乳房星(たらちねぼし)

佐伯達男

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第17話・星空のディスタンス

【淋しい熱帯魚・その2】

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全体会合を終えた全メンバーたちは、夕方6時頃にドバイ国際空港から専用機に乗って再び旅に出た。

専用機は、サウジアラビア~シナイ半島を通って地中海へ出たあと、パリのシャルル・ド・ゴール空港へ向かった。

80分後に、専用機がシャルル・ド・ゴール空港に到着した。

ここでCとDの2班のメンバーたちが専用機から降りた。

D班のメンバーたちは、別の専用機に乗り換えてベルリン・テーゲル空港へ向かう。

C班のメンバーたちは、特大バスに乗り換えてボジョレーへ帰る。

AとBの2班は、専用機に乗って再び旅に出た。

専用機は、大西洋を渡ってカナダ・トロントピアソン国際空港へ向かう。

夜10時頃に、専用機がトロントピアソン国際空港に到着した。

到着した専用機からAとBの2班のメンバーたちが降りた。

B班のメンバーたちは、空港の近くのホテルで宿泊する。

A班のメンバーたちは、B班のメンバーたちと一緒にホテルへ行った。

B班のメンバーたちがホテルに入ったあと、各部屋に移動した。

A班のメンバーたちは、それから40分後に特大バスに乗ってシカゴへ向かう。

B・C・Dの3班は、翌日から班ごとの活動を再開する。

A班は、9月6日はシカゴに滞在して予定されている日程をこなす。

7日以降も、スケジュールがびっしりとつまっているので休みはない…

イワマツグループの全メンバーたちが世界各地で1日も休まずに活動している最中に、尾鷲市のたつろうさんの実家の周辺でくだらんもめ事が発生した。

和子は、将之と隠れてつき合っていたことを政子六郎夫婦に怒鳴られた。

英彦の食べるごはんを盗んで将之に与えていた和子は、政子六郎夫婦から『大金持ちの家の3高の男性とお見合いして結婚せえ!!』と命令されたので、従うことにした。

将之は、社長さんの奥さまから『男子チュウボウ入るべからずだから、給食サービスと家事代行サービスを強制的に契約します!!』と命令されたので、従うことにした。

和子と将之は、政子六郎夫婦と社長さん夫婦の前で命令に従う誓約書に署名なつ印したので、問題はまるくおさまった。

その一方で、印刷工場の従業員さんたちの間で不満がフンシュツした。

フンシュツした原因は、機械工の主任男性がお見合いであった。

従業員さんたちは、社長さんが主任男性ばかりをえこひいきしたと激怒した。

社長さんは、激怒した従業員さんたちを必死になってなだめた。

従業員さんたちが『少なすぎるお給料でどうやって貯金するのだ!!』と言うと、社長さんは『再来年(2002年)は景気がよくなるからそれまでガマンせえ~』と言い返した。

従業員さんたちが『サービスにイソンしていたら自立できなくなる!!』と言うたら、社長さんは『男子チュウボウ入るべからずだから、給食サービを利用しなさい!!』と言い返した。

従業員さんたちが『結婚相手と出会う機会を作れよ!!』と言うと、社長さんは『嫁はんは神さまが選んでくれる…神さまにすべて任せておいて、おまえらは(機械工の主任)さんの言うことを聞いて仕事すればいい…』と言い返した。

社長さんは、従業員さんたちの不満を強い力で押さえ付けて言うことを聞かせた。

従業員さんたちは、しぶちんの表情で社長さんに従うと言うた。

その日は、従業員さんたちは社長さんや機械工の主任男性の言うことを聞いてお仕事をした。

社長さん夫婦は、従業員さんたちが文句を言わずに働いているので安心したとほこらしげに言うた。

しかし…

従業員さんたちが言うことを聞いたのは、わずか2日だけ…

その翌日、従業員さんたちは機械工の主任の男性にたてつくなど勤務態度が悪くなった。

事件は、9月8日の午後12時を15分過ぎた頃に発生した。

たつろうさんの実家の大広間のテーブルに7~8人の男性従業員さんたちが食べる給食サービスのお弁当がならんでいる。

しかし、12時を過ぎているのに彼らがいないので政子がひどくおたついた。

そこへ、地区の酒屋さんで働いているしゅうちゃん(31歳)が自転車に乗って家の前にやって来た。

「ちわーす。」
「ああ、壬生川屋のしゅうちゃん!!」
「奧さん、どないしたねん?」
「しゅうちゃん大変よ!!大至急社長さんに電話して!!」
「ああ、ちょうどよかったわ…オレ、きょうはオヤジにおらばれてムシャクシャしてはるけん(印刷工場)の社長につげくちしようと思とったねん。」
「えっ、どう言うことなの?」
「あのねぇ、ここで弁当食べてた彼らが(機械工の主任)さんの婚約者の(花屋の店員の女性)さんのもとに行って、彼女が作って食べる弁当をパクりよったよ…ほんで、彼女に『部屋に遊びに行ってもいい?』と軽々しくいよったよ。」

しゅうちゃんからことの次第を聞いた政子は、顔が真っ青になった。

「しゅうちゃん、それホンマのこと!?」
「ホンマにホンマや…(印刷工場)の社長さんは名誉市民に選ばれたとたんに鼻がテングになってはるよねぇ…サイアクっすね。」
「しゅうちゃん!!いくらなんでもそれは言い過ぎよ!!」
「せやかて、ホンマのことやもん…社長さんを名誉市民に選んだ市長もサイテーやわ…」
「しゅうちゃんやめて!!」
「あっ、オレ配達の途中だった…ほな、しゃいなら…あー、すっきりしたわ…」

しゅうちゃんは、自転車に乗ったあと口笛をふきながらその場から立ち去った。

しゅうちゃんのつげぐちを聞いた政子は、その場に座り込んで全身を震わせた。

しゅうちゃんは、このあと地区中の人たちにところかまわずに言いふらしたので、騒ぎが拡大した。

騒ぎの原因を作った彼らは、より重いツケを背負うだろう。
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