はじまり

天鳥そら

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はじまり26

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 ~計画~


ソウとクローディアは、大祭の一週間、町で過ごすことを 
王様に願い出ました。 
一週間という期間の長さに、王様は眉をひそめましたが、 
この機会に、役場や港の方も見てきたいのだというとうなづきました。 

「だが、なぜクローディアまで?」 

ことのほか可愛がる娘のことを王様は心配しましたが、 
女性が一緒の方が向こうも安心すること。 
また、女性からの意見を聞きたいからサポートにほしいと 
いうことを伝えます。 
もとより、仲の良い王子と姫だったので、王様も王妃様も 
うなづきました。 

「クローディアも国のことを知るいい機会です」 

王妃様自身が、自身の目で見て歩くことを好んだので、 
反対はしませんでした。 
ただ、クローディアには仕事の一環として報告書を 
提出するように言いました。 

「王子に手伝ってもらってはなりませんよ」 

「はい、お母様」 

神妙にうなづいて、礼儀正しくお辞儀をします。 

王様と王妃様の部屋からでて、ソウとクローディアは顔を見合わせました。 

「よかったわね」 

「だから、大祭の時期が良いと言ったでしょう?」 

ただの視察ではなく、大祭の期間だということで、 
いつもより気軽に町を歩くことができます。 
この時に、靴屋のシキにもう一度会いに行こうと二人で 
話し合ったのでした。 


海辺の民宿にみえる一軒家を滞在地に選んだのは、 
靴屋のある町にも近く、事前に視察の場として根回しした 
港に近かったからでした。 

港に近い一軒家に着き、視察と大祭の聖なる式典の日程を 
確認し、空いた日に靴屋に行くことを決めます。 

「靴屋が開いているといいんだけれど」 

「そうですね」 

大祭の間、店を閉めてしまう場合もあるので、 
そればかりは行ってみなければわからないのでした。 


つづく
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感想 1

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