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ミコナとかぷせるあにまるず
優しい嘘
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ハカセは発明という形では大変な才能の持ち主でしたけど、当然ながら医師という方向では普通の人です。いえ、普通の人よりはそういう形の知識もあったかもしれませんけど、それでも、専門の医師に比べれば残念ながら知識は十分じゃありません。
だから、病院の医師の診断や治療方針には異を唱えるつもりもありません。ありませんけど、可能性についてはとにかく探りたいと考えていたんです。
けれど、そのハカセに対して、ルリアは、
「無理はしないで。ミコナのことを一番に考えてあげて。私は私で頑張るから。大丈夫、治してみせるよ」
笑顔でそう言うのです。
だけどそれはどこまでも奇跡に頼るしかないという、淡い淡い希望でした。むしろ<優しい嘘>と言った方がいいのかもしれません。実際には何の根拠もないのですから。
「ルリア……」
彼女にそんな嘘を吐かせてしまう自分が、ハカセは悔しくて仕方なかったのでした。
だから、病院の医師の診断や治療方針には異を唱えるつもりもありません。ありませんけど、可能性についてはとにかく探りたいと考えていたんです。
けれど、そのハカセに対して、ルリアは、
「無理はしないで。ミコナのことを一番に考えてあげて。私は私で頑張るから。大丈夫、治してみせるよ」
笑顔でそう言うのです。
だけどそれはどこまでも奇跡に頼るしかないという、淡い淡い希望でした。むしろ<優しい嘘>と言った方がいいのかもしれません。実際には何の根拠もないのですから。
「ルリア……」
彼女にそんな嘘を吐かせてしまう自分が、ハカセは悔しくて仕方なかったのでした。
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