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ありがとうな
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指揮者たるオークを失って、魔王軍は一瞬で統率を欠いた烏合の衆になった。それからは私達も馬を降りて突っ込んで剣を振るう。
「あうっ!」
団員の一人が、スケルトン兵の槍を受けて負傷した。するとすかさず、控えてたポメリアがヒールを使って癒してくれる。
私達をそれを信じて戦った。
腰だめに剣を構えて体ごと突っ込むと、スケルトン兵が崩れ落ちた。
『やった…!』
と思ったその時、私の前にゾンビ兵が。これって前回と同じ。
『ヤバ…っ!!』
ってつい目を瞑ってしまったら、私の足元にドサッと何かが倒れる気配が。ハッと目を開けると、ゾンビ兵が。まさかと思って周りを見ると、少し離れたところでドゥケが私に向かってウインクしてた。
くそっ! またあいつに助けられた……!!
そう思ったらカーっと体が熱くなって、思わず近くにいたゾンビ兵に八つ当たりみたいに剣を振り下ろしてた。
ガツンっていう手応えと共に、善神バーディナムの祝福を受けて魔を討ち払う力が授けられた剣がゾンビ兵を動かしていた魔力をかき消す。こうやって魔物は倒されるのだ。
『二体目…!』
前回、一体しか倒せなかった雪辱を晴らした私は、だけどもう油断しなかった。続けて私目掛けて突っ込んできたスケルトン兵に剣を真っ直ぐに突き出す。
『これで三体…!』
そうして結局、私は五体の敵兵を倒すことができたのだった。
魔王軍の部隊は壊滅し、私達は陣地へと戻ることになった。今回も戦死者はなし。私自身も五体もの敵兵を倒すことができて、正直、気持ちは晴れやかだった。
『よし、今度もこの調子でやるぞ…!』
と気持ちを新たにしつつも、同時に、今回も結局、大半の敵兵はドゥケが倒したのも事実だ。それについてはやっぱりモヤモヤするものも感じないわけじゃなかった。
でも不思議と、これまでよりは気にならなくなってきたかな。
それは私も戦果をあげられたからかもしれない。
帰りの道中、ライアーネ様に、
「よく頑張ったわね。この調子で慢心せず励んで」
と声を掛けていただいて、「はい!」と子供みたいに返事してしまった。
そんな私達の前を、やっぱりドゥケとリデムが並んで馬を歩かせてる。
「ありがとうな、リデム」
と、ドゥケがリデムに話し掛けるのが分かった。
リデムの魔法で援護してもらったことを言ってるんだって察せられた。
『あれ…? あいつあんな感じだったっけ……?』
って思ってしまう。だけど元々、ドゥケはそうやって周りを労うヤツだったみたいだ。私が気付いてなかっただけで。
「あうっ!」
団員の一人が、スケルトン兵の槍を受けて負傷した。するとすかさず、控えてたポメリアがヒールを使って癒してくれる。
私達をそれを信じて戦った。
腰だめに剣を構えて体ごと突っ込むと、スケルトン兵が崩れ落ちた。
『やった…!』
と思ったその時、私の前にゾンビ兵が。これって前回と同じ。
『ヤバ…っ!!』
ってつい目を瞑ってしまったら、私の足元にドサッと何かが倒れる気配が。ハッと目を開けると、ゾンビ兵が。まさかと思って周りを見ると、少し離れたところでドゥケが私に向かってウインクしてた。
くそっ! またあいつに助けられた……!!
そう思ったらカーっと体が熱くなって、思わず近くにいたゾンビ兵に八つ当たりみたいに剣を振り下ろしてた。
ガツンっていう手応えと共に、善神バーディナムの祝福を受けて魔を討ち払う力が授けられた剣がゾンビ兵を動かしていた魔力をかき消す。こうやって魔物は倒されるのだ。
『二体目…!』
前回、一体しか倒せなかった雪辱を晴らした私は、だけどもう油断しなかった。続けて私目掛けて突っ込んできたスケルトン兵に剣を真っ直ぐに突き出す。
『これで三体…!』
そうして結局、私は五体の敵兵を倒すことができたのだった。
魔王軍の部隊は壊滅し、私達は陣地へと戻ることになった。今回も戦死者はなし。私自身も五体もの敵兵を倒すことができて、正直、気持ちは晴れやかだった。
『よし、今度もこの調子でやるぞ…!』
と気持ちを新たにしつつも、同時に、今回も結局、大半の敵兵はドゥケが倒したのも事実だ。それについてはやっぱりモヤモヤするものも感じないわけじゃなかった。
でも不思議と、これまでよりは気にならなくなってきたかな。
それは私も戦果をあげられたからかもしれない。
帰りの道中、ライアーネ様に、
「よく頑張ったわね。この調子で慢心せず励んで」
と声を掛けていただいて、「はい!」と子供みたいに返事してしまった。
そんな私達の前を、やっぱりドゥケとリデムが並んで馬を歩かせてる。
「ありがとうな、リデム」
と、ドゥケがリデムに話し掛けるのが分かった。
リデムの魔法で援護してもらったことを言ってるんだって察せられた。
『あれ…? あいつあんな感じだったっけ……?』
って思ってしまう。だけど元々、ドゥケはそうやって周りを労うヤツだったみたいだ。私が気付いてなかっただけで。
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