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ミコナ

初めての成功体験

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「美味しそう…!」

ガーが作ったオムライスを見て、ヴァドヤが声を上げます。そしてもう一つ作り、一緒に食べました。ヴァドヤには後から作った作りたての方を。

タマゴをかき混ぜるのにやっぱり時間が掛かってしまって、最初に作った方は冷めてしまったからです。

ガーは、出来立てをヴァドヤに食べてほしかった。

「美味しい!」

一口食べてヴァドヤは声を上げます。その表情が本当に子供みたいで。いえ、たぶん、ヴァドヤはまだ子供なんです。年齢だけは三十代半ばだけど、その精神は子供のままで止まってる。誰も育ててくれなかったから。

年齢だけを重ねた子供なんです。

ガーにもそれは分かってしまっていました。だから今はこうして安心してもらうのが大事だと考えたんです。ガー自身、こんな時に大きな声で怒鳴られたって怖いだけで何も考えられなくなってしまう。大事なのは自分で考えること。自分で考えて、自分が考えてやったことがどう返ってくるかを冷静に知ること。

今、ヴァドヤは、少しとはいえ自分が手伝った料理が美味しく完成したという結果を学んだんです。

それは、彼女にとってはほとんど生まれて初めてに近い<成功体験>だったでしょう。サンギータを妊娠し生んだことも成功と言えば成功のはずなんですが、

『男の子を生まなかった』

ことを夫に責められて、彼女にとっては成功ではなくなってしまいました。だからはっきりと実感できた初めての成功体験とも言えたんです。

ニンジンとタマネギを刻んで、タマゴをかき混ぜたというだけのそれが。

このことがヴァドヤの人生を端的に物語っていたでしょうね。

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感想 4

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