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第三章

アンデッドの王という名のハイエルフ

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「さて、レオナ。言い訳を聞いてあげます」
「とても可愛らしかったですわ。主様」
喧嘩売ってるんですね。
良いでしょう、買ってあげます。

「勝利ですわ」
「……ずるいです、卑怯です、まだ敏感なんですよ、こちらは」
まさぐられたら集中できません。
もう嫌です。

「戯れはこの位にして、死霊の森のハイエルフの生き残りたる、リジェ様に我らアンデッドの王として君臨して頂きたく、このような不敬を致しました。図々しき願いとは存じておりますが、我らが配下と共に、隷属することをお許し頂きたい」
「正式な名すら持たぬ私に仕える事を良しとするのなら、許しましょう。王としては、弱すぎますが、恥じぬよう務めてあげます」
目的のひとつでしたからね。
まさか、レオナがロードクラスのレイスとは思っていませんでしたが。

「それで、言い訳は?」
「……主様が扇情的過ぎるのがいけませんわ」
未成熟な身体に欲情する方がいけません。

「しかし、想念がこうなるとは、予想外ですね」
「まだ、足りないようで半分霊体のようなものですわね。どこかで補充出来れば、実体を持つことになると思いますわ」
補充ですか、ひとつ心当たりはありますが、勝手に奪うのは気が引けますね。
ちゃんと管理されているのか、害はないようでしたし。
交渉しに行きましょうか。

「その前に、そろそろこの国の王と対談といきましょうか」
「御心のままに、主様」





「たのもー」
「リジェ先輩、それは別の作法です」
似たようなことをしに来たので、良いのです。

「正面切っての総力戦になるはずですが、随分と手ぬるい応対ですね」
「隠し球があるのでしょう。出し惜しみして自滅してくれると楽でいいのですが」
大量の死霊を使った、蹂躙戦ですね。
想念の試験運転でもありますが、実力主義のこの国ではこんな乱暴なやり方でも認めてくれますからね。
魔族と事を構えるつもりですから、あの要塞は必要なのです。
正式に認めてもらいましょう。
これを、脅迫と言います。

「すんなりと行き過ぎて怖いですね。レオナ、警戒態勢、ルリも戦闘準備です」
「ねぇ、お姉ちゃんは何したらいいの」
邪魔しないように、寝ていてください。

「静かになりましたね」
「二重の意味ですわね。主様は、ユーモアも理解しているご様子で嬉しいですわ」
さて、隠し球はどの程度なのでしょうね。

「来たか、森のヒトモドキ」
「要塞を拠点として配置することを認めてもらいに来ましたよ。人間のオス」
予想外に強者オーラですね。
と言っても、勝てるかどうかで判断するなら間違いなく勝てますね。
せっかく作った死霊軍団が壊滅させられそうなので、避けられるなら戦いたくないですけど。
もったいないですし。

「良かろう、実力は充分だ。しかし、冒険者共の試練としたい。何か達成の証のようなものを用意しておけ」
「難易度ぐらい言いなさい。現段階のままにしますよ」
現段階にしておくと、Sランクでもないと突破不可能ですからね。

「そうさな、もう一個作れ。場所はどこでもいいが、報告せよ。難易度はAランク相当の実力があれば突破可能に調整しろ。その代わりに、突破されても復活するダンジョンにしておけ」
「人間のオスにしては、面白い提案です。受けてあげますよ」
実力主義とは、なかなかですね。
柔軟で結構です。
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