上 下
8 / 10

しおりを挟む
「母上、アリーチェを追い出したのか!」

「当たり前でしょ。こんなことになるのが嫌だからブスばっかり選んで採用してたのに。お前も何に目覚めたんだかあんな不器量な子を」

俺は自覚できるほど侮蔑的な笑みを浮かべた。

「俺のこの愚かさは貴方譲りか、全く救いようのないことだな」

「お前何を言ってるの!?」

「もっと早く言うべきだったな、俺はどういう訳か女の中で果てることができないんだ。アホみたいに色んな女を試したがどうやってもダメだった。それが──アリーチェが初めてだった……俺の子を孕めるのは彼女しか居ない」

母は激しい衝撃の為か泡を吹いて倒れた。その様を俺は冷ややかに見下ろす。

部下やら使用人やらを総動員して俺はアリーチェの捜索を命じた。この女しかいない、妻に迎えようと動き始めた矢先の母の勝手な解雇だった。
自分がもっとうまく立ち回れていたならこんな事にはならなかっただろう。俺はイライラと髪をかき上げる。

例のクソ神父は教会の査問会にかけてやった。調べれば余罪が出るわ出るわ……もはや再起は不能だろう。

そしてアリーチェの身元についても聞き出したが、思った通りの回答に頭痛を覚えた。何せアリーチェの素顔は俺が少年の頃見た王の寵姫ルドヴィカにそっくりだったのだから。

何より誤魔化しようがないのが王家特有の金髪だ。出自を知る神父はアリーチェに顔を隠させ、髪を染めさせた。お前は醜いと繰り返し刷り込んで。その薄汚い狡猾さ、何度殺しても殺したりない。

アリーチェの母は高級娼館の看板娼婦だった。一度抱いたら忘れられなくなるほどのとんでもない名器の持ち主だったらしい。いつしか王の目に留まり寵を得、すぐに身請されて寵姫となった。

だが、ルドヴィカはある日突然王の前から姿を消した。王は必死に行方を追ったものの見付けることは叶わなかった。まさかあんな辺境の片田舎でアリーチェを産み落としていたとは……

ルドヴィカは出産後アリーチェを教会に託して姿を消したという。その後の足取りはようとして知れない。

アリーチェは間違いなく王家の血筋の者だ。だが出自などどうだっていい。アリーチェ……毎晩のように夢中で抱いた。

はじめはほんの気紛れだった。腰つきが妙に艶かしくてムラッとした。無遠慮に突っ込んでみればとんでもない快感に襲われ、入れただけで容易くイってしまった。
今までただの一度も女の中でイケた試しがないというのに。信じられない思いで何度も試す。何度でもイけた。間違いない、アリーチェはとんでもない名器の持ち主だ。
流石に睡魔と疲労に負けてその日は手放したが、どうしても欲しくてたまらない。翌日すぐにアリーチェを呼び出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

国王陛下は悪役令嬢の子宮で溺れる

一ノ瀬 彩音
恋愛
「俺様」なイケメン国王陛下。彼は自分の婚約者である悪役令嬢・エリザベッタを愛していた。 そんな時、謎の男から『エリザベッタを妊娠させる薬』を受け取る。 それを使って彼女を孕ませる事に成功したのだが──まさかの展開!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【R18】野獣な将軍の婚活を応援していた私が、ずっと愛されていたなんてそんなの知らない

迷い人
恋愛
『クリステル・ロワ』は、兄を偽り『クリストフ・ロワ』として、英雄『リオネル・ボルテール』の専属魔導師として5年間仕えていた。 「オレは英雄になりたい訳じゃない! ただちょっとモテたかっただけなんだぁああ!」 上司の切ない願いを知っていたクリステルは、ダンスレッスンに会話の手ほどき、色々と手を打ってみる者の、人生の半分以上を戦場で育った彼にはなかなか難しく、こうなれば強引に女性を斡旋と、ドレスを身に着け舞踏会に出向けば……。 なぜか、舞踏会の翌朝、全裸で上司の腕の中に? エロ在り*マーク

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました

入海月子
恋愛
一花はフラワーデザイナーだ。 仕事をドタキャンされたところを藤河エステートの御曹司の颯斗に助けられる。彼はストーカー的な女性に狙われていて、その対策として、恋人のふりを持ちかけてきた。 恋人のふりのはずなのに、颯斗は甘くて惹かれる気持ちが止まらない。 それなのに――。

最悪なお見合いと、執念の再会

当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。 しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。 それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。 相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。 最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

白い結婚なんてお断りですわ! DT騎士団長様の秘密の執愛

月夜野繭
恋愛
憧れの騎士団長様と結婚した公爵令嬢のミルドレッド。 甘々な新婚生活を送るはずだったのに、なぜか夫のクリストフが一度も抱いてくれない。 愛のない政略結婚だから……? 12歳も年下だから? それとも、身長差が40センチもあるから? でも、このまま白い結婚になんてさせないわ! ミルドレッドはひそかに手に入れた媚薬を彼に飲ませようとして――。 年の差&体格差夫婦の溺愛ラブコメディ。

騎士団長の欲望に今日も犯される

シェルビビ
恋愛
 ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。  就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。  ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。  しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。  無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。  文章を付け足しています。すいません

処理中です...