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第三章

要塞都市という名の廃墟

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「リジェ、何ここ?」
「要塞都市、難易度Cのアンデッドダンジョンですね。ヒーラーの金策に使われております。程よくアンデッドが発生するので、定期的な間引き依頼が多く、何かとお金のかかるヒーラーの冒険者がこぞって浄化活動をしに来ますよ」
目指している国は、この先ですけれど。
ちなみに、勇者は剣聖にボコボコにされながら矯正されております。
ええ、いつでも呼んでくれて構わんぞ?
などと、言っていたので、呼んでやったので喜びを隠せないのでしょう。
ついに、リジェちゃんが剣聖を継いでくれる時が来たか!
と叫んでいたような気がしますが、聞き間違いでしょう。

「なんで、こんな危険地帯通るの!」
「私が冒険者だからですが? 自称姉、今朝までに何度も説明したはずです。もしや老化でも始まりましたか? 遅らせることは可能ですが、やっておきましょうか」
人間は老化が進むと、記憶力が落ちると聞きます。
早めに手を打つべきでしょう。

「失礼な! 違うよ、私は嫌だから遠回りしようって言ったよね? お姉ちゃん、ちゃんと伝えたよね!」
「ええ、聞いております。それが何か」
何故、私が自称姉の要望を聞かねばならないのでしょうか?

「ウルちゃん、リジェが冷たい」
「失礼ですが、リジェ先輩が冷たく接する理由に、とても多く思い当たるものがありますので、甘んじて受けろこの愚か者と言いたくなります」
ルリ、厳し過ぎです。
まぁ、構いませんが。
そも、この自称姉が、攫われる、慰み者になりかける、洗脳されかける、売り飛ばされかける、死にかけるなど、何度もトラブルに巻き込まれにいくのが原因ですからね。

自称姉でなければ、こちらから始末しているところです。

「うー、それはその、ごめんなさい」
「まぁ、今回はお留守番ではありませんので、安心してください。むしろ、お留守番はルリです」
そもそも、なんでアンデッドの巣窟を突破しようとしているかと言うと、最近私の事を嗅ぎ回っているネクロマンサーがいるからです。
目的は、私を魔力炉として扱うためでしょう。
そのネクロマンサーは、大食らいの強力なレイスを使役しているそうで、普段は餌の確保の為に、周辺の魔物を間引きしているそうで、冒険者ギルドや、小さな村では感謝されている存在です。
そうやって、好感度を上げておき、魔力炉に利用できそうな存在を探しやすくしていたのでしょう。
結果として、私を見つけたわけです。
ハイエルフの魔力量とその回復スピードがあれば、大食らいであろうと、維持が容易になりますからね。

「リジェ先輩、私の何が足りないのか教えて頂けますか」
「今回の敵は、私を狙っております。目的は、魔力炉としての確保。最近よく名を聞くネクロマンサーは知っておりますね? それが相手です。となれば、暗殺か1体1での対人戦がメインのルリでは、物量で押されて終わります。対して、自称姉は、相手がネクロマンサーなら無敵ですからね。ルリはお留守番です」
広範囲に攻撃する手段に乏しいルリなら、ネクロマンサーからすれば、容易な獲物となることでしょう。

「1つ付け加えますが、貴女が捕えられると私は、速やかに魔力炉の道を選びますからね。お留守番は絶対です」
「御意。今回は大人しくしておきますが、リジェ先輩も油断しないでくださいね」
私が油断ですか?
私の興味対象が狙われると分かっていて?
ルリ、私を舐めすぎですよ。
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