【プロット】ミコナとかぷせるあにまるず

ミコナ

母親であることも

両親にすべてを監視されてロボットのように生きてきたヴァドヤを、

『それっておかしい。言うことを聞く必要はない』

と、彼は言ってくれました。最初は戸惑ったヴァドヤですけど、すぐに彼の優しさに惹かれていったんです。そして彼に心も体も委ねて……

けれど、ヴァドヤが彼にすべてを許した途端、彼は変わってしまいました。彼女の両親と同じように束縛し、何をどうしたのか両親との連絡さえ絶ってしまったのです。どうやってそんなことをしたのか聞くのも怖くて、何も分かりませんでしたけど。

それでも、自分が言いなりになってる間はまあまあ優しかったので、優しくしてもらうために従順に振る舞いました。先輩だった彼が卒業すると同時に退学させられて、そのまま結婚。サンギータを宿しました。

なのに、健診の際に赤ん坊が女の子と分かると、

「なんだ、使えねえ奴だな」

吐き捨てるようにそう言って、家にも帰ってこなくなったんです。彼の家は元々資産家で、彼自身も起業家として成功して立派な家を建ててくれましたけど、それはヴァドヤを閉じ込めておくための監獄のようなものでした。

生活費も十分に振り込まれるものの彼はほとんど家に寄りつかず、サンギータが生まれてもそれは変わらず、それどころか完全に帰ってこなくなったんです。

慣れない赤ん坊の世話にパニックになった彼女は、彼から渡された生活費の中からベビーシッターを雇い、サンギータの世話はすべて任せて自分はリビングに閉じこもってしまいました。

そこからもう、ヴァドヤは母親であることも拒絶してしまったんです。

そうするしかなかったんです。