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同士討ち
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「諦めなければきっと勝てるとか言わん! だが、諦めたらその時点で終わりだ!!」
ドゥケの姿が見えた瞬間、私の中で折れかけていた何かが力を取り戻すのが分かった。加えて、ぶわあっと湧きあがってくるものもある。
熱くて、それでいて胸が締め付けられるような何か。涙がこみあげてくるのも分かってしまった。
ああ、でもダメダメ! 今はそれどころじゃ…!
「よく生きてたな、お前!!」
アリスリスがそんな風にドラゴンの目に剣を突き立てて取り付いたドゥケに向かって叫ぶ。
「話はあとだ! 今はとにかくこいつらを倒すぞ!!」
倒す? ドラゴンを? 私たちで?
戸惑う私に、ドゥケは言う。
「こうやるんだよ!!」
ドラゴンの目に突き立てていた剣に掴まったまま、ドゥケは懐から取り出した短剣を、他のドラゴンの目に向けて投げつけた。それは咄嗟に目を閉じたドラゴンの瞼で阻まれたけど、狙われたドラゴンがドゥケ目掛けて、くあっと噛みつこうとした。その瞬間、剣を抜きドゥケの体が宙を舞う。すると噛みつこうとしたドラゴンは、そのまま目を潰されたドラゴンの頭に噛みつき、砕いてしまった。
さすがに倒れはしなかったけど、明らかに頭を噛み砕かれたドラゴンの動きが鈍る。
なるほど、同士討ちさせるということか。
確かに操られているドラゴンは凶暴化してて見境いがないところがある。それを上手く利用してやれば。
『だけどそんなに上手くいくのかな』
なんて心配が頭によぎった私をよそに、ドゥケは敢えてドラゴン同士の間を跳ね回り、同士討ちを誘った。でもそれは、ほんの一瞬でも躱すのが遅れればドラゴンの間に挟まれて間違いなく一撃で命を落とすであろう危険な方法だった。
けれど、そうするしかないのか。
ドラゴンの尻尾の一撃で吹っ飛ばされた二人の勇者も復帰し、私たちはそれぞれ、ドラゴンを攻撃しつつ同士討ちを誘った。そうして同士討ちすればするほど、頭に血が上ったのかドラゴンはますます見境いが無くなっていく。しまいには、仲間のドラゴンがいるにも拘らずブレスを放つ始末だ。
「うわっとぅっっ!!」
危うく私も巻き込まれそうになったけど、辛うじて躱す。すると、最初に頭を噛み砕かれたドラゴンは、ブレスの直撃を受けてついに倒れた。
『すごい…! ドラゴンを倒した…!?』
なんて驚いてる暇はない。残り二頭。
しかも、それまでの同士討ちで傷付き、鱗が剥がれた部分になら、剣が通った。
首筋の傷から頭に向けて私が剣を突き立てると、そこに、もう一頭のドラゴンが尾を叩きつけてくる。それを私が躱すと、叩きつけてきた尾が突き刺さったままの剣をさらに奥へと押し込む形になり、とどめの一撃となったのだった。
ドゥケの姿が見えた瞬間、私の中で折れかけていた何かが力を取り戻すのが分かった。加えて、ぶわあっと湧きあがってくるものもある。
熱くて、それでいて胸が締め付けられるような何か。涙がこみあげてくるのも分かってしまった。
ああ、でもダメダメ! 今はそれどころじゃ…!
「よく生きてたな、お前!!」
アリスリスがそんな風にドラゴンの目に剣を突き立てて取り付いたドゥケに向かって叫ぶ。
「話はあとだ! 今はとにかくこいつらを倒すぞ!!」
倒す? ドラゴンを? 私たちで?
戸惑う私に、ドゥケは言う。
「こうやるんだよ!!」
ドラゴンの目に突き立てていた剣に掴まったまま、ドゥケは懐から取り出した短剣を、他のドラゴンの目に向けて投げつけた。それは咄嗟に目を閉じたドラゴンの瞼で阻まれたけど、狙われたドラゴンがドゥケ目掛けて、くあっと噛みつこうとした。その瞬間、剣を抜きドゥケの体が宙を舞う。すると噛みつこうとしたドラゴンは、そのまま目を潰されたドラゴンの頭に噛みつき、砕いてしまった。
さすがに倒れはしなかったけど、明らかに頭を噛み砕かれたドラゴンの動きが鈍る。
なるほど、同士討ちさせるということか。
確かに操られているドラゴンは凶暴化してて見境いがないところがある。それを上手く利用してやれば。
『だけどそんなに上手くいくのかな』
なんて心配が頭によぎった私をよそに、ドゥケは敢えてドラゴン同士の間を跳ね回り、同士討ちを誘った。でもそれは、ほんの一瞬でも躱すのが遅れればドラゴンの間に挟まれて間違いなく一撃で命を落とすであろう危険な方法だった。
けれど、そうするしかないのか。
ドラゴンの尻尾の一撃で吹っ飛ばされた二人の勇者も復帰し、私たちはそれぞれ、ドラゴンを攻撃しつつ同士討ちを誘った。そうして同士討ちすればするほど、頭に血が上ったのかドラゴンはますます見境いが無くなっていく。しまいには、仲間のドラゴンがいるにも拘らずブレスを放つ始末だ。
「うわっとぅっっ!!」
危うく私も巻き込まれそうになったけど、辛うじて躱す。すると、最初に頭を噛み砕かれたドラゴンは、ブレスの直撃を受けてついに倒れた。
『すごい…! ドラゴンを倒した…!?』
なんて驚いてる暇はない。残り二頭。
しかも、それまでの同士討ちで傷付き、鱗が剥がれた部分になら、剣が通った。
首筋の傷から頭に向けて私が剣を突き立てると、そこに、もう一頭のドラゴンが尾を叩きつけてくる。それを私が躱すと、叩きつけてきた尾が突き刺さったままの剣をさらに奥へと押し込む形になり、とどめの一撃となったのだった。
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