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ミコナ

ここ数年ほとんど口にしたことのない

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「……ごちそうさま……」

ヴァドヤの手作りハンバーグを綺麗に平らげて、サンギータはそう口にしました。ここ数年ほとんど口にしたことのない、少なくとも彼女自身が記憶にある限りでは口にした覚えのない言葉でした。

幼い頃にはそれなりに言っていた覚えもあるけれど。

「……」

そんなサンギータの言葉に、ヴァドヤは喜ぶというよりは唖然としていました。まさかの言葉だったからそれが頭に入ってこなかったんです。

そしてサンギータは、呆然とする母親をそのままにして、自分の部屋に戻っていきました。ティーさんがそれに続きます。

「よかったね……食べてくれたね……」

「……」

ガーが言うと、ようやくヴァドヤも頷きました。

実感が湧いてきたんでしょう。本当によかったです。

ただ、それですぐ、サンギータとヴァドヤの関係が良くなるというわけでもありません。そんな簡単な問題じゃありません。サンギータの両親に対する不信感は、その程度で解消されるような生易しいものじゃなかったんです。

でも、間違いなくいいきっかけにはなったんじゃないでしょうか。

実際、その日を境に、サンギータは、ヴァドヤの作った食事を食べるようになったんですから。

食べる前には、

「……いただきます……」

食べ終わったら、

「……ごちそうさまでした……」

と口にします。それを聞くと、サンギータも料理してよかったと思えました。だからガーに教わって、少なくとも一週間、ローテーションでメニューを決められる程度には作れるようになっていったんです。

月曜日はオムライス。

火曜日はハンバーグ。

水曜日は焼き魚。

木曜日はカルボナーラ。

金曜日はシチュー。

土曜日はピラフ。

日曜日はカレー。

という風に。

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