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第6話・時間よ止まれ

【てぃーんずぶるーす】

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時は、11月3日の午前10時頃であった。

ところ変わって、堺区《さかいのちゅうしんち》にある高校《がっこう》の教室にて…

教室では、漢検の試験が行われていた。

風香《フー》ちゃんは、2級の試験を受けていた。

ゆきさんは、風香《フー》ちゃんの試験が終わるまでの間、となりにある教室で待機していた。

またところ変わって、大阪伊丹国際空港のVIP専用のロビーにて…

イワマツグループのA・B・Cの3班のメンバーたちとポムじいさんとエレンさんは、ゆきさんと風香《フー》ちゃんとゆみさんが帰って来るまでの間、ここで待機していた。

メンバーたちは、ここで待機している間もお仕事をつづけた。

午後2時半頃であった。

ゆきさんと風香《フー》ちゃんがイワマツグループのA・B・Cの3班とポムじいさんとエレンさんが待機しているVIP専用ロビーに入った。

あとは、ゆみさんの帰りを待つのみとなった。

さて、その頃であった。

またところ変わって、大番頭《おおばんと》はんの家の近くにある純喫茶店《カフェテリア》にて…

店内の奥の席にゆみさんと哲人《てつと》さんがいた。

テーブルの上には、ブレンドコーヒーが入っている白いティーカップが並んでいた。

ユーセンのスピーカーから原田真二さんの歌で『てぃーんずぶるーす』が流れていた。

哲人《てつと》は、大学の研究室の主任を務めているけれど、新しい研究テーマが見つからないのでひどく困っていた。

その上に、まき夫婦からカノジョを公則《まさのり》に譲れと言われた…

哲人《てつと》は、大学で研究をつづけることと大好きなカノジョと結婚生活を送りたいと言う姿勢を崩していなかった。

ゆみさんは、甘ったれた性格の哲人《てつと》をキドウシュウセイさせたいのでひどくいらついていた。

そこで、難易度が激高い研究テーマを哲人《てつと》に課すことを訣《き》めた。

ゆみさんは、ものすごく甘ったれた表情を浮かべている哲人《てつと》に対して怒った声で言うた。

「哲人《てつと》…哲人《てつと》!!」
「ゆみおばさん…そないにガーガーおらばないでよ~」
「やかましいドアホ!!」

ゆみさんは、ひとテンポあけてから哲人《てつと》に対して怒った声で言うた。

「哲人《てつと》!!うちがなんで怒っているのか分かっているの!?」
「えっ?」
「うちは、あんたのことがものすごくはぐいたらしいのよ!!」
「えっ?はぐいたらしいって?」
「いらつくと言うことよ!!」
「そんな~」
「あんたは、なに考えて生きてんのよ!?…研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…あんたは大学でなんの研究をしていたのよ!?」
「おばさん、ぼくはまじめに物理の研究に取り組んでいたのですよ~」
「やかましいドアホ!!いいわけばかりを言うな!!」

ゆみさんは、よりし烈な声で哲人《てつと》を怒鳴りつけたあとタンブラーに入っているミネラルウォーターを一気にのみほした。

その後、哲人《てつと》に対してものすごく怒った声で言うた。

「あんたはふざけてるわよ!!大学で取り組んでいた研究の成果が世に認められて表彰された…そして、大学で知り合った女性と挙式披露宴を挙げた…うちらはそれが気に入らんねん!!」
「どうしてぼくの結婚にケチつけるのだよ~」
「やかましい!!君波の家の親類たちをないがしろにしたからものすごく怒ってるのよ!!」
「だから、あの時は(カノジョ)の家の親類たちと大学の時の共通の友人たちだけと決めていたのだよ…」
「せやけん、君波の家をないがしろにしたのね!!」
「君波の家が大反対だと言うたからそのようにしたのだよ!!」
「えらそうに言うな!!」

ゆみさんは、よりし烈な怒りをこめながら哲人《てつと》を怒鳴りつけた。

ゆみさんに怒鳴られた哲人《てつと》は、ものすごくにえきらない表情を浮かべた。

ゆみさんは、ものすごく怒った声で哲人《てつと》に言うた。

「あんたは…どーしても大学の研究室にいたいのね…」
「ぼくは研究室の主任だよ…」
「それなら、より難易度の高い研究テーマを与えるわよ!!」
「えっ?」
「研究のテーマはこれよ!!」

ゆみさんは、哲人《てつと》に対して東亜日報(韓国の新聞)の一面のコピーと日本語訳が書かれている書面を渡した。

2枚の書面を受け取った哲人《てつと》は、小首をかしげながらゆみさんに言うた。

「これは一体、どういうことでしょうか?」
「日本語訳の文章を読めや!!」

ゆみさんに怒鳴られた哲人《てつと》は、日本語訳の文章を読んだ。

文章をひととおり読んだ哲人《てつと》は、ゆみさんに言うた。

「マリンホールディングス(ビール会社)が保有している韓国のワインメーカー『デリシャン』株49パーセント分を大株主のおじいさまが買うと言うニュースですね。」
「そうよ!!」
「つまり、ぼくに『デリシャン』株49パーセント分をマリンホールディングスからぶんどってこいと言うことですね。」
「そうよ!!」
「(なさけない声で)無理ですよぅ~」
「コラー!!」
「ヒィィィィィィィィィィ!!」
「うちらは時間がないのよ!!2008年の大つごもりまでにマリンホールディングスからデリシャン株49パーセント分を奪い取りたいからあせっているのよ!!」
「2008年の大つごもりまでは十分時間がありますよぅ~」
「コラー!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「期限過ぎたらうちらが不利になるのよ!!今すぐに旅立ちなさい!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~」

哲人《てつと》は、ゆみさんから課された難題をクリアするために仕方なく頼みを引き受けた。

時は、夕方5時半頃であった。

またところ変わって、大阪伊丹国際空港のVIP専用ロビーにて…

ゆみさんが帰って来たので、イワマツグループのメンバーたち全員がそろった。

ゆみさんは、メンバーたち全員に帰って来たことを伝えた。

「おまたせ~」

ゆりさんは、ゆみさんに声をかけた。

「ゆみ、お帰り…哲人《てつと》はどないなったの?」
「うちの頼みを引き受けたわよ~」
「引き受けたのね。」
「哲人《てつと》、(カノジョ)さんにソンケーされるようにがんばりますと言うて旅に出たわよ~」

ゆかさんは、ゆみさんに言うた。

「やれやれ、哲人《てつと》はだまされていることに気がついていないわよ~」

ゆみさんは、ゆかさんに言うた。

「あれでいいのよ…難題をクリアできたあとになったら気がつくわよ…あれね…公則《まさのり》にも同じ任務を与えたわよ…」

ゆなさんは、困った声で言うた。

「えっ?公則《まさのり》さんにも同じ課題を与えたの?」
「そうよ…公則《まさのり》は温室育ちで温和な環境で育ったからアカン男になったのよ…そないに嫁はんがほしいのであれば、自分みがきをしなさいと言うてケンセイしといたよ。」
「(ゆなさん、困った声で言う)せやけど、それでうまくいくの?」
「うまく行くかどうかは、哲人《てつと》と公則《まさのり》の働き次第よ。」

ポムじいさんは『うむ、その通りじゃ~』と言うたあとこう言うた。

「哲人《てつと》と公則《まさのり》は芯《しん》がめちゃくちゃ腐っているからコンジョウを叩き直さなアカン!!…ここはひとつ、静かにふたりを見守ることにしよう。」

ゆりさんは『そうね…そうしましょう。』と言うた。

大番頭《おおばんと》はんは『それではみなさま、出発準備を始めましょう。』と全メンバーたちに伝えた。

(ゴーッ…)

夜7時半頃であった。

イワマツグループの全メンバーたちが乗り込んだ専用機が大阪伊丹国際空港から飛び立った。

明日以降も、お仕事の予定がたくさんある…

次回、イワマツグループのメンバーたちが来日する予定は未定である。

その翌日の朝であった。

ところ変わって、東京にあるマリンホールディングスの本社にて…

公則《まさのり》は、デリシャン株49パーセント分を獲得するために石頭のCEOに直訴した。

「ふざけるな!!デリシャン株はやらんぞ!!」

公則《まさのり》は、SPたちからボコボコにどつき回された。

同じ頃であった。

哲人《てつと》は、万富《まんとみ》(岡山県)にあるビール工場にいた。

哲人《てつと》は、韓国から来日した『デリシャン』の代表の男性に『デリシャン株をください~』と頼んだが、こちらも却下された。

それでも哲人《てつと》は、代表の男性の右足にしがみついてコンガンした。

しかし、大失敗した。

哲人《てつと》は、大学の研究室に残りたい気持ちと大学で知り合ったカノジョと結婚生活を送りたい気持ちでいっぱいだった…

公則《まさのり》は、哲人《てつと》からカノジョを奪いたい気持ちでいっぱいだった…

哲人《てつと》と公則《まさのり》の頭の中は、自分の願いを是が非でも叶えることしかなかった。

しかし、ふたりともゆみさんにだまされていると言うことにまったく気が付いていなかった。

それでホンマにうまいこと行くのかい?
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