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ミコナ

ルリアはルリア、フカはフカ

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フカはもう、ルリアとしての感覚をほとんど持っていないようです。記憶はあっても、それは『覚えてる』だけで、例えば何かを役を演じた時の記憶のようなものでしかない。

確かに役者の人には、役に入り込み過ぎて人格まで変わってしまう人もいるとは言いますけど、でも、役を終えたらそれはただの過去の記憶ですよね。どれだけ入り込んでてもその役者の人本人の人生じゃない。

そんな感じでしょうか?

ルリアはルリア、フカはフカなんです。

カリナにもそう感じられてしまっているんでしょう。そしてフカ自身、それを受け入れてしまってる。

だけどそれは同時に、ハカセの研究が実を結んで、完全なかぷせるあにまるが完成すると、そのかぷせるあにまるがルリアになるということでもあります。

他の人には言いにくいことでも打ち明けることができるフカがいなくなってしまうかもしれない。

カリナにはそれも納得できないことでした。

なのにフカは何処までも優しくて……ルリアじゃないのに、でもやっぱりルリアがフカの基になっていて、しかもミコナの基にもなっている。

それが実感できてしまいます。

だから正直、ハカセがもう仕事を放り出してミコナの相手をちゃんとしてあげて、もうずっとこのままフカがフカのままでいてくれたらとさえ思ってしまうんです。

でもそれは、受けた仕事を途中で放り出すことでもあって、自分も仕事をする社会人としてそういうのはよくないとも分かってて……

本当に心が千々に乱れてしまうのを感じます。

そんなカリナの気持ちを察したのか、フカは、

「どうせハカセの仕事が終わるまでのことだ。その間だけ乗り越えりゃいい……それですべて終わる……」

カリナの方は見ずにそう言ったのでした。

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