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What is your missing item(探し物はなんですか) 2
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朝のうちに家を出たふたりは夜になってようやく目的の谷に到着した。
石ころだらけの谷底を白糸で縫うように流れている細い川を探索しながら遡っていくと、川の流れが大きく曲がった河原の近くで小さな木霊を一匹見つけることができた。
木霊とは、他の木の陰になって充分な日を浴びることができずに腐ってしまった樹木が悪霊化したモンスター。
日を浴びることができないことで悪霊化したせいか日光を嫌う性質がある夜行性。
日中だと洞窟の奥深くか、日の差さない暗い谷で同種の仲間と群れていることが多い。
モンスターといっても元が植物なのでこちらから何か仕掛けない限り襲ってくることはない。他のモンスターと比べると危険度は低い部類に入る。
「じ、じゃあ。ボク、お話しに行ってくる! ボクひとりで大丈夫だよ!」
ラヴィが少し緊張しているのが気になったが、ラチアはラヴィの交渉の邪魔にならないように木陰に身を隠した。
純血の人間が近くにいるとモンスターは警戒を強くすることが多いからだ。
ぎくしゃくした足取りで木霊に近づいたラヴィ。
木霊は川の本流から枝分かれした細流に根っこ(足)を浸し、頭の上の枝葉を伸ばして月の光を吸収しながらぼんやりと夜空を見上げている。
ラヴィが近づいて来るのに気付いても赤い蕾のような目を向けただけで、やっぱりぼんやりとしていた。
ラヴィは自分よりも小さな木霊の前に立つと身振り手振りを交えながら話しかけた。
ラチアにはその声が聞こえなかったけれど、きっと皮をわけてくれるように頼んでいるのだろう。
木霊は一生懸命に喋るラヴィをぼんやりとしたまま見上げていたが、やがて立ち上がって一言、二言、何かラヴィと言葉を交わし始めた。
『お!? すごいなラヴィ!』
木霊には人の言葉を解するだけの知能がある。
ただ、なんとなくのニュアンスでしかこちらの意思は伝わらないし、向こうの喋っている言葉も「ぼぉぼぉ……」と木の洞を通る風のような音にしか聞こえないので、よほど慣れた者でないと木霊が何を言っているのか分からない。
小さな木霊はラヴィが斜め掛けにしているポシェットの中にたくさんのクルミがあるのを見つけて物欲しそうに枝先を伸ばした。
ラヴィはポシェットからクルミをいくつか取り出して木霊に渡した。
どうやらクルミと交換で皮を分けてくれることになったのだろう。
木霊は嬉しそうにクルミを受け取り口のように空いた胴体の洞に放り込んだ。
ラヴィがまた何か話しかけている。
木霊は頭の枝葉を横に振って、またラヴィのポシェットを枝先で指差した。
ラヴィがしぶしぶクルミを渡す。渡されたクルミをすぐに食べた木霊は「もっともっと」とでも言っているようにラヴィのポシェットを指した。
それが何度か繰り返されラヴィは際限なくクルミを要求してくる木霊に両腕を交差させて×の仕草をしてみせた。
これ以上欲しいのなら先に皮をよこせと言っているのだろう。
すると木霊は頭の葉っぱを震わせて枝先でラヴィの肩を強く押した。
よろけたラヴィは一瞬あっけにとられていたが、段々と怒りが込み上げてきたらしく口をへの字にして木霊の体をてしっと叩いた。
すぐに木霊がぱちっと叩き返す。ラヴィもムキになってすぐ叩き返した。
木霊とラヴィの叩き合いはあっという間にエスカレートして、テチテチ、パチパチとお互いを激しく叩いている。
『……子供だ。子供のケンカが始まった』
それを一部始終見ていたラチアは額に手を当てて溜息を吐いた。
木霊とラヴィのケンカはラヴィの勝利で終わった。
ラヴィは小さいけれど木霊はそれ以上に小さかったので体格差で勝てたようだ。
ほっぺに細い切り傷をいくつも作ったラヴィがラチアの隠れている茂みのほうへ得意気に勝ち誇った顔を向けている。
『いや、オマエの任務はケンカに勝つことじゃないからな?』
そんな突っ込みを心の中でしながらラチアは茂みの中から立ち上がった。
「しょうがない。小さな木霊には悪いが今のうちに少しだけ皮を分けて貰おうか……」
茂みを大股で乗り越えたとき、
「ぼおおぉぉぉぉ! ぼおおぉぉぉぉ!」
ラヴィに負けて流木のように横倒しになっていた木霊は悔しさにぷるぷると体を震わせながら大声で鳴き始めた。
「くっ!? まずい!」
ラチアが慌ててラヴィのところへ駆け寄るのとほぼ同時に小さな木霊の泣き声を聞きつけた他の木霊が周囲からワサワサと集まり始めた。
「マ、マスター! ボク、ボク……」
事態がとんでもない方向に転がり始めたのを感じたラヴィは責任を感じてしゅんと項垂れている。
でも、今はそれを叱ることも慰めることも後回し。
ラチアはラヴィを抱き上げて脇に抱えると、迫ってくる木霊の間をすり抜けて川下へと走った。
「くそっ! 何が『任せてよ!』だ!」
「だ、だってあの子、クルミをくれたら皮をわけてあげるって言ってたのに嘘つくから!」
ボク、悪くないもん! と、ふくれっ面をしてるラヴィを見ながら、ラチアは『子供のケンカで一番よくある展開だな……』と納得して妙に可笑しくなった。
種族は違ってもケンカの原因とかそこに至るまでの展開とかは子供同士だとそれほどの違いはないらしい。
「しかし、まずいなこれは……」
振り返って後ろを確認したラチアは軽く舌打ちをした。
段々と悠長に笑っていられる状況ではなくなってきている。
どこにこれだけ隠れていたんだと言いたくなるくらいに木霊の数が増えていて、ざっと見ただけでも二十匹強。
体長二メルク前後の標準サイズの木霊なら二、三匹同時に相手をすることくらいできるが、この数になるとさすがに厳しい。
「焦らずに日が出るのを待ってから仕掛ければ良かった……と言っても今更しょうがないか」
ぼぉぼぉと吠えながらしつこく追ってくる木霊は、意外なほど足が速かった。
普段の移動に使っている根っこの足を浮かせて体に巻き付いている蔦でベチベチと地面を叩きながら追ってくる。
体の横に突き出ている枝を軸にして蔦を高速回転させているので、横から見れば車輪のように見えることだろう。
戦えば負ける――とまではいかないが、苦戦するのは見えている。
だから逃げるしかないのだが、木霊の大群はなかなか振り切れない。
次第にラチアの顔に汗が滲みはじめて息が荒くなってきた。
走る速度も徐々に落ち始めている。
一方の木霊たちは肉体の疲労がないので追うスピードが落ちない。
木霊たちを振り切るどころか、走るほど相互の距離が縮まってきている。
「マスター! 木霊さんは段差があるところを移動するのが苦手だから段差のあるところを走ったほうがいいよ!」
「そ、そうなのか……了解だ!」
ずっと谷川に沿って走っていたラチアはラヴィの助言を聞いて川沿いに繁っている森の中へと逃げ込んだ。
ラヴィの助言は確かだった。
ラチアが膝くらいの段差を上ると五匹ほどがそこでもたつき、腰ほどの高さがある岩を飛び越すとさらに半数が脱落した。
木霊は胴の長さに比して足が短いので、重心が低く倒れやすいようだ。
道のない森の中を走るのだからラチアのスピードはかなり落ちたが、それ以上に木霊はスピードを落としている。
大きな段差を越えられない小さな木霊ほど早くに脱落し、追いかけてきているのが大きな五メルク越えの一匹だけになった時にラチアは足を止めてラヴィを降ろした。
「ラヴィ、ちょっと離れていろ。一匹だけならイケる!」
「え!? 戦ってる間に、せっかく振り切った木霊さんたちが追いついてきちゃうよ?」
「大丈夫だ。それまでにカタをつける!」
ラチアは「持っててくれ」と担いでいたバックパックをラヴィに押しつけて体を翻すと、追いすがってくる木霊に向かって突っ込んだ。
「ぼぉ!?」
追っていた人間が急に反転して向かってきたので慌てた木霊は足(根)を地面に突き刺して急停止して素早く迎撃の態勢を整えた。
『ちっ、妙に戦い慣れている。こいつが群れの長か!?』
ラチアがそう感じたのは間違いではなさそうで、この木霊は他の木霊にはない茨の冠を頭上の葉に巡らせて胴体には大きな琥珀を埋め込んでいた。
石ころだらけの谷底を白糸で縫うように流れている細い川を探索しながら遡っていくと、川の流れが大きく曲がった河原の近くで小さな木霊を一匹見つけることができた。
木霊とは、他の木の陰になって充分な日を浴びることができずに腐ってしまった樹木が悪霊化したモンスター。
日を浴びることができないことで悪霊化したせいか日光を嫌う性質がある夜行性。
日中だと洞窟の奥深くか、日の差さない暗い谷で同種の仲間と群れていることが多い。
モンスターといっても元が植物なのでこちらから何か仕掛けない限り襲ってくることはない。他のモンスターと比べると危険度は低い部類に入る。
「じ、じゃあ。ボク、お話しに行ってくる! ボクひとりで大丈夫だよ!」
ラヴィが少し緊張しているのが気になったが、ラチアはラヴィの交渉の邪魔にならないように木陰に身を隠した。
純血の人間が近くにいるとモンスターは警戒を強くすることが多いからだ。
ぎくしゃくした足取りで木霊に近づいたラヴィ。
木霊は川の本流から枝分かれした細流に根っこ(足)を浸し、頭の上の枝葉を伸ばして月の光を吸収しながらぼんやりと夜空を見上げている。
ラヴィが近づいて来るのに気付いても赤い蕾のような目を向けただけで、やっぱりぼんやりとしていた。
ラヴィは自分よりも小さな木霊の前に立つと身振り手振りを交えながら話しかけた。
ラチアにはその声が聞こえなかったけれど、きっと皮をわけてくれるように頼んでいるのだろう。
木霊は一生懸命に喋るラヴィをぼんやりとしたまま見上げていたが、やがて立ち上がって一言、二言、何かラヴィと言葉を交わし始めた。
『お!? すごいなラヴィ!』
木霊には人の言葉を解するだけの知能がある。
ただ、なんとなくのニュアンスでしかこちらの意思は伝わらないし、向こうの喋っている言葉も「ぼぉぼぉ……」と木の洞を通る風のような音にしか聞こえないので、よほど慣れた者でないと木霊が何を言っているのか分からない。
小さな木霊はラヴィが斜め掛けにしているポシェットの中にたくさんのクルミがあるのを見つけて物欲しそうに枝先を伸ばした。
ラヴィはポシェットからクルミをいくつか取り出して木霊に渡した。
どうやらクルミと交換で皮を分けてくれることになったのだろう。
木霊は嬉しそうにクルミを受け取り口のように空いた胴体の洞に放り込んだ。
ラヴィがまた何か話しかけている。
木霊は頭の枝葉を横に振って、またラヴィのポシェットを枝先で指差した。
ラヴィがしぶしぶクルミを渡す。渡されたクルミをすぐに食べた木霊は「もっともっと」とでも言っているようにラヴィのポシェットを指した。
それが何度か繰り返されラヴィは際限なくクルミを要求してくる木霊に両腕を交差させて×の仕草をしてみせた。
これ以上欲しいのなら先に皮をよこせと言っているのだろう。
すると木霊は頭の葉っぱを震わせて枝先でラヴィの肩を強く押した。
よろけたラヴィは一瞬あっけにとられていたが、段々と怒りが込み上げてきたらしく口をへの字にして木霊の体をてしっと叩いた。
すぐに木霊がぱちっと叩き返す。ラヴィもムキになってすぐ叩き返した。
木霊とラヴィの叩き合いはあっという間にエスカレートして、テチテチ、パチパチとお互いを激しく叩いている。
『……子供だ。子供のケンカが始まった』
それを一部始終見ていたラチアは額に手を当てて溜息を吐いた。
木霊とラヴィのケンカはラヴィの勝利で終わった。
ラヴィは小さいけれど木霊はそれ以上に小さかったので体格差で勝てたようだ。
ほっぺに細い切り傷をいくつも作ったラヴィがラチアの隠れている茂みのほうへ得意気に勝ち誇った顔を向けている。
『いや、オマエの任務はケンカに勝つことじゃないからな?』
そんな突っ込みを心の中でしながらラチアは茂みの中から立ち上がった。
「しょうがない。小さな木霊には悪いが今のうちに少しだけ皮を分けて貰おうか……」
茂みを大股で乗り越えたとき、
「ぼおおぉぉぉぉ! ぼおおぉぉぉぉ!」
ラヴィに負けて流木のように横倒しになっていた木霊は悔しさにぷるぷると体を震わせながら大声で鳴き始めた。
「くっ!? まずい!」
ラチアが慌ててラヴィのところへ駆け寄るのとほぼ同時に小さな木霊の泣き声を聞きつけた他の木霊が周囲からワサワサと集まり始めた。
「マ、マスター! ボク、ボク……」
事態がとんでもない方向に転がり始めたのを感じたラヴィは責任を感じてしゅんと項垂れている。
でも、今はそれを叱ることも慰めることも後回し。
ラチアはラヴィを抱き上げて脇に抱えると、迫ってくる木霊の間をすり抜けて川下へと走った。
「くそっ! 何が『任せてよ!』だ!」
「だ、だってあの子、クルミをくれたら皮をわけてあげるって言ってたのに嘘つくから!」
ボク、悪くないもん! と、ふくれっ面をしてるラヴィを見ながら、ラチアは『子供のケンカで一番よくある展開だな……』と納得して妙に可笑しくなった。
種族は違ってもケンカの原因とかそこに至るまでの展開とかは子供同士だとそれほどの違いはないらしい。
「しかし、まずいなこれは……」
振り返って後ろを確認したラチアは軽く舌打ちをした。
段々と悠長に笑っていられる状況ではなくなってきている。
どこにこれだけ隠れていたんだと言いたくなるくらいに木霊の数が増えていて、ざっと見ただけでも二十匹強。
体長二メルク前後の標準サイズの木霊なら二、三匹同時に相手をすることくらいできるが、この数になるとさすがに厳しい。
「焦らずに日が出るのを待ってから仕掛ければ良かった……と言っても今更しょうがないか」
ぼぉぼぉと吠えながらしつこく追ってくる木霊は、意外なほど足が速かった。
普段の移動に使っている根っこの足を浮かせて体に巻き付いている蔦でベチベチと地面を叩きながら追ってくる。
体の横に突き出ている枝を軸にして蔦を高速回転させているので、横から見れば車輪のように見えることだろう。
戦えば負ける――とまではいかないが、苦戦するのは見えている。
だから逃げるしかないのだが、木霊の大群はなかなか振り切れない。
次第にラチアの顔に汗が滲みはじめて息が荒くなってきた。
走る速度も徐々に落ち始めている。
一方の木霊たちは肉体の疲労がないので追うスピードが落ちない。
木霊たちを振り切るどころか、走るほど相互の距離が縮まってきている。
「マスター! 木霊さんは段差があるところを移動するのが苦手だから段差のあるところを走ったほうがいいよ!」
「そ、そうなのか……了解だ!」
ずっと谷川に沿って走っていたラチアはラヴィの助言を聞いて川沿いに繁っている森の中へと逃げ込んだ。
ラヴィの助言は確かだった。
ラチアが膝くらいの段差を上ると五匹ほどがそこでもたつき、腰ほどの高さがある岩を飛び越すとさらに半数が脱落した。
木霊は胴の長さに比して足が短いので、重心が低く倒れやすいようだ。
道のない森の中を走るのだからラチアのスピードはかなり落ちたが、それ以上に木霊はスピードを落としている。
大きな段差を越えられない小さな木霊ほど早くに脱落し、追いかけてきているのが大きな五メルク越えの一匹だけになった時にラチアは足を止めてラヴィを降ろした。
「ラヴィ、ちょっと離れていろ。一匹だけならイケる!」
「え!? 戦ってる間に、せっかく振り切った木霊さんたちが追いついてきちゃうよ?」
「大丈夫だ。それまでにカタをつける!」
ラチアは「持っててくれ」と担いでいたバックパックをラヴィに押しつけて体を翻すと、追いすがってくる木霊に向かって突っ込んだ。
「ぼぉ!?」
追っていた人間が急に反転して向かってきたので慌てた木霊は足(根)を地面に突き刺して急停止して素早く迎撃の態勢を整えた。
『ちっ、妙に戦い慣れている。こいつが群れの長か!?』
ラチアがそう感じたのは間違いではなさそうで、この木霊は他の木霊にはない茨の冠を頭上の葉に巡らせて胴体には大きな琥珀を埋め込んでいた。
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