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ミコナ

思いっきり歌えないんだよね

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今のサンギータは、<魔の二歳児>と言われる頃の子供と同じでした。むしろ、それがずっと続いている状態と言った方がいいでしょうか。

魔の二歳児の時期をきちんと乗り越えていないから、それをいまだに引きずったままなのです。サンギータの両親は、魔の二歳児の時点で彼女の信頼を得ることに失敗した。

と言うよりも、『信頼を得る努力をしなかった』と言った方が正しいでしょうか。

『子供は親に従うのが当然だ』

そう考えるばかりで、ただただ自分の言いなりになってくれることが正しいのだと思い込んでいたんです。

だから、努力もしない。努力をしないのだから、もちろん結果も出ない。望んだ結果になるはずもない。自分達が何もしなくても、保育園や学校が、<親にとって都合のいい子供>に躾けてくれると思っていた。

自分は楽をして都合のいい結果だけを享受しようとしていたのです。それがこの事態を招いた。

ティーさんは、サンギータの両親がしなかったことを、今、しているだけです。

けれど、ここまで散々、気持ちを吐き出し続けたからか、彼女の話の内容は、いつの間にか、納得のいかないことに対する憤りから、世間話のようになってきていました。

その中で、

『私も、部屋にテントを張って、そこに布団とかかけて、ちょっとでも防音してと思ってるんだけど、それじゃやっぱり狭くてさ。思いっきり歌えないんだよね。ギターも弾きにくいし」

<デスメタル女子小学生>としての自分の活動の中での困りごとを口にしていました。すると、ティーさんは言ったのです。

「それやったら、ええもんがあるわ」

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