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第二章

原初の悪魔の後悔

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対価は上場。
成果も上場。
全ては、順調に進んでいた。
我は、そう認識しておったし、綻びなど無かった。
故に、手など抜かず、徹底しておった。

「ステラとやら、汝の願いは叶えた、対価を頂こう」
「え?」
何やら呆然としておったが、対価は対価である。
人間の女にしては、随分と魔力を溜め込んでおるが、故に対価として成立する。
配下の者たちに、褒美としてくれてやった。
2秒と持たなかったが。

それから、もう1人の人間の女を破滅へと誘った。
心通わせ、幸せを感じ、未来を夢みたその時に、絶望と死を与えるために。

全ては、つつがなく、完璧な仕事をこなした。
我は、そう思っていた。

「ねぇ、なんで世界樹の創造を使えるハイエルフちゃんをいたぶってる訳? そんな対価払えるような子いたかしら?」
精霊の王、全てが終わったと思ったその時にそれが現れ、爆弾を投下した。

「待て、どういうことだ、シーラ」
「ん? そのまんまよ。世界樹の創造ができる名前も持ってないハイエルフちゃんが、なんでこんな目に合ってるのか気になって見に来たのよ。原初の悪魔に依頼するには、とんでもない内容でしょ? 何を対価に貰ったのかしらと」

なん、だと?
この我に、罪なき至高の存在を穢させたであると?
あれごときの対価で?
ほぅ、虚偽を我に告げたということか、ならば消さねばなるまい。

「え、嘘でしょ、騙されてたの? うわ、最低。なんて事してくれるのよ! その子が再起出来なかったら、あんたと言えど許さないわよ。正式な契約の元ならまだしも、知りませんでしたじゃ済まさないから、覚悟しときなさい」
「心は壊れぬようにしておった、まだ死んではおらぬ。我は、契約を甘く見た者に、裁きを与えねばならぬ、シーラの裁きはその後、受けると確約しよう。それで、今は収めよ」

我は、怒りのままに、世界樹へと向かった。
そして、世界樹ごと消し去ってやろうとした時、シーラに殴り飛ばされた。

「誰が世界樹を壊していいだなんて行ったのかしら? 舐めてるの? 中身さえ変えれば良いだけなのよ、精霊だけ殺しなさい。いいわね?」

うむ、死にかけて冷静になった。
世界樹まで燃やしてしまっては、それこそ裁きでは足らぬ自体になるところであった。

冷静に、念入りに、地獄の苦しみを精霊を焼いていく。
何度も、何度も、あのハイエルフを犯した数だけ、狂うことも許さずに、延々と。

我は、何を持って、あのハイエルフに償いとすべきであろうか。
産まれてきた娘はきっと、あのハイエルフ以外を仲間と、同族と認めぬことであろう。
清廉ではないのだろうが、私欲があまりにも少ないあのハイエルフを穢し尽くした、我らを、我が子は同族と認めない。
だが、あのハイエルフは、娘と認めてくれるのだろうか、種族としての同族が我らである、あの子を──
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