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第4話・西日本豪雨
【見つからない…どうしよう…】
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時は流れて…
8月3日の朝10時頃であった。
健一郎は、9月末までに新しい職《しごと》と住まいを見つけることを目標に活動を開始した。
トメから提示された条件をクリアするためにシューカツと住まい探しにホンソウしていた健一郎であった。
しかし、健一郎の身の丈に合う条件はどこにもなかった。
7月はじめ頃に陸上自衛隊《ジエータイ》から脱走した事件については、榎戸夫人《きょうじゅふうふ》が正統派《セートーハ》の弁護士さんを立てて問題解決すると言うことであるが、健一郎を受け入れてくださる事業所《かいしゃ》はどこにもなかった。
だが、トメから『はよせえ~』と言われているので健一郎は急がなければならなかった。
健一郎自身の気持ちは、ひどくあせっていたようだ。
その一方で、かおるも市内の事業所《かいしゃ》を回って健一郎を受け入れてくださいとお願いした。
しかし、どの事業所《かいしゃ》も健一郎を受け入れることができないと言うてことわった。
時は、夕方4時頃であった。
ところ変わって、宮下町《みやしたちょう》の豪邸《いえ》の大広間にて…
大広間には、志桜里《しおり》ひとりがいた。
志桜里《しおり》は、ダイソンのスティッククリーナーを使って床掃除をしていた。
この時、帰宅したかおるがものすごくつかれた表情で大広間に入った。
「ただいま。」
「おかえりなさいませ。」
志桜里《しおり》は、ダイソンのスティッククリーナーの電源を切って近くにある収納スタンドにセットしたあとダイニングキッチンへ向かおうとした。
志桜里《しおり》は、かおるにお茶いれましょうかと言うた。
「奥さま、お茶をおいれしましょうか?」
「(ものすごくつらい声で)お茶、いい…」
かおるは、げんなりとした表情で大広間のテーブルにあるイスにこしかけたあと志桜里《しおり》に声をかけた。
「志桜里《しおり》さん、義母《おかあ》さまは?」
「町内会のあつまりに行ってます。」
「ダンナは?」
「会社にいます…個室《へや》の整理をしているので、帰りは遅くなるようです。」
「そう…わかったわ。」
それから30秒後であった。
かおるは、ものすごくつらい表情で志桜里《しおり》に言うた。
「志桜里《しおり》さん。」
「奥さま。」
「どうしたらいい?」
「どうしたらいいって?」
「健ちゃんに対して過度に愛情をかけたことが原因で、あつことてつやにきらわれた…うちは…始めから育児をする資格なんかなかった…大失敗したワ…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
かおるは、テーブルに顔をふせた状態でくすんくすんと泣いた。
志桜里《しおり》は、なんて言えばいいのか分からずに困っていた。
かおるはあつことてつやにわびたいと言うてるが、今ごろコーカイしてどうする…ふざけるな…と言いたいワ(ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…)
【つづく】
8月3日の朝10時頃であった。
健一郎は、9月末までに新しい職《しごと》と住まいを見つけることを目標に活動を開始した。
トメから提示された条件をクリアするためにシューカツと住まい探しにホンソウしていた健一郎であった。
しかし、健一郎の身の丈に合う条件はどこにもなかった。
7月はじめ頃に陸上自衛隊《ジエータイ》から脱走した事件については、榎戸夫人《きょうじゅふうふ》が正統派《セートーハ》の弁護士さんを立てて問題解決すると言うことであるが、健一郎を受け入れてくださる事業所《かいしゃ》はどこにもなかった。
だが、トメから『はよせえ~』と言われているので健一郎は急がなければならなかった。
健一郎自身の気持ちは、ひどくあせっていたようだ。
その一方で、かおるも市内の事業所《かいしゃ》を回って健一郎を受け入れてくださいとお願いした。
しかし、どの事業所《かいしゃ》も健一郎を受け入れることができないと言うてことわった。
時は、夕方4時頃であった。
ところ変わって、宮下町《みやしたちょう》の豪邸《いえ》の大広間にて…
大広間には、志桜里《しおり》ひとりがいた。
志桜里《しおり》は、ダイソンのスティッククリーナーを使って床掃除をしていた。
この時、帰宅したかおるがものすごくつかれた表情で大広間に入った。
「ただいま。」
「おかえりなさいませ。」
志桜里《しおり》は、ダイソンのスティッククリーナーの電源を切って近くにある収納スタンドにセットしたあとダイニングキッチンへ向かおうとした。
志桜里《しおり》は、かおるにお茶いれましょうかと言うた。
「奥さま、お茶をおいれしましょうか?」
「(ものすごくつらい声で)お茶、いい…」
かおるは、げんなりとした表情で大広間のテーブルにあるイスにこしかけたあと志桜里《しおり》に声をかけた。
「志桜里《しおり》さん、義母《おかあ》さまは?」
「町内会のあつまりに行ってます。」
「ダンナは?」
「会社にいます…個室《へや》の整理をしているので、帰りは遅くなるようです。」
「そう…わかったわ。」
それから30秒後であった。
かおるは、ものすごくつらい表情で志桜里《しおり》に言うた。
「志桜里《しおり》さん。」
「奥さま。」
「どうしたらいい?」
「どうしたらいいって?」
「健ちゃんに対して過度に愛情をかけたことが原因で、あつことてつやにきらわれた…うちは…始めから育児をする資格なんかなかった…大失敗したワ…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
かおるは、テーブルに顔をふせた状態でくすんくすんと泣いた。
志桜里《しおり》は、なんて言えばいいのか分からずに困っていた。
かおるはあつことてつやにわびたいと言うてるが、今ごろコーカイしてどうする…ふざけるな…と言いたいワ(ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…)
【つづく】
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