はじまり

はじまり１８

～予感～


動き出した時計を見て、クローディアは恐ろしくなりました。 
悪いことをしたわけではないのに、心臓がどくどくと嫌な音をたてています。 


まるで、古い時代が蘇ったみたい 


そんなことを考えて、クローディアは背筋が寒くなりました。 

「ソウ、もう帰りましょう」 

「クローディア？」 

クローディアの様子がおかしいと思いましたが、 
靴屋に入ってからずいぶん時間がたっています。 
シキに靴のお礼を言って、二人は店の外にでました。 

シキは愛想良く笑って、店の中に戻ります。 
ずいぶん仲がよく、品のいい兄妹だったと思います。 

「ずいぶんとこの時計のことを気にしていたな」 

机の上の時計を眺めます。 
じっと見ていると、時計の針が動いていることに気づきました。 

「あれ？」 

不思議に思って持ち上げます。 
兄妹がずいぶん熱心に見ていたので、なんかの拍子に直ったのかも知れません。 
不思議だとは思いましたが、もともと壊れていた時計です。 
特に気にせず、机の上にもどしました。 



つづく