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ミコナ

不器用な気遣い

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仕事が終わって帰る時間になっても、ミコナのことが気になってすぐには帰れずにいたカリナを、リビングに入ってきたフカが、

「なんだ。まだいたのか。主人に余計な気を遣わせるんじゃない。仕事が終わったのならちゃんと帰れ」

ぶっきらぼうな感じで声を掛けます。だけど、いつもは屋根の上に陣取ってるフカがこんな風に家に入ってくるなんて、明らかに不自然。いつまで経ってもカリナが出てこないことを気にしたのは間違いないでしょう。

「す…すいません……!」

カリナは恐縮し、

「あはは……」

ミコナは困ったように笑います。フカの不器用な気遣いが分かってしまうから。

だけど、こうやって『仕事が終わったから』でカリナを帰してしまうのも、本当は少し違うのかもしれませんね。だって、カリナにとってはもう、『仕事だから』で割り切ってしまえる相手じゃありませんでしたから。ミコナは。

だから帰り支度を始めたカリナの様子が、あまりにも後ろ髪を引かれる想いだというのが伝わってきて、

「あーもう! 分かった! 仕事じゃなくて、仕事が終わった後にプライベートでここにいるってだけなら好きにしろ!。ただし、プライベートだからな! 給料は出せないぞ!」

フカがそう折れると、カリナの表情がぱあっと明るくなり、

「ありがとうございます!」

深々と頭を下げました。

けれど、カリナにも、部屋に待ってる家族がいます。ペットとはいえ、彼女にとってはれっきとした家族でした。ただ、自分がいない間も寂しくないようにとペットロボットを買って、相手をしてもらっていましたが。

加えてペットロボットに、餌の用意とかも任せていました。

これで少しだけ長くミコナの傍にいられるようになったんです。

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