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ミコナとかぷせるあにまるず

本当にただの弱い生き物だったら

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『昔はとても厳しい環境だったから、人間も強かった』

そんなことを言う人もいますけど、ハカセはそれに対しては疑問しかありませんでした。

『今の人間が本当にただの弱い生き物だったら、二十億とかそんな数にまでは増えられていないと思う。それに野生の生き物だって、ちょっとしたストレスや怪我や病気で死んでしまうのもいたりする。厳しいはずの野生で生きてるはずなのにそれというのは何故? だから、種として存続できるかどうかについては、肉体的な強さや攻撃性は絶対的な要素じゃないはずなんだ。人間には人間としての生存戦略がある。そのためには人間同士で命を奪い合ってる場合じゃない』

ハカセはそう思うんです。

この世界の人口は、現在、二十億人を超えたところでした。先史文明が繁栄を極めた頃には百二十億を超えたこともあったそうです。

だけど、大きな戦争と惑星の寒冷化に伴う大変な飢餓があって、わずか数億まで減ってしまった。

それを、一万年以上かけてここまでにしたんです。

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