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第二章

学院でのひととき

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「リジェって、本読むの好きよね」
「先人の知識は興味深いですし、ここの蔵書は、魔法に特化しておりますので、参考になります」
特に、歴代のオリジナル魔法の詳細を記している記録書は素晴らしいですね。

「それより、自称姉、私がここを利用しても大丈夫なのですか? ハイエルフですし、学院生を制裁しておりますが」
「ハイエルフを怒らせる方が悪い、ってのが学院の見解だし、敬意を持って、我らと関わろうとする者を排斥するなど許される行為ではないってことだったから、簡単に許可が取れたわよ」

意外と柔軟な考えを持つ人間がいるのですね。
お陰で、勉強が捗りますが。

「あっ、リジェに聞きたいことがあったのよ」
「毎日へばりついてる割に、そういう事を平気で忘れるのはどうなんでしょうね。で、内容は?」
「究極魔法って何?」

随分と物騒な魔法を聞きますね。
教えますけど。

「長くなりますが、しっかりと聞いてください」
「お願い」

究極魔法と呼ばれるものは、別名種族魔法と言います。
各種族にのみ扱うことの出来る、魔法です。
代表的な種族に絞って解説していきます。

まずは、人間。
人族とかも呼びますけど、人間の持つ究極魔法の名前はソウル・サクリファイス。
自らの魂を燃料に発動させる、願いを叶える魔法です。

「えっ、そんなすごいの使えるの?」
「但し、魂を燃料にしますので、死にますし、叶えられる願いの範囲は、個体差が激しいので試さないでくださいね。泣きますよ」

次に、エルフとハイエルフ。
正確には違う種族ですので、分けます。
まずは、エルフですが、精霊装具と呼ばれる魔法です。
これは、精霊の領域の魔法を武器として纏うことで発動させる。
個体差がありますが、どれも強力です。
つづいて、ハイエルフ。
これは、知ってますね。
精霊昇華です。
肉体を捨てて、精霊になります。

「リジェはなっちゃダメぇー!」
「誰が発動させると言いましたか、ただの説明です。安心なさい」

次に、獣人。
神獣化と言います。
獣となるか、姿がそのままかは、個体差がありますが、この魔法は魔物で言う進化に近いですね。
1度発動させるともう元には戻れません。
精霊昇華と似ておりますね。

似ているのでついでに説明しますが、竜人は神竜化と言います。
より莫大な力を手にするという点を除けば、同じ魔法です。

最後はドワーフですね。
他にも種族はありますが、一般的では無いので。

「あっ、鬼人についても教えて」
「では、ドワーフの後に説明します」

ドワーフの場合、珍しく、性別で効果が違うのです。
オスの場合、神具創造。
これは、神とつくだけあり、デタラメな性能の武具を作り上げます。
作り上げた本人と、使用者と認められた者のみが扱えます。
現存するもので有名なのは、勇者の聖剣ですね。
そして、メスの場合。
これは、神人形創造です。
ゴーレムと呼ばれる物の頂点を作り上げるみたいな魔法です。
作り上げた本人の命令を1つの例外を除いて全うする疑似生命体です。

「例外って?」
「創造主が命の危険に晒される場合です」

創造主が死んだ時、神人形自体が考えて行動します。
基本的には自壊しますが。

そして、知りたがっているようなので、鬼人の究極魔法を教えますが、鬼人は種族ではないので究極魔法と呼ぶべきか悩んでおります。

「えっ? 鬼人族って呼ぶじゃない、種族でしょ?」
「ゴブリン、オーガなどの鬼と呼ばれる魔物の1部の強力な個体が進化した姿が鬼人です。知能が上がったことで、人間と共存可能なため、鬼人族と呼び分けただけに過ぎません」

なんて事を鬼人に言うと八つ裂きにされるかもしれませんのでやめてくださいね。

そして、鬼人の究極魔法もどきに名前はありません。
効果は、即時完全回復、肉体強化、魔力増大、魔法耐性強化と考えつく限りのバフをてんこ盛りにしたようなものでしょうか。
この状態を鬼神と呼び分けます。
まず殺すのが難しいので、敵対しないに越したことはないです。

「全種族知ってるの?」
「当然です。唯一、ハイエルフが使えない魔法ですよ? 知識としてだけでも取得したいですからね」

そういう意味でも鬼人のそれは、再現できなくは無いので、究極魔法とは思えないんですよね。

「それにしても、なぜ鬼人が気になるんです?」
「桜花様が鬼人族だから、気になってたのよー、あの方、とても美しいから」
桜花、確か、師匠が言っておりましたね。

鬼人族こそが最も優秀な血統であると信じきっている厄介者だと。
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