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ミコナ

妬ましいくらいに羨ましい

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庭で楽しそうにバドミントンをするミコナ達の様子は、サンギータとティーさんがいるテントにも当然伝わってきます。それに気付いたサンギータは言うのです。

「マジで、ミコナが羨ましいよ。妬ましいくらいに羨ましい……なんで、おんなじ人間として生まれてきたのに、こんなに違うんだよ? 金があってもムカつくことばっかりじゃ楽しくないじゃん。あいつらはなんで、ミコナのお父さんやお母さんと同じことができねーんだよ!?」

悔しそうに拳を握り締めながらサンギータは言葉を絞り出します。そんな彼女に、ティーさんは、

「ホンマやなあ。なんでできんのやろなあ……」

うんうんと頷きながら言いました。その上で、

「でも、みんなが同じことができんちゅうのも、人間ってもんなんやろな。ハカセかて、ミコナのことはちゃんと見られてるけど、発明とかもすごいけど、お金のことになるとからっきしや。ハカセはホンマすごいもんいっぱい作ってきてるんやから、それをうまいことやってたら今頃は豪邸に住んでてもおかしないと思う。けど、それができんのがハカセっちゅうお人なんや。

で、ルリアはそんなハカセのことが好きんなってしもた。せやから、ルリアはすごいお金持ちになれんかったことについては別に気にしとらん。ミコナが、生まれてきたことを後悔せんようにしてくれたらそれでよかったんや。それができるだけのことでしかないねん」

とも。するとサンギータは、

「私も、それでよかったんだけどな……家族が仲良くできたらそれでいいんだよ。うちなんか、金はあるけど、家族で遊園地に行ったこともないんだぜ……」

悲し気に微笑みながら言ったのでした。

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