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第二部 はじまりは美しい28
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~肩かけ~
夜空の真ん中で、まんまるの月が輝いています。
星屑がきらりきらりときらめいて、色とりどりのキャンディを
散りばめたようでした。
優しい夜風にくるまれて、ルエラは、ぼんやりと海を眺めます。
穏やかに、寄せては返す波の音を聞きながら、ルエラは膝を抱えて
丸まるようにして座ります。
夜半過ぎ、ルエラはいつものように部屋を抜け出し、
お気に入りの岩の上にうずくまっていました。
屋敷にいると息がつまります。
ルエラの反応を気にして、みんなの態度がぎこちなくなるのが
嫌でした。
「冷えますよ」
優しい声と共に、肩にあたたかいものをかけられました。
柔らかな布の感触に驚き、人が話しかけてきたことに驚きます。
「あの…」
「私は、ディーンといいます」
女性は体を冷やすとよくありませんよと微笑まれて、
ルエラはあっけにとられてしまいました。
「ありがとう…」
「それに、夜遅くに女性が1人で出歩くのは感心しません」
「はい」
なぜか素直に頷いてしまって、そんな自分がおかしくなりました。
「どうしてもひとりになりたかったの」
見ず知らずの男性に、思わず胸の内を明かします。
話しているうちに、ルエラはとまらなくなりました。
相手は知らない人だと思うのに、話しても大丈夫だとさえ思えました。
話しつづける内に、涙がこぼれ落ちます。
昼間は、わからなかった感情が今になって、噴出してきました。
嗚咽をあげながら話しつづけるルエラの背を男性は、静かになでてくれます。
一方的に話すルエラをさえぎりもせず、ただ黙って聞いてくれました。
「そのまま、伝えてみたらどうですか?」
「無理よ。言えっこないわ」
「あなたが伝えてくれるのをみんなは、待っていると思いますよ」
ふわりと微笑んで、男性は立ち上がりました。
「みてください」
後ろを振り返って、ディーンは笑います。
男性の示す方をみてみると、血相を変えて転びそうになりながら
走ってくる屋敷の主人がみえました。
「その肩かけは、さしあげます」
そう言って、そのまま去ろうとする男性をルエラは、
引きとめようとしましたが、そのまま行ってしまいました。
あとに残った肩かけと男性の後姿をぼんやりとみつめます。
遠くから、ルエラの名を呼ぶ声がだんだんと近づいてきました。
つづく
夜空の真ん中で、まんまるの月が輝いています。
星屑がきらりきらりときらめいて、色とりどりのキャンディを
散りばめたようでした。
優しい夜風にくるまれて、ルエラは、ぼんやりと海を眺めます。
穏やかに、寄せては返す波の音を聞きながら、ルエラは膝を抱えて
丸まるようにして座ります。
夜半過ぎ、ルエラはいつものように部屋を抜け出し、
お気に入りの岩の上にうずくまっていました。
屋敷にいると息がつまります。
ルエラの反応を気にして、みんなの態度がぎこちなくなるのが
嫌でした。
「冷えますよ」
優しい声と共に、肩にあたたかいものをかけられました。
柔らかな布の感触に驚き、人が話しかけてきたことに驚きます。
「あの…」
「私は、ディーンといいます」
女性は体を冷やすとよくありませんよと微笑まれて、
ルエラはあっけにとられてしまいました。
「ありがとう…」
「それに、夜遅くに女性が1人で出歩くのは感心しません」
「はい」
なぜか素直に頷いてしまって、そんな自分がおかしくなりました。
「どうしてもひとりになりたかったの」
見ず知らずの男性に、思わず胸の内を明かします。
話しているうちに、ルエラはとまらなくなりました。
相手は知らない人だと思うのに、話しても大丈夫だとさえ思えました。
話しつづける内に、涙がこぼれ落ちます。
昼間は、わからなかった感情が今になって、噴出してきました。
嗚咽をあげながら話しつづけるルエラの背を男性は、静かになでてくれます。
一方的に話すルエラをさえぎりもせず、ただ黙って聞いてくれました。
「そのまま、伝えてみたらどうですか?」
「無理よ。言えっこないわ」
「あなたが伝えてくれるのをみんなは、待っていると思いますよ」
ふわりと微笑んで、男性は立ち上がりました。
「みてください」
後ろを振り返って、ディーンは笑います。
男性の示す方をみてみると、血相を変えて転びそうになりながら
走ってくる屋敷の主人がみえました。
「その肩かけは、さしあげます」
そう言って、そのまま去ろうとする男性をルエラは、
引きとめようとしましたが、そのまま行ってしまいました。
あとに残った肩かけと男性の後姿をぼんやりとみつめます。
遠くから、ルエラの名を呼ぶ声がだんだんと近づいてきました。
つづく
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