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第三章
最終決戦
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はてさて、好き勝手に楽しんでいた神様には、命懸けの戦いがいかに辛いのか、味わってくるといいのです。
「さてさて、皆様は無事に私の試練を乗り越えました。ですが、黒幕さんは腐っても神ですので、強いですから油断しないでくださいね」
あれが仕掛けた台本は、それぞれで災厄の種と立ち向かい、各地で繰り広げられる命運をかけた戦い。
そんなものを、楽しむつもりだったのだろう。
もちろん、私との約束を破り、私すらもこの世界の仕組みに取り込もうとした報いとして、条件の達成を私の一存で無理やり変えておきました。
私の課す試練を乗り越えること。
勇者様は別の事を要求してきたので、存分にゆっくりと歩いてもらってますが。
無事に完璧に乗り越えて貰いましたので、発動しますね。
この世界をかけた神と住人との勝負のための術式が。
「……さて、堕ちろ、汝の罪と共に」
神とは、即ち、迷惑の化身。
私も含めて、我儘を通したがるものですからね。
ええ、私の自由を奪おうなどと、思い上がりにも程があるんですよね。
せめて、神としての仕事をしてからにしてくださいな。
「皆様、私に頼ることなく倒しきってください。でないと、私がこの世界を貰っちゃいますよ? では、勝利条件は2つ。ひとつは、倒してしまう。もうひとつは、皆様が死ぬ事なく、勇者様がここに到着するです。後者は、私が仕掛けているある魔法の発動条件ですので、死ななければ勝てます。お好きな条件で挑んでください」
さぞ過酷な戦いになることでしょうと、私は思っておりましたし、その為に充分な力を与えたんですけどね。
使い方という面において、神に匹敵するんですね。
好ましいです。
好ましいのですが、強過ぎませんかね。
「あれ、制限してると勝てそうにないですね。とはいえ、神ですからね」
えーっと、1人ずつ観察してみますか。
まず、受付嬢さんとか呼ばれてる人。
仮の名前はあるようですが、名前を捧げてますからね。
本名は辞めておきましょう。
ビギナーマスターの境地まで行っちゃいましたね。
ええ、神の権能の再現。
あれって変質してしまっているので、実を言うと初級に含められるんですよね。
さて、ですが、彼女が扱える権能は、知っていることが前提。
つまり、今扱える権能でこの場で武器にできるのは──
「廻れ、そして焼き尽くせ、ワールドエンド」
魔力を回復させるための時間を一気に回す、発動に時間を掛けてしまう魔法を一気に発動させる。
バフ扱いに縛ることで、扱いやすくしておりますね。
素晴らしい。
私の力を短時間で良く使いこなしております。
さすがに、神滅クラスの魔法をあんなに連発されれば、さすがに涙目にもなりますよね。
私なら逆に、減ったタイミングで回転を遅くしてあげますけれどね。
張り合うのは卑怯なのでやめておきましょう。
続けて、協会の聖女ちゃんこと、神具ですね。
意志を持つ武装ですが、装備者が武装としての彼女を必要としておりませんので、隣に立つために身につけた力で戦っておりますね。
他の面々とは、かなり見劣りしますが的確な支援と言えますでしょう。
弱くはない、そんな攻撃を隙間を縫うように、的確なタイミングで打ち続けるその集中力は凄まじいですね。
良き良きです。
仲間としていてくれると、とても心強いことでしょう。
相方がとんでもない遠距離型ですからね。
サポートメインとして動くのは、いい判断です。
次にその相方さん。
元貴族令嬢さんですね。
異常なレベルの狙撃術ですね。
もう見えてなくても、狙えてますね。
それでいて、その威力がやばいですね。
極大魔法に匹敵する威力の魔法矢が、真上からどんどん降ってきますね。
正面からは誰かさんが、古代魔法を大連射してますからね。
対処しづらい事でしょう。
良き的ですね。
最後に、魔王さんですね。
いやもう、語るまでもないですね。
やばいです。
多分ですが、私とやりあえます。
嘘です、私の本気とやりあえますよあれ。
1人だけ、完全に圧倒してますよ。
神の一撃を避けるとか、そんな程度の次元じゃないでしょう。
味方へのバフを掛け続けながら、近接攻撃で神を圧倒するのは、圧巻ですね。
ふむ、倒してしまいそうです。
勇者様いりませんでしたね。
それにしても、神というのは皆、卑怯者ですね。
さすがに、負けておいて逃げるのは許しませんよ。
────────────────────
有り得ない、有り得ない、有り得ない!
何故だ!
あいつは、もう何も出来なかったはず。
何故だ、何故、平然と立っている。
何故、権能を使える!
私の世界に閉じ込めたというのに、何故!
「うるさいですね、往生際の悪い、世界そのものを司る神ですよ? 私を相手に、世界を管理する力で勝てるとでも思ってたんですか?」
私は衰退するまでの時間を一気に回され、切り離された。
循環とは、廻すだけの力のはず。
なぜ切り離すことが出来る!
権能にそんな拡張性などないのに何故だ!
「私は、権能持つ存在であるあなた達と違い、権能そのものです。つまり、私だけが成長できる。私だけが、神を超越する」
そんな事が許されて、たまる、も、の……か……
「さてさて、皆様は無事に私の試練を乗り越えました。ですが、黒幕さんは腐っても神ですので、強いですから油断しないでくださいね」
あれが仕掛けた台本は、それぞれで災厄の種と立ち向かい、各地で繰り広げられる命運をかけた戦い。
そんなものを、楽しむつもりだったのだろう。
もちろん、私との約束を破り、私すらもこの世界の仕組みに取り込もうとした報いとして、条件の達成を私の一存で無理やり変えておきました。
私の課す試練を乗り越えること。
勇者様は別の事を要求してきたので、存分にゆっくりと歩いてもらってますが。
無事に完璧に乗り越えて貰いましたので、発動しますね。
この世界をかけた神と住人との勝負のための術式が。
「……さて、堕ちろ、汝の罪と共に」
神とは、即ち、迷惑の化身。
私も含めて、我儘を通したがるものですからね。
ええ、私の自由を奪おうなどと、思い上がりにも程があるんですよね。
せめて、神としての仕事をしてからにしてくださいな。
「皆様、私に頼ることなく倒しきってください。でないと、私がこの世界を貰っちゃいますよ? では、勝利条件は2つ。ひとつは、倒してしまう。もうひとつは、皆様が死ぬ事なく、勇者様がここに到着するです。後者は、私が仕掛けているある魔法の発動条件ですので、死ななければ勝てます。お好きな条件で挑んでください」
さぞ過酷な戦いになることでしょうと、私は思っておりましたし、その為に充分な力を与えたんですけどね。
使い方という面において、神に匹敵するんですね。
好ましいです。
好ましいのですが、強過ぎませんかね。
「あれ、制限してると勝てそうにないですね。とはいえ、神ですからね」
えーっと、1人ずつ観察してみますか。
まず、受付嬢さんとか呼ばれてる人。
仮の名前はあるようですが、名前を捧げてますからね。
本名は辞めておきましょう。
ビギナーマスターの境地まで行っちゃいましたね。
ええ、神の権能の再現。
あれって変質してしまっているので、実を言うと初級に含められるんですよね。
さて、ですが、彼女が扱える権能は、知っていることが前提。
つまり、今扱える権能でこの場で武器にできるのは──
「廻れ、そして焼き尽くせ、ワールドエンド」
魔力を回復させるための時間を一気に回す、発動に時間を掛けてしまう魔法を一気に発動させる。
バフ扱いに縛ることで、扱いやすくしておりますね。
素晴らしい。
私の力を短時間で良く使いこなしております。
さすがに、神滅クラスの魔法をあんなに連発されれば、さすがに涙目にもなりますよね。
私なら逆に、減ったタイミングで回転を遅くしてあげますけれどね。
張り合うのは卑怯なのでやめておきましょう。
続けて、協会の聖女ちゃんこと、神具ですね。
意志を持つ武装ですが、装備者が武装としての彼女を必要としておりませんので、隣に立つために身につけた力で戦っておりますね。
他の面々とは、かなり見劣りしますが的確な支援と言えますでしょう。
弱くはない、そんな攻撃を隙間を縫うように、的確なタイミングで打ち続けるその集中力は凄まじいですね。
良き良きです。
仲間としていてくれると、とても心強いことでしょう。
相方がとんでもない遠距離型ですからね。
サポートメインとして動くのは、いい判断です。
次にその相方さん。
元貴族令嬢さんですね。
異常なレベルの狙撃術ですね。
もう見えてなくても、狙えてますね。
それでいて、その威力がやばいですね。
極大魔法に匹敵する威力の魔法矢が、真上からどんどん降ってきますね。
正面からは誰かさんが、古代魔法を大連射してますからね。
対処しづらい事でしょう。
良き的ですね。
最後に、魔王さんですね。
いやもう、語るまでもないですね。
やばいです。
多分ですが、私とやりあえます。
嘘です、私の本気とやりあえますよあれ。
1人だけ、完全に圧倒してますよ。
神の一撃を避けるとか、そんな程度の次元じゃないでしょう。
味方へのバフを掛け続けながら、近接攻撃で神を圧倒するのは、圧巻ですね。
ふむ、倒してしまいそうです。
勇者様いりませんでしたね。
それにしても、神というのは皆、卑怯者ですね。
さすがに、負けておいて逃げるのは許しませんよ。
────────────────────
有り得ない、有り得ない、有り得ない!
何故だ!
あいつは、もう何も出来なかったはず。
何故だ、何故、平然と立っている。
何故、権能を使える!
私の世界に閉じ込めたというのに、何故!
「うるさいですね、往生際の悪い、世界そのものを司る神ですよ? 私を相手に、世界を管理する力で勝てるとでも思ってたんですか?」
私は衰退するまでの時間を一気に回され、切り離された。
循環とは、廻すだけの力のはず。
なぜ切り離すことが出来る!
権能にそんな拡張性などないのに何故だ!
「私は、権能持つ存在であるあなた達と違い、権能そのものです。つまり、私だけが成長できる。私だけが、神を超越する」
そんな事が許されて、たまる、も、の……か……
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