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ミコナ

なんや美味しそうな匂いがしてまんなあ

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無関係な赤の他人を罵ることがやめられないという甘えを克服できていない人の言うことは関係ありません。これはヴァドヤの問題なんです。ガーのような相手と出逢いたいなら、まず無関係な赤の他人を罵ることをやめるべきでしょう。

ヴァドヤがガーに共感してもらえたのは、彼女が他の人を攻撃するようなタイプじゃなかったからです。決してガーを攫ってきたことが理由じゃありません。同じようにガーを攫っても、攻撃的な人にガーは心を開きませんから。

こうして一週間が経つ頃には、ヴァドヤは、ハンバーグが作れるようになっていました。他にも、魚の切り身を焼くだけならできるようになりましたし、パスタだってカルボナーラなら作れるようになってます。

ただ、オムライスは、作ることはできるんですけど、玉子を破らずに綺麗に包むことができないので、本人も納得できてない様子。

今日も、ハンバーグを作ります。ガーは、使った道具を片付けたりタネを成型するのを手伝うだけ。

しかも、焼く前にちゃんとタネを寝かせます。

そうして寝かせたタネをフライパンで焼きますけど、やっぱりそこはまだ弱火で時間を掛けてでした。<美味しいハンバーグを作るコツ>を再現できるには十分に慣れていない。

でも、いいんです。今でもちゃんと家庭料理として見たら美味しいですから。

すると、

「なんや美味しそうな匂いがしてまんなあ」

声を掛けたのは、サンギータを伴ったティーさんでした。

「!?」

ヴァドヤは、睨み付けるような目でティーさんの隣に立つ自分の娘に怯えて、体を竦ませます。

だけど、以前ならそんな母親の姿に苛ついて声を荒げてたサンギータが、何も言わなかったのでした。

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