上 下
10 / 240
第1話・風のララバイ

【白い冬】

しおりを挟む
(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン!!ドカーン!!ドカーン!!ドカーン!!)

時は、1月17日の深夜3時頃であった。

街の中心地に大規模な爆発音と消防車のサイレン音とハンショウの音が響いた。

泉川と浅川の流域で発生した化学物質による悪臭がまだ続いていたので、付近の地区とその周辺の地区が立ち入り禁止になった。

国鉄予讃本線は、浅海駅《あさなみ》(旧北条市)~伊予三芳駅《いよみよし》(旧東予市)の間で普通列車の折り返し運転が行われていた。

特急・急行は、松山駅と伊予西条駅の間で折り返し運転を続けていた。

安全を確保するために、伊予三芳駅《いよみよし》~伊予西条駅の間と浅海駅《あさなみ》と松山駅の間で徐行運転の措置を取っていた。

国道196号線と317号線は、今治市内に通じる区間が通行止め…

今治桟橋を発着する旅客船は全便欠航した…

関西と九州を結ぶ阪九フェリーと名門大洋フェリーも欠航した…

関西汽船も四国を経由して別府へ行く便と大阪別府直行便と宮崎・志布志《しぶし》へ行く便も欠航した…

神戸と愛媛を結ぶほわいとさんぽうとフェリー奥道後も欠航した…

貨物船《タンカー》は、四国沖の太平洋をうかいするルートに変更した…

………で物流網《ぶつりゅう》に多大な影響が生じた。

大規模な停電が今も続いているので、電気が使えない…

都市ガスも使えない…

水道も断水した…

電電公社の固定電話も通じなくなった…

多くの学校が破壊されたので、市内の小学校・中学校・県立高校と矢田にある短大は当分のあいだ臨時休校になった…

今治市内《しない》のいたるところで感染症が発生した…

…などの二次災害が多発した。

大規模な爆発は、今もなお続いていた。

テレビラジオなどで被害状況が伝えられたのは、1月17日からであった。

それまでの間、日本全国のテレビラジオの放送は自動放送モードに設定されていた。

日本全国の新聞も、このあいだ発行が止まったので号外で対応した。

テレビラジオの自動放送モードは解除されたが、特別報道番組だけが放送で民放のCMは全部ACジャパンだけが流れた。

話は変わって…

吹揚神社《ふきあげさん》の本殿に避難していたママは、坂を降りて大通りへ向かった。

大通りには、被災した住民たちがたくさんいた。

家財道具をたくさん積んでいる大八車をひいている男性たち…

大型のスーツケースを持って逃げ出した人たち…

…………

大荷物を持っている人たちで混んでいたので、ママは通りに出ることができなかった。

ママは、通りが落ち着くのを待ってから出ることにした。

それから1時間後であった。

ママは、通りに出るあと唐子浜方面へ向かって歩いた。

御厩通《おんまやどお》りの交差点の信号機は、停電により使えなくなった。

南堀通りの道(市内より)は、通りのイチョウ並木とつつじの植え込みがところどころで燃えていた。

通りは、バリケードで封鎖されていた。

バリケードの向こうは、今も大爆発が続いているのできわめて危険である。

付近にいる警察官たちが通りにいる人たちに拡声器で呼びかけていた。

『城東橋から産業道路を通って唐子浜方面に向かってください…』

悲しげな表情を浮かべているママは、ひとことも言わずに城東橋へ向かって歩いた。

時は、朝6時50分頃であった。

ママは、やっとの思いで唐子浜パークに到着した。

駐車場に白いテントがたくさん立ち並んでいた。

白いテントは、被災した人たちのために設けられたエイドステーションである。

エイドステーションには、国鉄・路線バス・今治桟橋を発着する旅客船の運行情報・今治市とその周辺地域の道路交通情報・電気ガス水道と学校などのライフライン情報の掲示板が設けられていた。

国鉄のダイヤの乱れは、長期間に渡ってつづく…

松山~新居浜間のせとうちバス・いよてつバスの特急便は増発して運行中…

国道196号線と317号線は、一部の区間で警察・消防・自衛隊の車両と救援物資を積んだ車両を最優先のために一般車両は乗り入れ禁止…

…などの状態が続いていた。

唐子浜パークに着いたママは、まっさきにエイドステーションへ行った。

エイドステーションには、市役所と愛媛県の地方局の職員たちと今治市内の救急指定病院の医師看護婦さんたち合わせて1000から2000人が常駐していた。

市役所の職員が避難してきた人たちに飲料水の提供するなどのサービスをしていた。

医師たちが体調不良を訴えている人たちに簡単な診察をしていた。

ママは、エイドステーションで飲料水を受け取ったあと被災した住民たちと一緒に壬生川方面へ向かって歩いた。

この時、辺り一帯に白い雪がたくさん積もっていた。

どす黒い雲から細かい雪がたくさん降っていた。

住む家と家族を亡くしたママは、悲しげな表情を浮かべながら歩いた。

今回の大爆発で、詠美《えいみ》と詠美《えいみ》の親きょうだいたちと詠美《えいみ》にストーカーしていた男も死亡した。

一人ぼっちになったママは、ふらついた足取りであちらこちらを放浪する暮らしを余儀なくされた。

その一方であった。

私・イワマツはナイトショップから出発したあと東予港まで歩いて行った。

東予港で長距離トラックをヒッチハイクしたあと、川之江の港通りまで行った。

その後、国鉄川之江駅から国鉄バスと国鉄徳島線を乗り継いで徳島駅へ向かった。

1月12日に南海フェリーに乗って和歌山へ渡った。

大番頭《おおばんと》はんたちを探すことがオックウになった私は、大阪で住むところとバイトを探すことにした。

サラリーマンで生きていく方がいい…

うん、そうしようか…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

2穴引き裂き女子○生更生調教

監督 御満小路流々
ファンタジー
普段から、教師に対してなめた態度をとるギャル彩美を醜い中年教師の高城が調教します。 愛無し 監禁 拷問 痛い系

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

連続寸止めで、イキたくて泣かされちゃう女の子のお話

まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)   「一日中、イかされちゃうのと、イケないままと、どっちが良い?」 久しぶりの恋人とのお休みに、食事中も映画を見ている時も、ずっと気持ち良くされちゃう女の子のお話です。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...