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第22話・砂の十字架

【雲にのりたい・その2】

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(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夜8時頃であった。

私は、JR下関駅から鹿児島本線の各駅停車《どんこう》~特急にちりん号に乗って再び旅に出た。

夜10時過ぎに、特急列車《れっしゃ》が別府駅に到着した。

韓国へ行くことをあきらめた私は、道後温泉《どうご》にいるドナ姐《ねえ》はんに会いに行くことにした。

今、私が頼ることができるのはドナ姐《ねえ》さんだけだ…

ドナ姐《ねえ》はんに会いに行こう…

大番頭《おおばんと》はんたちを知っているのはドナ姐《ねえ》はんだけだ…

急ごう…

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

時は、深夜11時55分頃であった。

私が乗り込んだ宇和島運輸フェリーが大きな汽笛をあげながら別府国際観光港から出航《しゅっこう》した。

船内の二等客室にて…

ひざに毛布をかけた状態で座っている私は、ウォークマンで歌を聴いていた。

イヤホンから黛ジュンさんの歌で『雲にのりたい』が流れていた。

もちろん、テープを巻き戻して繰り返し聴いていた。

何度聴いても、涙がポロポロポロポロあふれ出る…

歌を聴いている私は、ひざをまるめた状態で泣いた。

「ううううううううううううううううううううううううううう…ひとりで生きて行けない…お嫁さんがいないと…生きて行けない…ううううううううううううううううううううう…好きなコが近くにいないから…悲しい…」

私は八幡浜港《やわたはま》に着くまでの間、ずっと泣いていた。

ウォークマンの透明の窓に大つぶの涙がたくさんこぼれて落ちた。

テープのシールに記入されている『黛ジュン・全曲集』の字が涙でぼやけていた。

時は2018年12月22日夕方5時半頃であった。

フレンチリバーの特大豪邸にて…

テーブルの上に置かれているエクスペリアのウォークマンの保護フィルムの上に大つぶの涙がたくさん落ちていた。

画面に映っている長山洋子さんのシングルジャケットの写真と『雲にのりたい・長山洋子』の表示が涙でぼやけて映っていた。

深眠《ねむり》についている私の目から大量の涙があふれていた。

この時であった。

リチャードさんとシャノンさん夫婦とリチャードさんの実家の親類の男の子とカノジョ(19歳同士)が特大広間に入った。

リチャードさんの実家の親類の男の子は、リチャードさんのハトコさんである。

カノジョは、ハトコさんと同じハイスクールの卒業生であった。

おふたりは、プロム(ダンスパーティー)で一緒におどったことが縁で結婚を決めた。

日中、恋人の小径《こみち》を歩いていた新郎新婦《おふたり》はリチャードさんのハトコさんとカノジョだった。

もちろん、キャベンディッシュ教会で挙式を挙げた。

リチャードさんは、深眠《ねむり》についている私のもとに行った。

耳につけているイヤホンから大音量で歌が聴こえていた。

それでも、リチャードさんは声をかけた。

「ヨシタカさま…ヨシタカさま…」

リチャードさんは、私の閉じた目から大量の涙があふれていたのとエクスペリアの保護フィルムを貼っている画面に大量の涙がこぼれ落ちていたのを見た。

リチャードさんは、ものすごく心配な表情で見つめた。

シャノンさんは、リチャードさんに声をかけた。

「リチャード…リチャード…」
「シャノン。」
「ヨシタカさま、どうしたのよ?」
「ヨシタカさまが泣いている…」
「えっ?泣いているって?」
「うん。」
「なにかあったの?」
「分からない…聴いている歌が悲しいから泣いていたのではないのかな…」

リチャードさんがコンワクしていた時であった。

A班のリーダー5人(ゆりさんとゆかさんとゆいさんと陽子さんと美澄さん)とミンジュンさんとウェンビンさんが帰ってきた。

ゆかさんは『ただいま帰りました~』と言うた。

リチャードさんは、ゆかさんに困った表情で言うた。

「ゆかさん、ゆかさん。」
「どないしたん?」
「ヨシタカさまが泣いています。」
「分かったわ…」

ゆかさんは、深眠《ねむり》についている私のそばに行った。

ゆかさんは、大きなカバンの中から水銀の血圧計とオムロンの電子体温計を取り出した。

つづいて、聴診器を耳に取り付けた。

その後、左腕の曲り目の部分に聴診器をあてたあとリストバンドを巻いた。

ゆかさんは、大急ぎで私のバイタルチェックを始めた。

(ペコンペコンペコンペコンペコンペコン…プシュー…)

リストバンドのエアが抜けたあと、チェックシートに血圧値と脈拍数を記入した。

ゆりさんは、ゆかさんに声をかけた。

「ゆか。」
「おねーちゃんたいへん!!」
「どないしたん!?」
「ヨシタカさま、最大血圧値が100を下回ったわ!!」
「えっ!?」
「脈拍数は通常どおりだけど…なんで…」

(ピピピピ…)

この時、電子体温計の電子音が鳴った。

ゆいさんは、私の右わきにはさんでいた電子体温計を取り出したあと体温を言うた。

「37度4分…」

ゆかさんは、しかめた表情でチェックシートに記入した。

その後、ゆかさんはウェンビンさんとミンジュンさんに対して声をかけた。

「ウェンビンさん!!ミンジュンさん!!」
「ゆかさん。」
「大急ぎでヨシタカさまに熱覚ましの注射をするわよ!!」
「注射…」
「はよしてもう!!」
「分かりました…ミンジュンさん…」
「あったわ!!」
「早く急いで!!ヨシタカさまが熱を出しているのよ!!」

ゆかさんは、ミンジュンさんから注射器を受け取った。

注射器の中には、ファイザー製の熱覚ましの薬が入っている。

陽子さんは、私の左腕にひもを巻き付けた。

「陽子さん!!」
「準備ができました。」
「ヨシタカさま!!今、注射を打ちます…少しの間、しんぼうしてください!!」

ゆかさんは、私の左腕にファイザー製の熱覚ましの薬を注射した。

その後、美澄さんが注射した部分にバンソウコウを貼ったあと経過観察に入った。

それから15分後であった。

あらためて体温をはかり直した。

その結果、体温が36度3分に下がった。

ゆかさんは、あんどした表情で言うた。

「よかった…体温が平熱に戻った。」
「ゆか。」
「ヨシタカさま、だいぶ無理したのよ…せやけん、身体が疲れていたのよ。」
「そうよね…休ませた方がいいわね。」
「問題は、血圧値が回復するかどうかよ。」
「…………。」

この時であった。

桜子たち(80億人の極爆乳《おおきすぎるおっぱいの》デリヘル嬢たちと52人の極爆乳《おおきすぎるおっぱいの》ガールフレンドたちとベスとステーシーとジェーンとベラ)とアンナがB班のメンバーたちと一緒に帰宅した。

桜子たちとアンナは、B班のメンバーたちと一緒に近くに散歩に行ってた。

私が豪邸《いえ》に帰宅したのは、桜子たちとアンナとB班のメンバーたちがいえを出発してから60分後だった。

リチャードさんは、コンワクした表情で言うた。
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