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最終回スペシャル・後編
【泣いていた女の子】
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1月23日頃であった。
ゆめいろ市の私立学園(私がかつていた私立高校がある学園)の新総長に山岡の兄・重朝が就任した。
それに伴って、やる気のない生徒たちを強制的に追放した。
それと同時に、オクギョ理事長たちを筆頭に本学(私立高校)の校長、附属の小学校中学校の校長、短大の学長などの幹部クラス全員をハイセキして、学園すべてのジッケンをショウアクした。
1月24日に予定していた本学のスイセン入試が突然中止になった。
他の附属学校も新年度の生徒学生募集が強制的に停止した。
新総長のオウボウが原因で、生徒学生たちの間で大パニックが発生した。
そして2月4日頃、総長が突然シッソウした。
同時に、学園が債務超過におちいって破綻した。
ゆめいろ市は、今回の一件できわめて危険な状態におちいった。
さて、その頃であった。
溝端屋のダンナたちにナンキンされていた私は、2月6日の早朝頃にJR香椎線の須恵中央駅(福岡県須恵町)で解放された。
自由の身となった私は、なんとしてでも出国したい気持ちでいっぱいになっていた。
とにかく、一刻も早く日本から出国しなければ…
残された時間は、コクコクと削られて行く…
急げ…
時間がない…
2月7日頃であった。
私は、3月31日までの契約で二日市(福岡県筑紫野市)のマンスリーアパートで暮らすことになった。
その間に、日雇いの仕事で小銭を稼いで出国に向けて準備をすすめた。
その間に、ゆめいろ市で恐ろしい事件が多発した。
莉江子の兄・滋が酒場街でヤクザと乱闘さわぎを起こしたあげくに、チャカでドタマぶち抜かれた。
莉江子と両親と芳美は、浪江(福島県)にある芳美の実家へ逃げ込んだ。
自分の物を積んだリヤカーをひいて家出した温品くんは、ゆめいろ市を出たあと行方がわからなくなっていたが、2月11日頃に海沿いの道路で激しい横風にあおられて海に落ちて流されて行方不明になった。
オクギョ理事長たちは、長州組のヤクザたちとトラブルを起こしていたことが原因で一生追われる身になった。
…など、このあともゆめいろ市では恐ろしい事件がつづくようだ。
さて、その頃であった。
私は、日本から出国するための準備をすすめていたが、入国管理局のナマクラコームインのせいで手続きができないので困っていた。
どないしたらええねん…
助けてくれぇ…
私は、2月23日に入国管理局へ行って出国申請をお願いした。
しかし、担当者が『年度末で忙しい…』と言うて手のひらでパタパタ(シッシッ)とふって私を追いだしたので怒り狂っていた。
ふざけんなよ…
私は、ノラ犬か…
話は、大喪の礼の日の翌日のことであった。
私は、アパートの部屋でイビキをかいて寝ていた。
時は、午後3時過ぎのことであった。
(コンコン…)
玄関のドアをノックする音が聞こえた。
ドアをノックする音で目ざめた私は、どちらさまですかとたずねた。
「どちらさまですか?」
「ワシやワシ…」
「溝端屋のダンナ…」
(ガチャ…)
私は、玄関のドアをゆっくりとあけた。
玄関の前に、溝端屋のダンナが立っていた。
溝端屋のダンナは、私に声をかけた。
「溝端屋のダンナ…」
「イワマツくん、大丈夫かね?」
「大丈夫じゃあらへんねん…心身ともにしんどいねん。」
「そうか…イワマツくんも大変だったね…きょうは、イワマツくんにええもんみしたろと想ってきたんや。」
ええもんみしたろって…
一体なやねん…
溝端屋のダンナは、コンワクしている私に1枚の写真をみせた。
1枚の写真は、南アジアの系統の男の写真だった。
私は、溝端屋のダンナに写真の男のことを聞いた。
「この男性は、誰なのですか?」
溝端屋のダンナは、私にえげつない言葉を言うた。
「写真の男は、イワマツくんの実父や。」
それを聞いた私は、全身が凍りついた。
ウソやん…
そんなんウソに決まっとるねん…
私は、ダンナに写真の男のことを聞いた。
「ダンナ。」
「なんぞぉ~」
「私は、父親…いえ、両親の顔…しらんねん。」
「せやったのぉ…イヤなことを思い出してすまなんだのぉ~…この男は、イワマツくんが生まれた年に今治の建材屋の経営者のどら息子を殺して逃げた…その際に、わしらが世話したったんや…その恩をきれいに忘れた上に、数人の子分どついて逃げたんや…」
「そんな…」
「この男は、今もこのキンペンにセンプクしとるさかいに…もし見かけたらわしらにしらしてくれ…ほな…」
溝端屋のダンナは、私にこう言うたあとその場から立ち去った。
ワケが分からなくなった私は、ボーゼンとした表情で立っていた。
その日の夕方であった。
私は、アパートにいるのが苦痛になったのでショルダーバッグを持って再び家出した。
時は、夕方6時過ぎであった。
私は、西鉄二日市駅の前の商店街の通りをトボトボと歩きながら考え事をしていた。
これから先どないしようか…
日本から出国できなくなったら、どないしたらええねん…
そんなことばかりが頭の中で渦巻いていた。
商店街の通りのスピーカーから、南らんぼうさんの作詞作曲で、1979年にNHKの『みんなのうた』で発表された『泣いていた女の子』が流れていた。
歌を聴いた私は、悲しくなって泣いた。
「うう…マァマ…マァマ…」
日本から出国したい…
韓国にいるマァマに会いたい…
アメリカ合衆国のハイスクールに復学したい…
歌が流れている間、私は声を震わせて泣いた。
その日の夜、私は商店街の近くの公園のふじ棚で野宿した。
明日からは、ずっと野宿がつづく…
ホンマにサイアクだ…
ゆめいろ市の私立学園(私がかつていた私立高校がある学園)の新総長に山岡の兄・重朝が就任した。
それに伴って、やる気のない生徒たちを強制的に追放した。
それと同時に、オクギョ理事長たちを筆頭に本学(私立高校)の校長、附属の小学校中学校の校長、短大の学長などの幹部クラス全員をハイセキして、学園すべてのジッケンをショウアクした。
1月24日に予定していた本学のスイセン入試が突然中止になった。
他の附属学校も新年度の生徒学生募集が強制的に停止した。
新総長のオウボウが原因で、生徒学生たちの間で大パニックが発生した。
そして2月4日頃、総長が突然シッソウした。
同時に、学園が債務超過におちいって破綻した。
ゆめいろ市は、今回の一件できわめて危険な状態におちいった。
さて、その頃であった。
溝端屋のダンナたちにナンキンされていた私は、2月6日の早朝頃にJR香椎線の須恵中央駅(福岡県須恵町)で解放された。
自由の身となった私は、なんとしてでも出国したい気持ちでいっぱいになっていた。
とにかく、一刻も早く日本から出国しなければ…
残された時間は、コクコクと削られて行く…
急げ…
時間がない…
2月7日頃であった。
私は、3月31日までの契約で二日市(福岡県筑紫野市)のマンスリーアパートで暮らすことになった。
その間に、日雇いの仕事で小銭を稼いで出国に向けて準備をすすめた。
その間に、ゆめいろ市で恐ろしい事件が多発した。
莉江子の兄・滋が酒場街でヤクザと乱闘さわぎを起こしたあげくに、チャカでドタマぶち抜かれた。
莉江子と両親と芳美は、浪江(福島県)にある芳美の実家へ逃げ込んだ。
自分の物を積んだリヤカーをひいて家出した温品くんは、ゆめいろ市を出たあと行方がわからなくなっていたが、2月11日頃に海沿いの道路で激しい横風にあおられて海に落ちて流されて行方不明になった。
オクギョ理事長たちは、長州組のヤクザたちとトラブルを起こしていたことが原因で一生追われる身になった。
…など、このあともゆめいろ市では恐ろしい事件がつづくようだ。
さて、その頃であった。
私は、日本から出国するための準備をすすめていたが、入国管理局のナマクラコームインのせいで手続きができないので困っていた。
どないしたらええねん…
助けてくれぇ…
私は、2月23日に入国管理局へ行って出国申請をお願いした。
しかし、担当者が『年度末で忙しい…』と言うて手のひらでパタパタ(シッシッ)とふって私を追いだしたので怒り狂っていた。
ふざけんなよ…
私は、ノラ犬か…
話は、大喪の礼の日の翌日のことであった。
私は、アパートの部屋でイビキをかいて寝ていた。
時は、午後3時過ぎのことであった。
(コンコン…)
玄関のドアをノックする音が聞こえた。
ドアをノックする音で目ざめた私は、どちらさまですかとたずねた。
「どちらさまですか?」
「ワシやワシ…」
「溝端屋のダンナ…」
(ガチャ…)
私は、玄関のドアをゆっくりとあけた。
玄関の前に、溝端屋のダンナが立っていた。
溝端屋のダンナは、私に声をかけた。
「溝端屋のダンナ…」
「イワマツくん、大丈夫かね?」
「大丈夫じゃあらへんねん…心身ともにしんどいねん。」
「そうか…イワマツくんも大変だったね…きょうは、イワマツくんにええもんみしたろと想ってきたんや。」
ええもんみしたろって…
一体なやねん…
溝端屋のダンナは、コンワクしている私に1枚の写真をみせた。
1枚の写真は、南アジアの系統の男の写真だった。
私は、溝端屋のダンナに写真の男のことを聞いた。
「この男性は、誰なのですか?」
溝端屋のダンナは、私にえげつない言葉を言うた。
「写真の男は、イワマツくんの実父や。」
それを聞いた私は、全身が凍りついた。
ウソやん…
そんなんウソに決まっとるねん…
私は、ダンナに写真の男のことを聞いた。
「ダンナ。」
「なんぞぉ~」
「私は、父親…いえ、両親の顔…しらんねん。」
「せやったのぉ…イヤなことを思い出してすまなんだのぉ~…この男は、イワマツくんが生まれた年に今治の建材屋の経営者のどら息子を殺して逃げた…その際に、わしらが世話したったんや…その恩をきれいに忘れた上に、数人の子分どついて逃げたんや…」
「そんな…」
「この男は、今もこのキンペンにセンプクしとるさかいに…もし見かけたらわしらにしらしてくれ…ほな…」
溝端屋のダンナは、私にこう言うたあとその場から立ち去った。
ワケが分からなくなった私は、ボーゼンとした表情で立っていた。
その日の夕方であった。
私は、アパートにいるのが苦痛になったのでショルダーバッグを持って再び家出した。
時は、夕方6時過ぎであった。
私は、西鉄二日市駅の前の商店街の通りをトボトボと歩きながら考え事をしていた。
これから先どないしようか…
日本から出国できなくなったら、どないしたらええねん…
そんなことばかりが頭の中で渦巻いていた。
商店街の通りのスピーカーから、南らんぼうさんの作詞作曲で、1979年にNHKの『みんなのうた』で発表された『泣いていた女の子』が流れていた。
歌を聴いた私は、悲しくなって泣いた。
「うう…マァマ…マァマ…」
日本から出国したい…
韓国にいるマァマに会いたい…
アメリカ合衆国のハイスクールに復学したい…
歌が流れている間、私は声を震わせて泣いた。
その日の夜、私は商店街の近くの公園のふじ棚で野宿した。
明日からは、ずっと野宿がつづく…
ホンマにサイアクだ…
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