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第13話・愛が止まらない

【ウェディングベル】

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時は、夜7時半頃であった。

またところで変わって、新宮市《なんきしんぐう》の福也《さちや》さんの実家の大広間にて…

日菜《ひな》に頼まれて男性が忘れて行ったケータイを取りに行った女性が帰って来た。

「おまたせしました~」
「(日菜《ひな》優しく声をかける)ああ、(女性)さま…おかえりなさい…ケータイはどうしたの?」

日菜《ひな》の呼びかけに対して、女性はもうしわけない声で言うた。

「すみません…ちょっと…途中で友人と会って…おしゃべりをしていて…」
「取りに行くのを忘れたのね。」

女性は、ものすごくつらい声で『すみませんでした~』と言うた。

章弘《あきひろ》は、困った表情で言うた。

「きょうはもう遅いからいいよ…」

一恵《かずえ》は、優しい声で言うた。

「そうね…(男性)くんが月曜日に出勤した時に取りに行くからいいよね…日菜《ひな》さん。」
「はい。」
「他にケータイはあるの?」
「あっ、ダンナが二つ折りとスマホの両方を持っていたわ…ダンナはスマホをメインに使っているから二つ折りは使わないみたいね。」
「それじゃあ、和利《かずとし》の二つ折りを(男性)くんに貸そうか。」

二つ折りを忘れて行った男性は、ものすごくつらい声で『すみませんでした~』と言うた。

それから2分後に、日菜《ひな》は和利《かずとし》が使用していたパルディオ(PHS)を男性に渡した。

「これでいい?」
「はい…電話が使えたらいいです…ごめいわくをおかけしてすみませんでした。」
「いいのよ…返すのはいつでもいいから…」
「ほんとうにすみませんでした。」

章弘《あきひろ》は、困った声で男性に言うた。

「そんな小さいことでくよくよするなよ…(男性)くん自身が次から気をつけたらいいだけだよ。」
「はあ~」

日菜《ひな》は、優しい声でふたりに言うた。

「ふたりとも、晩ごはんはまだだったわね…」
「はい。」
「きょうは…おふたりの大好物のお肉をたくさん焼くから…」

男性は、ものすごく困った表情で日菜《ひな》に言うた。

「すみません~」
「どうしたのよ?」
「やっぱり帰ります。」
「どうして帰るのよ?」
「両親と嫂《あね》が待っているのです…嫂《あね》から早く帰っておいでと言われたので…」

男性が言うた言葉に対して、日菜《ひな》は優しい声で言うた。

「それだったら、うちが電話で伝えるから…」

女性も、ものすごく困った声で言うた。

「あの…うちも父が待っているのです…母がクラス会に行ったので…うちが晩ゴハンを作らないといかんのです…兄夫婦の家族も出かけているのです…」

日菜《ひな》は、優しい声で女性に言うた。

「それだったら、宅食に電話するから大丈夫よ~」
「大丈夫じゃないですよ~」
「困ります~」

一恵《かずえ》は、過度に優しい声でふたりに言うた。

「ふたりとも大丈夫よ…うちが今からおふたりのお宅に電話するから…ちょっと待っててね。」

このあと、一恵《かずえ》はふたりの家に電話をかけた。

日菜《ひな》は、エプロンをつけたあと晩ゴハンの支度を始めた。

一恵《かずえ》は、おふたりの家に電話をかけたあと宅食を注文する電話をかけようとした。

一恵《かずえ》は、電話をかける前に章弘《あきひろ》に言うた。

「あなた。」
「なんぞぉ~」
「この時間、すぐに作ることができる宅食はどこかしら~」

章弘《あきひろ》は、めんどくさい声で一恵《かずえ》に言うた。

「おいしかったらどこでもえかろが~」

一恵《かずえ》は、ものすごく困った声で章弘《あきひろ》に言うた。

「そうはいかないわよ…やっぱりできたての温かいものを注文しないと…センポウさまが困るわよ~…それじゃあ、神之木宅食《かみのき》に電話するわよ。」
「そこはアカン。」
「なんでアカンのよ!?」
「できたての温かい宅食がすぐに出せるのは赤楚《あかそ》のフードサービスだよ~」
「できたての温かいものはすぐに出せるけど、関水《せきみず》のおばーちゃんが煮物に霜が残っていた…とクレームを言うたのよ!!だから神之木宅食《かみのき》に電話します!!」
「赤楚《あかそ》のフードサービスがいい!!」
「神之木宅食《かみのき》に電話すると言うたら神之木宅食《かみのき》にします!!」
「赤楚《あかそ》のフードサービスじゃないとだめだ!!」

一恵《かずえ》と章弘《あきひろ》がいびつな大ゲンカをしていたのを見た二人は、ものすごくうんざりとした表情で家から出ていった。

日菜《ひな》は、ものすごく困った声で『ふたりともごはんはどうするのよ!?』とふたりに言うたが、ふたりの耳に日菜《ひな》の声は届いていなかった。

日菜《ひな》は、ものすごく困った表情でおたついた。
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