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ミコナ
ああ、こんな人なんだな……
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そしてティーさんとガーが、サンギータとヴァドヤの家に泊まりこむようになって一ヶ月。何とも言えない微妙な空気はありつつも、険悪ではない状態が続きました。
するとサンギータが、夕食の後で自分の部屋に戻った時に、
「多分もう、大丈夫だと思う……」
そうティーさんに告げたんです。本当は一週間くらい前から自分でも大丈夫かなと思ってたんですけど、でも不安が拭えなくて言い出せなくて……
それがとうとう、言えたんです。それはつまり、自信が出てきたということ。
母親を罵ったり睨み付けたりせずにいられなかったのが、すっかり収まったということ。
もちろん、ここまでの積み重ねがあるから急に仲良くなんてできないですけど、なんか、苛々しなくなってきたんです。母親に対しても、
『ああ、こんな人なんだな……』
って思えるようになってきて。
父親に対しては今でも憤りはあります。だけど少なくとも母親にはもうそこまでのものはない。そんなに気にせずにいられようになった。
だったら、本当はミコナの家族であるティーさんをいつまでも自分のところに引き留めるのは違うんじゃないかなと自然に思えて。
「サンギータはんがそう言わはるんでしたら、もう大丈夫なんでっしゃろ。ほな、お言葉に甘えて帰りまっさ。せやけど、お母さんの方は、サンギータはんよりも後でガーはんと知り合ったんやさかい、まだ時間はかかるやろ。それは分かっといたってや」
「ああ……分かってる……」
応えたサンギータの表情が確かに穏やかになってたのを確認して、ティーさんも、
『ホンマに大丈夫みたいやな』
と思えて、その日、ミコナの家に帰ったのでした。
するとサンギータが、夕食の後で自分の部屋に戻った時に、
「多分もう、大丈夫だと思う……」
そうティーさんに告げたんです。本当は一週間くらい前から自分でも大丈夫かなと思ってたんですけど、でも不安が拭えなくて言い出せなくて……
それがとうとう、言えたんです。それはつまり、自信が出てきたということ。
母親を罵ったり睨み付けたりせずにいられなかったのが、すっかり収まったということ。
もちろん、ここまでの積み重ねがあるから急に仲良くなんてできないですけど、なんか、苛々しなくなってきたんです。母親に対しても、
『ああ、こんな人なんだな……』
って思えるようになってきて。
父親に対しては今でも憤りはあります。だけど少なくとも母親にはもうそこまでのものはない。そんなに気にせずにいられようになった。
だったら、本当はミコナの家族であるティーさんをいつまでも自分のところに引き留めるのは違うんじゃないかなと自然に思えて。
「サンギータはんがそう言わはるんでしたら、もう大丈夫なんでっしゃろ。ほな、お言葉に甘えて帰りまっさ。せやけど、お母さんの方は、サンギータはんよりも後でガーはんと知り合ったんやさかい、まだ時間はかかるやろ。それは分かっといたってや」
「ああ……分かってる……」
応えたサンギータの表情が確かに穏やかになってたのを確認して、ティーさんも、
『ホンマに大丈夫みたいやな』
と思えて、その日、ミコナの家に帰ったのでした。
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