108 / 159
第二部 はじまりは美しい21
しおりを挟む
~ノエル~
ぽかんとしていた人々のなかで、いち早く動いたのは
屋敷の主人でした。
ルエラに椅子にかけるようにすすめ、人数分のお茶の用意を
はじめました。
「あの」
話が始まる前にと、前置きをして青年が立ち上がり
ルエラに向かって頭を下げました。
「理由があったとはいえ、嘘の名前を言ってすみませんでした。」
「僕の名前は、ノエル。北欧の国を中心に商売をしている貿易商の息子です」
その先をなんといったものかとくちごもっていると、
屋敷の主人が、ノエルにお茶をさしだし、座るように促しました。
お茶に添える菓子の準備をゆったりとはじめました。
いつもと変わらない動作に、皆が落ち着きを取り戻します。
少し肩の力が抜けたかのようにみえたお父様が、穏やかに口を開きました。
「ルエラ、とても驚くと思う。けれど落ち着いて聞いてほしい」
「さっきから何度も同じことを仰ってるわ」
ルエラはくすりと笑って、次の言葉を待ちます。
そうか、と笑うお父様の表情はとても弱々しくみえました。
暖炉の炎が揺らめいて、ぱきりと薪が音をたてました。
カップからは、ゆっくりと白い湯気が立ちのぼります。
屋敷の主人は、いつもとなんら変わらぬ表情と動作で、
これから語られる昔語りに、そっと耳をすませました。
つづく
ぽかんとしていた人々のなかで、いち早く動いたのは
屋敷の主人でした。
ルエラに椅子にかけるようにすすめ、人数分のお茶の用意を
はじめました。
「あの」
話が始まる前にと、前置きをして青年が立ち上がり
ルエラに向かって頭を下げました。
「理由があったとはいえ、嘘の名前を言ってすみませんでした。」
「僕の名前は、ノエル。北欧の国を中心に商売をしている貿易商の息子です」
その先をなんといったものかとくちごもっていると、
屋敷の主人が、ノエルにお茶をさしだし、座るように促しました。
お茶に添える菓子の準備をゆったりとはじめました。
いつもと変わらない動作に、皆が落ち着きを取り戻します。
少し肩の力が抜けたかのようにみえたお父様が、穏やかに口を開きました。
「ルエラ、とても驚くと思う。けれど落ち着いて聞いてほしい」
「さっきから何度も同じことを仰ってるわ」
ルエラはくすりと笑って、次の言葉を待ちます。
そうか、と笑うお父様の表情はとても弱々しくみえました。
暖炉の炎が揺らめいて、ぱきりと薪が音をたてました。
カップからは、ゆっくりと白い湯気が立ちのぼります。
屋敷の主人は、いつもとなんら変わらぬ表情と動作で、
これから語られる昔語りに、そっと耳をすませました。
つづく
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる