はじまり

天鳥そら

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はじまり66

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~決断~ 


それから、ロイとルナはこれからのことを詳しく話し始めました。 
この島を拠点としたいことや、この島の、この屋敷に住み続けて欲しい 
といったことです。 

「ゲートとなってほしいんです」 

ルナのきらきらとした瞳に、クローディアは少し眉をひそめました。 
同じように、ソウとシキも顔を曇らせます。 

「我々は…その、事情があってこの島に長居するわけにいきません」 

シキとソウが、ある国の王族であり、現在国を治めている王と国を謀って 
でてきたのだということを話します。 
時期国王となる王子とは、できるだけ連絡をとり、 
国外の様子を知らせる役目もおおせつかっていることや、 
クローディアとソウを未だに探しているので、 
定住することは難しいだろうと語ります。 

そのひとつひとつをルナとロイは聞いて、うなづきます。 

「それは、こちらでなんとかしよう」 

「なっ…」 

シキとソウは驚いてロイを見ます。 
二人はクローディアのように、月からきた人物だと 
すんなり信じることはできませんでした。 
二人の様子に苦笑します。 

「ある程度の融通は利くんだ」 

あなた方にやる気があればの話だけれど、と前置きして、 
簡単にこれからのプランを語り始めました。 
その話を聞くほどに信じがたく、可能であるならば、 
ぜひそうしたいと思う内容でした。 

「それは、そうしていただければ…」 

今までの自分の想像を超える話に、ほっとため息をつきます。 
シキは難しい顔をして、クローディアを見ました。 

「僕は…クローディアの決断に任すよ」 

ソウも同じようにうなづいて、クローディアをじっと 
眺めます。 

「わ、私?」 

「あなたに一番、覚悟が必要だと思うよ」 

にっこり笑うロイに、どきどきしながらうつむきました。 
みんなを裏切ることになるんじゃないかしら、 
とっても自分勝手ではないかしら…。 

そんなことが頭の中を駆け巡り、ふとシキに視線を向けます。 
いつものように穏やかに微笑むソウと、朗らかに笑うシキに 
泣きたくなりながら口を開きました。 

「私、やるわ」 

その言葉に、ふと部屋の空気がゆるみます。 
泣きそうな顔をするクローディアをシキが力強く抱きしめました。 


つづく
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感想 1

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