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第11話・幸せの分かれ道

【強がりはよせ】

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時は、1月9日の午前10時半頃であった。

またところ変わって、イオンモール今治新都市の1階にあるGUの店舗にて…

ゆりこは、体調不良を抱えた状態でバイトを続けていた。

この最近、ゆりこは身体《からだ》がものすごくだるいのではやびけすることが多くなった。

ゆりこは、2017年末頃に(国立)四国がんセンターで検診を受けに行った。

その際に、医師から右の乳房にゴルフボールくらいの大きさのしこりがあると言われた…

医師から『早めに治療するように…』と言われたが、ゆりこは強く拒否した。

それ以降、ゆりこは体調不良を抱えた状態でバイトをつづけた。

しかし、この日はとてもとは言えないが元気な顔で出勤できる状態ではなかった。

ゆりこの足もとがふらついていた上に、まっすぐに歩けない…

ゆりこは、ここへ来て20分後にギブアップした。

この日もゆりこは早めに上がったが、心身共に限度が来たのでバイトをやめることにした。

時は、午前11時50分頃であった。

ところ変わって、さざなみコートのすぐ近くにあるスタバにて…

途中でバイトをあがったゆりこは、冬限定のフラペチーノとトールドリップグランデを注文したあと空いてる席に座って考え事をしていた。

そこへ、ヨリイさんがものすごく心配な表情でゆりこに会いに来た。

ヨリイさんは、つらい声でゆりこに言うた。

「ゆりこちゃん。」
「施設長。」
「ゆりこちゃん、バイトはどうしたの?」

ゆりこは、泣きそうな声で『もうやめた!!』とヨリイさんに言うた。

ヨリイさんは、ものすごく困った声でゆりこに言うた。

「やめたって…」
「(泣きそうな声で)ゆりこ…もうしんどいもん…」
「困ったわね…それなら、先生がゆりこちゃんに代わってGUの人に伝えておくから…ああ、ゆりこちゃんはなんでひとつの事業所《ばしょ》でつづけて働くことができんのかしら~」

ヨリイさんは、ものすごく困った声でゆりこに言うた。

「ゆりこちゃん!!」
「(ものすごくしんどい声で)なによぅ~」
「ゆりこちゃんは、これまでに何回転職をくりかえしたのか…数えたことあるの?」
「(ものすごくしんどい声で)おぼえていない…」
「これまでに行った事業所《ばしょ》で長く続いたのはGUだけよね。」
「(ものすごくしんどい声で)そんなのどーでもいいわよ…」
「ゆりこちゃん!!」

ヨリイさんに怒鳴られたゆりこは、ものすごくしんどい声で言うた。

「ゆりこ…生まれてきた場所を間違えたみたい…生まれてきた場所を間違えたから大失敗した…」

ヨリイさんは、ものすごくつらい声でゆりこに言うた。

「それじゃあ、ゆりこちゃんはどう言った家庭の娘に生まれたかったのよ?」

ゆりこは、ものすごくしんどい声で言うた。

「お金持ちの家の娘に生まれたかった…」

ヨリイさんは、つらい声でゆりこに言うた。

「ゆりこちゃんの気持ちはよく分かったわ。」

ゆりこは、泣きそうな声でヨリイさんに言うた。

「やり直しはできると言うけど無理よ…こんな身体《からだ》でどうやってやり直しをするなんて無理よ!!…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

ゆりこは、テーブルに顔を伏せてくすんくすんと泣いた。

ヨリイさんは、ものすごく困った声で言うた。

「ゆりこちゃんがそのように言うのであれば、仕方ないわね…でもよく考えてみたらゆりこちゃんが生まれてきた時期がよくなかった…という事もあったかもしれないわ…あの頃(1970年代)は、大学生が革命だと言うて凶悪事件を起こした(よど号ハイジャック事件・あさま山荘事件など)…自分の生い立ちが不幸だからと言うて銀行で強盗殺人と立てこもり事件を起こしてケーサツにてっぽうで撃たれて死んだ男がいた(大阪梅川事件)…宗教団体にのめり込んだ若者がテロ事件を起こした(オウム真理教事件)…中高生の男の子がバスジャック事件を起こしたことなどもあった…他にも、あおり運転して人殺しをした若者がいたし…大阪の学校でなんの落ち度もない子どもたちの命を奪った中年男がいたし(大阪宅間事件)…歩行者天国で通り魔事件を起こした男の子もいたし(秋葉原通り魔事件)…そのように考えると、日本《このくに》ではゆりこちゃんが幸せに暮らしていくことができない…どうしよう…」

ヨリイさんは、ポケットからハンカチーフを取り出したあとぐすんぐすんと泣き出した。

それから30秒後に、ヨリイさんはゆりこに言うた。

「ゆりこちゃん…ゆりこちゃんごめんね…」

ゆりこは、冷めた目つきでヨリイさんを見つめていた。

ヨリイさんは、泣きながらゆりこに言うた。

「ゆりこちゃんが日本《このくに》でやり直しができないと言うのであれば先生はなにも言わないから…だけど、最後にひとつだけゆりこちゃんがしなければならないことがあるのよ!!」
「最後にひとつだけしなければならないこと?」

ヨリイさんは、よりきびしい声でゆりこに言うた。

「ゆりこちゃん!!いつになったらよーくんにおわびをするのよ!?」

ゆりこは『イヤ!!』と言うて拒否した。

「イヤ!!拒否する!!」
「どうしてイヤなのよ!?」
「イヤと言うたらイヤなのよ!!」

ヨリイさんは、ものすごく困った声でゆりこに言うた。

「ゆりこちゃんは、23年前のことを根に持っているのね。」
「ゆりこは、よーくんにゆりこと健太くんの結婚をよろこんでほしかったの…よーくんのよろこんでいる顔が見たかったのよ!!」

ヨリイさんは、ものすごくあつかましい声でゆりこに言うた。

「ゆりこちゃん!!23年前にゆりこちゃんが犯したあやまちを今でも怒っているのよ!!ゆりこちゃんがよーくんに暴力をふるったことが原因で、よーくんの心がズタズタに傷ついた!!ゆりこちゃんひとりのせいでよーくんはお嫁さんをもらえなくなるかもしれないのよ!!そのようになったら、ゆりこちゃんひとりのせいでよーくんにお嫁さんが来なくなった…という事になるのよ!!その時、ゆりこちゃんは全責任を負うことになるのよ!!」

ヨリイさんからどぎつい声で言われたゆりこは、くすんくすんと泣き出した。

ヨリイさんは、ものすごくつらい声で言うた。

「よーくんもかわいそう…恋人を作って結婚したいと思っているのに、時期が悪いからあきらめてしまったかも…よーくんのお仕事の都合上で休みが全くない…よーくんの年齢に近い女性《ひと》が近くにいない…もうだめね。」
「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

ゆりことヨリイさんは、くすんくすんと泣いていた。

ゆりことヨリイさんは、おだやかに話し合いをすることができなかった。
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