたき売りのおっちゃんと会ったことを思い出した。

バナナのたたき売りのおっちゃんは、泉大津の港でゆかさんを見たといよった…

ゆかさんが泉大津の港で阪九フェリーの予約を申し込んでいた…

ゆかさんは、5月17日の夜に阪九フェリーに乗って、九州へ向かう予定であった…

そこから先は『聞いてない。』とおっちゃんは答えた。

あの時、ゆかさんがまだ泉大津の港にいると思ったので新幹線に乗って再び大阪へ向かった。

けれど、途中でアクシデントに遭ったので泉大津の港に行くことができなかった…

あとになって、私はおっちゃんにだまされたことに気がついた…

ゆかさんは、どこへ行ったのだろうか?

私は、5月19日から20日にかけて堺市~松原市~藤井寺市~八尾市の4つの市《まち》へ行った。

4つの市《まち》は、大番頭《おおばんと》はんの家族がかつて暮らしていた市《まち》であった。

ゆかさんの中学・高校時代の友人知人さまたちが4つの市《まち》にいると思って、手当たり次第にたずねてみた。

しかし、返ってきた答えはゆかさんと会ってない…と言うことであった。

20日の夕方頃に、大阪天王寺区にいるゆかさんの友人夫婦が経営している串カツ屋へ行ってゆかさんと会ったかどうかを聞いたけど、友人夫婦は『知らん…』と言い返した。

この時、私は大失敗したと思った。

そしてきょう(21日)熊本にやって来た。

熊本県内にゆかさんの友人知人が2~3人いると聞いたので、ランチを摂ったらすぐに出発することにした。

このままゆかさんが見つからなかったら…

私は、一生放浪する身で人生を終えることになるだろう…

私に残された時間は…

わずかしかない…

急がなきゃ…
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